『花嫁はどこへ?』(原題:Laapataa Ladies)
監督:キラン・ラオ
出演:ニターンシー・ゴーエル,プラティバー・ランター,スパルシュ・シュリーワースタウ,チャヤ・カダム,
サテンドラ・ソニ,ギータ・アグラワル・シャルマ,ラクナ・グプタ,バスカー・ジャハ,ラヴィ・キシャン他
なんばパークスシネマにて、前述の『リトル・ダンサー』の次に。
インドのトップスターであり、日本でも『きっと、うまくいく』(2009)が大ヒットしたアーミル・カーン。
彼が脚本を発掘して、『ムンバイ・ダイアリーズ』(2010)のキラン・ラオに監督を託した作品。
アーミル・カーンが絡んでいるだけで、良い作品というのは保証されたようなもの。
時を同じくして結婚した2組のカップル。
一方は新郎ディーパク、新婦プール。もう一方は新郎プラディープ、新婦ジャヤ。
それぞれ親族の住む村へ帰るべく同じ列車の同じ車両に乗り合わせるが、
花嫁の衣装と背丈があまりに似すぎているうえにベールをかぶっていたものだから、
ディーパクが降りる際に手を引いたのはジャヤだった。
自分の夫が降りてしまったことに気づかなかったプールと、
自分の妻が連れて行かれたことに気づかなかったプラディープ。
プラディープが降りる段になると、ついてくるはずのジャヤがいない。
行方不明のジャヤを探しはじめるプラディープ。
プールもそこで初めてディーパクとはぐれたことに気づく。
新郎新婦の到着を待ちわびていた村では、ディーパクが連れてきた花嫁のベールを外してビックリ。
これは誰!? プールじゃないよ。いったいプールはどこへ行ったの!?
ディーパクは慌てて友人たちと共に警察に届け出に向かうのだが……。
約20年前という設定で、女に学歴など必要なし、男に従っていればいいという時代。
インド映画を観ているとままあることで、今はどのくらい意識が変わっているのかわかりません。
ディーパクとプラディープ、その親族も同様の考えの持ち主ではあるけれど、
前者は妻のことをこよなく愛し、大切にしようと思っているのに対し、
後者は妻の持参した財さえあればあとはどうでも良いというとんでもない奴。
その親も親で、嫁を人として扱う気はありません。
最初のうちは、ディーパクに誤って連れて来られたジャヤの行動が怪しすぎて信用できません。
プラディープがモラハラDV夫であることは間違いない。だけど、ジャヤの企みはなんなのか。
それがわからないからこそ、わかったときの爽快感。
また、ジャヤと対照的に、女はこうあるべきものと思い込みそれを幸せに思っていたプールが、
世話になる屋台で自立していく姿がとてもいい。
女は夫の名前を呼ぶことが許されないなんて驚きですが、みんな当たり前に思っているのですね。
悪徳警官だと思っていたら、すっかり彼にオイシイところを持って行かれて泣きそうに。
アーミル・カーンの目に狂いなし。みんな観て観て!