夜な夜なシネマ

映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

『今夜、ロマンス劇場で』

2018年02月21日 | 映画(か行)
『今夜、ロマンス劇場で』
監督:武内英樹
出演:綾瀬はるか,坂口健太郎,本田翼,北村一輝,中尾明慶,
   石橋杏奈,西岡徳馬,柄本明,加藤剛他

日曜日の朝の109シネマズ大阪エキスポシティでの2本ハシゴ。
2本分の駐車サービスが受けられると知ってからクセになっています。

武内英樹監督はTVドラマを多く手がける演出家でもあります。
古くは岸谷五朗主演の『みにくいアヒルの子』、あの大ヒット作『ひとつ屋根の下2』、
深キョンHIV感染者の少女を演じた『神様、もう少しだけ』、
こういった作品はこの人の演出によるもの。もう20年前の話なのですね。
映画監督としては『テルマエ・ロマエ』が大ヒット。
そんな監督が綾瀬はるか坂口健太郎をW主演に起用。

映画会社で助監督として働く青年・牧野健司(坂口健太郎)。
彼の夜な夜なの楽しみは、馴染みの映画館“ロマンス劇場”にかよって、
劇場の経営者・本多正(柄本明)に頼み込み、
古いモノクロ映画『お転婆姫と三獣士』を鑑賞すること。
その映画のお姫様役のヒロイン・美雪(綾瀬はるか)にすっかり魅せられている。

ところがある日、フィルムを売ることになったと本多が言う。
これはこの世に1本しかない珍品で、蒐集家が買い取りを希望しているとか。
もうスクリーンの美雪と会えないのかと思うと悲しくて、
健司は映写室から客席に下り、スクリーンに見入る。

すると突然停電、そして明るくなった客席に、
なんとモノクロの美雪が倒れているではないか。
驚きつつも手を貸そうとすると、気安く触るなと叩かれ、罵倒される。

健司は自分が暮らすおんぼろアパートで美雪と同居生活をするはめに。
わがまま言い放題の美雪に突き合わされて、てんやわんや。
美雪が仕事場までついてくるものだから、ちょっとした騒ぎになり……。

最初は失敗したと思いました。
まず石橋杏奈演じる看護師にイライラ、その後は美雪のわがままにイライラ。
いったいいつまで続くのか、耐えがたいイライラ状態に。
途中退出しようかと思うほどだったのですけれど、ま、耐えました(笑)。

そうしたら、最後はきっちり涙ぐむことに。
あれだけイライラしていたのに、涙目の自分が可笑しくて。

牧野という名前は、「日本映画の父」と言われた牧野省三氏へのオマージュでしょう。
モノクロとカラーの融合は『カラー・オブ・ハート』(1998)を思い出す。
映画の登場人物がスクリーンの中から現れるのは、『カイロの紫のバラ』(1985)。
『カイロの紫のバラ』のような皮肉なラストにはなりません。

と、いろんな要素や作品のオイシイところを混ぜたみたいで、
涙は出たものの、個人的には良かったとは言えません。
だけどこれを書いている時点での某レビューサイトではすごい高評価。
そうか、こういうのがウケるんだと思ったりして。
うん、確かに、私みたいなアマノジャクでなければそうなんだわ、
と、妙に納得できた作品なのでした。

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