『サクラサク』
監督:田中光敏
出演:緒形直人,南果歩,矢野聖人,美山加恋,藤竜也,NAOTO,
津田寛治,嶋田久作,佐々木すみ江,大杉漣他
またしてもしこたまお酒を飲んだ翌日の日曜日、
睡眠不足ながらTOHOシネマズ西宮へ。
原作はさだまさしの短編集『解夏』に収載されている「サクラサク」。
『利休にたずねよ』(2013)の田中光敏監督によるもの。
『アントキノイノチ』(2011)や『ジョバンニの島』(2014)など、さだまさし絡みの作品の中では、
これがいちばん好きな作品になるかもしれません。
大手家電メーカーの営業部長・大崎俊介(緒形直人)は有能で、部下の信頼も厚い。
直属の上司(大杉漣)からは次期役員会で取締役に推薦すると伝えられ、
会社では順風満帆そのもの。
しかし、家庭はどうかといえば、冷えきっている。
妻の昭子(南果歩)はガーデニングに没頭して会話すら拒否、
息子の大介(矢野聖人)は大学に行けずにひきこもり気味のフリーター、
娘の咲子(美山加恋)はイマドキの女子高生。
父の俊太郎(藤竜也)には認知症を疑われる症状がしばしば出ている。
雨の日に近所を徘徊していた俊太郎が保護され、
幼なじみの宇多美康平(津田寛治)からは、早めに病院で診てもらえと言われるが、
まだまだ大丈夫だろうと高を括る。
ある日、勤務時間中に半狂乱の昭子から電話がかかってくる。
俊太郎が粗相をしたらしく、早く帰ってきてくれと言うのだ。
帰宅すると、そのまま座り込む俊太郎の姿が。
正気を取り戻した俊太郎を風呂に入れて着替えさせた俊介は、
なんと薄情な女なのだと、俊太郎に向かって昭子のことを愚痴る。
そんな俊介に、「おまえにも罪があるんじゃないのか」と言う俊太郎。
二度目の粗相のさい、昭子は俊太郎を放置して出かける。
家にいた咲子も知らん顔、大介も俊介の横を通り抜けて自室へ。
冷たすぎる家族に俊介は憤るが、俊太郎からある事実を聞かされる。
このままでは駄目だと思う俊介は、部下からワゴン車を借りると、
週明けには役員会だという日に、家族全員を無理やり連れて旅に出る。
母亡きあと、男手ひとつで自分を育ててくれた父・俊太郎を
彼が記憶にとどめている場所へ連れて行きたいと考えるのだが……。
自分こそが家族のことをまったくわかろうとしていなかった。
褒めるためには、相手のことを見つめつづけなければならないんだよ。
そう俊太郎から教えられる俊作。
情けないだけだと思っていた息子の大介が、心優しい孫であること。
父親参観に一度も行かなかった俊介に代わり、
いつも咲子の授業を参観してくれていた俊太郎。
そんな俊太郎に逆上がりを教えてもらった思い出を大切にしている咲子。
妻から背を向けられていると思っていたが、実は自分が背を向けていたこと。
認知症の初期に「僕は惚けてしまったのでしょうか」とつぶやく俊太郎の表情に、
『僕がジョンと呼ばれるまで』を思い出します。
自分の記憶があやふやであることを悟り、
その記憶が誤りであることが明らかになるのを恐れる俊太郎。
だけど、幸せだった景色が真実であると信じ、
それを俊太郎とともに確かめようとする家族たち。
エンディング曲の『残春』が心に沁みます。
「若さを嗤(わら)わず 老いを恨まず
いのちを恥じず いのちに怯えず
未来を憂えず 過去を惑わず」。
監督:田中光敏
出演:緒形直人,南果歩,矢野聖人,美山加恋,藤竜也,NAOTO,
津田寛治,嶋田久作,佐々木すみ江,大杉漣他
またしてもしこたまお酒を飲んだ翌日の日曜日、
睡眠不足ながらTOHOシネマズ西宮へ。
原作はさだまさしの短編集『解夏』に収載されている「サクラサク」。
『利休にたずねよ』(2013)の田中光敏監督によるもの。
『アントキノイノチ』(2011)や『ジョバンニの島』(2014)など、さだまさし絡みの作品の中では、
これがいちばん好きな作品になるかもしれません。
大手家電メーカーの営業部長・大崎俊介(緒形直人)は有能で、部下の信頼も厚い。
直属の上司(大杉漣)からは次期役員会で取締役に推薦すると伝えられ、
会社では順風満帆そのもの。
しかし、家庭はどうかといえば、冷えきっている。
妻の昭子(南果歩)はガーデニングに没頭して会話すら拒否、
息子の大介(矢野聖人)は大学に行けずにひきこもり気味のフリーター、
娘の咲子(美山加恋)はイマドキの女子高生。
父の俊太郎(藤竜也)には認知症を疑われる症状がしばしば出ている。
雨の日に近所を徘徊していた俊太郎が保護され、
幼なじみの宇多美康平(津田寛治)からは、早めに病院で診てもらえと言われるが、
まだまだ大丈夫だろうと高を括る。
ある日、勤務時間中に半狂乱の昭子から電話がかかってくる。
俊太郎が粗相をしたらしく、早く帰ってきてくれと言うのだ。
帰宅すると、そのまま座り込む俊太郎の姿が。
正気を取り戻した俊太郎を風呂に入れて着替えさせた俊介は、
なんと薄情な女なのだと、俊太郎に向かって昭子のことを愚痴る。
そんな俊介に、「おまえにも罪があるんじゃないのか」と言う俊太郎。
二度目の粗相のさい、昭子は俊太郎を放置して出かける。
家にいた咲子も知らん顔、大介も俊介の横を通り抜けて自室へ。
冷たすぎる家族に俊介は憤るが、俊太郎からある事実を聞かされる。
このままでは駄目だと思う俊介は、部下からワゴン車を借りると、
週明けには役員会だという日に、家族全員を無理やり連れて旅に出る。
母亡きあと、男手ひとつで自分を育ててくれた父・俊太郎を
彼が記憶にとどめている場所へ連れて行きたいと考えるのだが……。
自分こそが家族のことをまったくわかろうとしていなかった。
褒めるためには、相手のことを見つめつづけなければならないんだよ。
そう俊太郎から教えられる俊作。
情けないだけだと思っていた息子の大介が、心優しい孫であること。
父親参観に一度も行かなかった俊介に代わり、
いつも咲子の授業を参観してくれていた俊太郎。
そんな俊太郎に逆上がりを教えてもらった思い出を大切にしている咲子。
妻から背を向けられていると思っていたが、実は自分が背を向けていたこと。
認知症の初期に「僕は惚けてしまったのでしょうか」とつぶやく俊太郎の表情に、
『僕がジョンと呼ばれるまで』を思い出します。
自分の記憶があやふやであることを悟り、
その記憶が誤りであることが明らかになるのを恐れる俊太郎。
だけど、幸せだった景色が真実であると信じ、
それを俊太郎とともに確かめようとする家族たち。
エンディング曲の『残春』が心に沁みます。
「若さを嗤(わら)わず 老いを恨まず
いのちを恥じず いのちに怯えず
未来を憂えず 過去を惑わず」。