『フリークスアウト』(原題:Freaks Out)
監督:ガブリエーレ・マイネッティ
出演:クラウディオ・サンタマリア,アウロラ・ジョヴィナッツォ,ピエトロ・カステリット,ジャンカルロ・マルティーニ,
ジョルジョ・ティラバッシ,マックス・マッツォッタ,フランツ・ロゴフスキ他
前述の『The Witch/魔女』とハシゴ、同じくなんばパークスシネマにて。
これまた長尺、141分のイタリア/ベルギー作品。
監督はデビュー作の『皆はこう呼んだ、鋼鉄ジーグ』(2015)が大いに話題を集めたガブリエーレ・マイネッティ。
日本が誇る永井豪のアニメ『鋼鉄ジーグ』のイタリア版リメイクでしたねぇ。
そんな監督のやっと出た長編第2作がこれ。またしても異色の娯楽作品です。
長尺でも飽きることなし。すごく面白かった。
第二次世界大戦下のイタリア。
自身の身体に帯びた光と電気を操る少女マティルデ。
アルビノ(先天性白皮症)のチェンチオは、どんな虫も従わせることができる虫使い。
全身毛むくじゃらの怪力男フルヴィオと、磁石人間のマリオ。
その特殊すぎる能力ゆえ世間には馴染めずにいたが、サーカス団は町の人気者。
今日もテントは満員の客でにぎわっていたところ、爆撃を受ける。
多くの人が亡くなるなか、5人はなんとか逃げ延びたものの、
町も客もいない今となっては生きていく術がない。
イタリアから脱出してアメリカ・ニューヨークへ行くことをイスラエルは検討しはじめる。
偽造パスポートを入手するため、4人から金を受け取って出かけるが、
夜が更けてもイスラエルが帰ってこない。
短気なフルヴィオは、イスラエルが自分たちの金を騙し取ってひとりで逃げたと怒る。
マティルデはイスラエルがそんなことをするはずがない、帰りを待とうと主張するが、
フルヴィオがベルリン・サーカス団で職を得ようと言い、あとの2人もそれについていってしまう。
イスラエルはナチスドイツに捕らえられたのではと考えるマティルデは、
どこをどう探せばいいものやらわからないままひとりで奔走。
一方、ベルリン・サーカス団の門を叩いたフルヴィオたちだったが、
団長のフランツは選りすぐりの異能者を集めてヒトラーに贈ろうとしていて……。
異能者たちが見せる芸がとても美しい。冒頭から引き込まれます。
倒れたところをパルチザンに助けられたマティルデが、その力を使えば敵を簡単に殺せると言われたとき、
人殺しは嫌だという理由には胸が痛みます。
彼女に触れた相手は感電して死んでしまう。殺す気のない相手を死に至らしめてしまう自分。
能力を羨ましがられようとも、欲しくて得た力ではないのです。
戦争に勝つんだと皆声高に言うけれど、戦争に勝ち負けはない、
戦争すればみんな敗者だ、という言葉はどこかに届くでしょうか。
ひそやかに反戦のファンタジー。