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『ファミリア』

2023年01月21日 | 映画(は行)
『ファミリア』
監督:成島出
出演:役所広司,吉沢亮,サガエ・ルカス,ワケド・ファジレ,中原丈雄,室井滋,
   アリまらい果,シマダ・アラン,高橋侃,松重豊,MIYAVI,佐藤浩市他
 
なんばパークスシネマにて、前述の『銀河英雄伝説外伝/わが征くは星の大海』の次に。
 
『洋菓子店コアンドル』(2010)の脚本家いながききよたかのオリジナル脚本を
『八日目の蝉』(2011)、『ソロモンの偽証』(2015)などの成島出監督が映画化。
 
山里にひとりで暮らす陶芸家・神谷誠治(役所広司)は、妻を早くに亡くし、
息子の学(吉沢亮)を男手ひとつで育て上げた。
成績優秀だった学は良い大学を出て一流企業に就職し、今はアルジェリアに赴任中。
仕事先で知り合った難民出身のナディアと結婚することを報告しに帰郷する。
苦労人で賢く優しいナディアと学を前に誠治は感無量。
家族同然のつきあいの夫婦(中原丈雄室井滋)と共に楽しく時を過ごす。
 
そんな数日を過ごしていたある日、隣町の団地に住むブラジル人青年マルコスが、
地元の半グレ集団とトラブルを起こして誠治の家に飛び込んでくる。
誠治の車を盗もうとして失敗、逃げようとするマルコスを誠治と学で捕らえ、
傷だらけの彼の手当をするが、その後マルコスはまた逃げてしまう。
 
学は仕事が一段落する数カ月後を機に退職し、誠治の仕事を継ぐ意志を明らかにするが、
焼き物で生きて行くのは無理だからやめておけと答える誠治。
とりあえずその話は先送りにしてアルジェリアへと戻る学夫婦。
 
マルコスは同じ団地に住む幼なじみのエリカに連れられて誠治のもとを訪れるように。
焼き物にも興味を持ち始めるのだが……。
 
物語の果てに救いはあるのだろうかと思いながら観ました。
 
団地に何千人もブラジル人が住んでいるという町があるのですね。
年末に観たばかりの『やまぶき』の外国人労働者の姿と重なります。
 
3カ月で家が買えると言われて日本にやってきたという彼ら。そんなことは無理に決まっている。
半グレ集団のリーダー・榎本海斗(MIYAVI)は地元を牛耳る会社社長の息子で、
ヤクザすら彼らには楯突けず、警察も目をつむっている状態です。
ブラジル人に私怨を持つ海斗は、マルコスたちのことを決して許そうとしません。
 
学とナディアが向こうで死んでしまうであろうことは想像できたこと。
マルコスとエリカの姿を息子夫婦に重ねたか、誠治は彼らを救う決意をします。
 
最初から最後までずっと、痛々しい作品です。
ただふたつ、要らないシーンだったと思うのは、学とナディアが死んで横たわるところと、
マルコスとエリカの絡みのシーン。
女優の脱ぎっぷりがよくないとシラける私ではありますが、これは脱ぐ必要ないっしょ。
 
生きていて、よかった。

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