『母との約束、250通の手紙』(原題:La Promessa dell'alba)
監督:エリック・バルビエ
出演:ピエール・ニネ,シャルロット・ゲンズブール,ディディエ・ブルドン,
ジャン=ピエール・ダルッサン,キャサリン・マコーマック他
次年度に繰り越せない有休を使おうと、平日に休みを取りました。
なんばパークスシネマ地獄にハマり(笑)、クーポンの有効期限寸前に。
フランスの作家ロマン・ガリの自伝小説『夜明けの約束』を映画化。
私は読んだことのない作家で、エンドロールを見て自殺したことを知りました。
フランスの文学賞で最高の権威を持つゴンクール賞を2度受賞した唯一の作家。
ジーン・セバーグの2人目の夫(ロマンも再婚)が彼だったのですね。
シングルマザーの母親ニーナ・カツェに溺愛されている息子ロマン。
ポーランドで生まれたが、フランスこそ最高の国と言い切るニーナは、
ロマンを連れてフランスに移り住む。
ニーナはロマンが将来大物になると信じて疑わない。
まずはヴァイオリンを習わされたロマンだが、彼は音楽家は向かないと見るや方向転換。
しかしなぜかニーナは画家のことを忌み嫌い、
ロマンが絵に興味を示しても画家だけにはなるなと怒る。
こうしてロマンは作家を目指しはじめるのだが……。
冒頭、すでに有名な作家となっているロマンが倒れているシーンから始まります。
迎えにきた妻のレスリーが一緒にタクシーに乗り、
彼が携えていた原稿を読むと、そこには母親の想い出が綴られていました。
息子の人生のすべてに口を出し、明かな過干渉。
なのになぜか彼女のことを酷いとは思えません。
ニーナ役のシャルロット・ゲンズブールのなせる技なのか。
出征した息子のことまで気になって、電話かけまくるし、戦地まで出向くし。
周囲からはマザコン呼ばわりされて(実際そうだし)、ロマンは恥ずかしくて仕方ない。
でも、鬱陶しげな顔をすると「母親を恥じているのか」とニーナから一喝され、
いや、そうではないと母親と抱擁するロマン。
母子で生き抜いてきたという思いは誰に何を言われようと変えられないもの。
母親の亡き後、彼女が望んだとおり、作家になり、映画も撮り、フランス大使まで務めた。
凄いことです。
なんだかちょっと言葉では言い表せない感慨を持ちました。