夜な夜なシネマ

映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

『サンブンノイチ』(TOHOシネマズ1ヶ月フリーパスにて鑑賞の30本目@西宮)

2014年04月14日 | 映画(さ行)
『サンブンノイチ』
監督:品川ヒロシ
出演:藤原竜也,田中聖,小杉竜一,中島美嘉,窪塚洋介,池畑慎之介☆,
   木村了,壇蜜,赤羽健一,レイザーラモンHG,増田修一朗他

前日に読みはじめた原作、木下半太の同名小説。
この日、前述の『サクラサク』を観終わってから本作の上映開始までが約1時間。
読み終わるのは無理かなと思っていましたがピッタシ、原作を読了して鑑賞。

同著者の“悪夢”シリーズは大阪出身者らしく全編ベタベタの大阪弁。
ほかのシリーズも手元にはあるものの未読本の山の中。
きっとどのシリーズも関西が舞台だろうと勝手に思っていたので、
川崎が舞台の本作は意外でした。大阪弁を喋るのはブラマヨの小杉のみ。

原作も映画も、事件後と事件前の様子が交互に描かれて進みます。

川崎にあるキャバクラ“ハニーバニー”で額を寄せ合う3人。
1人はハニーバニーの雇われ店長、シュウこと清原修造(藤原竜也)。
もう1人は同店のボーイ、コジこと小島一徳(田中聖)。
あと1人は同店の常連客、健さんこと金森健(小杉竜一)。

それぞれの事情から金を工面しなければならなくなった3人は、
銀行強盗を働き、とりあえず成功、今後どうするかを相談中。
分け前をきっちり三等分するはずが、銀行に突っ込む役も運転手役も同額ではおかしいと、
健さんが言いはじめたことから雲行きが怪しくなる。

銀行強盗を持ちかけたのはシュウだったが、
実はシュウにこの話を持ってきたのはキャバ嬢のマリア(中島美嘉)で、
バックにはハニーバニーのオーナーで闇の帝王、破魔翔(窪塚洋介)が。
ここに“川崎の魔女”の異名を取る金貸し、渋柿多見子(池畑慎之介☆)まで絡んできて……。

ドンデン返しありきの話ですから、無茶な設定もままあります。
誰を信じたらいいのやら、信じるたびにウソッウソッ。
そのうちまだあるにちがいないと思いはじめ、でも嬉しいほうに騙されて、
アホくさくはあるものの、最後まで楽しめます。

木下半太自身が映画監督を目指していましたから、
いろいろと出てくる映画の小ネタも楽しい。
シュウに押し倒されても、クリスチャン・スレイターについて話しつづけるマリア。
ついついシュウが答えてしまうシーンは笑いました。
シュウがベスト作品として挙げた『クライム&ダイヤモンド』(2001)もどうぞ。

吉本の芸人が続々と顔を見せてくれるのも楽しいです。
変態演出家にはぼんちおさむ、元店長には河本準一、キャバ嬢に海原ともこ、チンピラ客に松田大輔、
渋柿のボディガードにレイザーラモンHG、ホモ男優に庄司智春とワッキー、などなど。

ちなみに、原作と映画ではオチがずいぶん異なります。
ネタバレされては困る人はこの先を読まないでください。

映画ではビルからビルへと飛び移ろうとしたマリアが生き残りますが、
原作では失敗、落下して死んでしまいます。
また、破魔は渋柿に拉致されたままどうなったかわからずに終わりましたが、
映画では破魔が復活、渋柿が逆にやられていましたね(死なないけど)。

映画の終わり方だと続編ありありの感。
もうええで!と思いながら、続編がつくられたらまた観に行ってしまうんだろうなぁ。

そうそう、原作で面白いなと思ったのは「女の強さ」に関する箇所。
女が持つ、男にはない強さ。それは図太さ。
毎月決まった日に来るわけでもない生理なんてものにつきあってきた女は、
新しい環境や出来事に対応できるよう、記憶を上書きしていく図太さがあるんですと。

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