『東京クルド』
監督:日向史有
第七藝術劇場にて。
十三は駐車場料金が安くてありがたい。日中の最大料金が500円ですもの。
これなら電車で行くより断然安い。
お恥ずかしながら、タイトルを見たとき、「クルド」の意味すらわからず。
クルドはクルド人のこと。
トルコ、イラク、イラン、シリア、アルメニアにまたがる地域に居住。
本作に登場するのはトルコから来日したクルド人青年ふたり。
トルコで命の危険を感じて日本に逃げてきました。
青年たちの名前はオザンとラマザン。
ふたりとも家族と共に日本に来て長い年月が経ちますが、
難民申請を受け入れられず、過酷な状況に置かれています。
日本語堪能、漢字の読み書きもできる。
でもビザがないから仕事することは許されません。
ラマザンは通訳になることを目指し、英語も勉強中。
しかし難民申請中の彼は専門学校に入学しようと問い合わせても断られます。
オザンは容姿を生かして芸能プロダクションに登録しようとしても、
やはり難民申請中の身では駄目だと断られる。
難民だとは認められるまではビザは下りない。
それまで仕事するのは禁止。ならばどうやって毎日食べていけばいいのか。
入国管理局の職員は、「それはそっちで考えることでしょ。
他の国へ行ってよ」と平然と言い放ちます。
彼らの仕事は難民認定せずに皆を生まれた国へ送り返すこと。
戻れば殺されるかもしれないのに。
ラマザンは心が折れそうになりながらも言います。
「勉強するのは無駄かもしれない。でももしこの先ビザが下りたとき、
あのとき勉強しておけばよかったとは思いたくない」。
やらなかった後悔よりもやった後悔を選んでいます。
確かに、日本に来たいという難民をすべて受け入れていたらキリがないのかもしれません。
でも、こんなにも切実な状況にある若者たちをなんとかできないものなのか。