『ヒノマルソウル 舞台裏の英雄たち』
監督:飯塚健
出演:田中圭,土屋太鳳,山田裕貴,眞栄田郷敦,小坂菜緒,
落合モトキ,菅原大吉,八十田勇一,濱津隆之,古田新太他
109シネマズ大阪エキスポシティにて。
これも緊急事態宣言発令前に覚えるほど予告編を観た作品。
テストジャンパーの存在すら知りませんでした。へーっ!
もちろん実話に基づく。
1994年、リレハンメルで開催された冬季オリンピック。
ラージヒル団体に出場したスキージャンパーの西方仁也(田中圭)らは、
3人飛んだ時点で金メダル確実。4人目が無難に飛べればOK。
ところがその4人目に飛んだエースの原田雅彦(濱津隆之)がまさかの失敗。
金メダルを逃し、銀メダルにとどまってしまう。
1998年、冬季オリンピックが地元長野で開催されるに当たり、
4年前の雪辱を誓い、練習に励んできた西方だったが、
腰の怪我などもあって、代表から外れてしまう。
ほかの3人はあのときのメンバー。なぜ俺だけが外れなければならないのか。
傷心の西方のもとをコーチの神崎幸一(古田新太)が訪れ、
どうせ暇だろう、この先の仕事のことも考えて連盟に恩を売るためにも
テストジャンパーを引き受けろと酷なことを言う。
メダリストが裏方に回るなんてと思いながらも確かに暇。
渋々引き受けた西方は現地入りするのだが……。
テストジャンパーは全部で25人。
選手たちが飛ぶ前に、路面をならしつつ安全を確かめる裏方がいるのですね。
ゆるゆる滑るわけじゃない。
本気で滑りつつ、積もった雪を蹴散らすことを念頭に置いて滑る。
西方よりもずっと若く次のオリンピックを目指す選手に眞栄田郷敦。
ほかのテストジャンパーたちを見下す態度を示しますが、
実は彼は負傷時のトラウマを抱え、少しでも風のある日は飛ぶのが怖い。
紅一点、女性ジャンパー役を演じるのは日向坂46の小坂菜緒。
彼女は申し訳なくも演技が上手いとは思えませんが、可愛いからいっか。
オリンピックに出たくとも、そもそも女性ジャンプが種目にない。
テストジャンパーとしてでもいいから飛びたいという強い気持ちは伝わってきます。
女がスキージャンプなんてするものじゃないという父親との葛藤も。
いちばんよかったのは難聴のジャンパー役、山田裕貴。
困難な人生を送ってきたはずの彼は、飛んでいるときは自由になる。
真面目で明るく、チームの盛り上げ役です。
皆が言う歓声も拍手も彼には聞こえない。でも感じることができます。
このふたりともが出演している作品を最近観たぞと思ったら『FUNNY BUNNY』でした。
彼らもまたバイプレイヤーズにちがいない。
飯塚健監督の作品には揃ってよく顔を出しています。
どうしても違和感があったのは濱津さん。
原田に似た容姿だから抜擢されたのでしょうが、
彼はどうしても『カメラを止めるな!』の監督にしか見えません。(^^;
西方の妻役には土屋太鳳。
『哀愁しんでれら』でも夫婦役を務めていましたが、そりゃもうこっちのほうが断然普通。
こんなふうに寄り添ってくれる奥さんがいたら頑張れると思う旦那衆は多いはず。
感動を押し付けられ気味であることは否めません。
でも、金メダルの裏にこんなテストジャンパーたちがいたことを知れてよかった。
ジャンプ台から自分も飛んでいる気分も味わえます。