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『ちょっと思い出しただけ』

2022年02月18日 | 映画(た行)
『ちょっと思い出しただけ』
監督:松井大悟
出演:池松壮亮,伊藤沙莉,河合優実,大関れいか,屋敷裕政,
   尾崎世界観,成田凌,鈴木慶一,國村隼,永瀬正敏他
 
シネ・リーブル梅田にて『マザーズ』を観て怖い思いをした後、
本作を観て脳内を明るいほうに切り替える。と思ったら、想定外の切なさでした。
 
尾崎世界観が大好きな作品として挙げる『ナイト・オン・ザ・プラネット』(1991)。
彼のバンド、クリープパイプの楽曲には『ナイトオンザプラネット』というものがあるそうで。
松居監督がその曲に着想を得て撮り上げた作品です。
 
本作の公開記念として『ナイト・オン・ザ・プラネット』もリバイバル上映中。
本作の中にも同作品のシーンがいくつも登場します。
『ナイト・オン・ザ・プラネット』の監督はジム・ジャームッシュですが、
会話の中に「ジム? ジャームッシュ? キャリー? ジム違いか」なんて台詞も。
この辺りは、どっちのジムも思い浮かばない人には意味不明の会話だな。
 
それはそれで置いておくとして、予備知識なしで観に行ったので、
最初はどういう設定なのかわかりませんでした。
ところどころで刻まれる数字は月日のようだけど、どーゆーこと?
途中でこれが1年ごとの7月26日を示していることに気づきました。
私のように最初は知らないまま観たほうがより面白いかもしれません。
 
その日は佐伯照生(池松壮亮)の誕生日。彼の現在の仕事は舞台の照明スタッフ。
一方の野原葉(伊藤沙莉)はタクシー運転手
今はもう別れてしまったふたりの6年を、照生の誕生日のみ切り取って描いています。
これは、『弥生、三月 君を愛した30年』(2019)と同じと言えなくもない。
どちらも切ないですよねぇ。
 
6年分の同じ日。過去から現在へではなく、現在から過去へと遡ります。
今の照生は裏方の仕事をしているけれど、どうやら以前はダンサーだったらしい。
そしてその頃、葉と出会い、つきあいはじめたようだ。
遡って行くため、ふたりの出会いがわかるのはずいぶん後になってから。
 
今は別れているから、遡るほど幸せそうなんです。
それがもう切なくて切なくて。
あの頃に戻りたいわけじゃない。でもちょっと思い出しただけ。
本当にそうなのかな、なんて考えたりもします。
 
薄くなっているような。
切ない気分のところ、水を差すようですみません。(^^;

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