夜な夜なシネマ

映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

今年観た映画50音順〈あ行〉

2004年12月15日 | 映画(あ行)
今年も300本の壁は破れず、
280本ぐらいで終わりそう。

今日までに観た映画のうち、
「あ、い、う、え、お」とやっていって、最初に思いだしたタイトルです。
できるだけ今年公開or DVD発売、なおかつ、日記に未登場の作品を。
ネタバレ御免。

《あ》
『あたしンち』
人気アニメの劇場版で、正確には『映画あたしンち』。
女子高生みかんと母親の体が、ある雷雨の日、突然入れ替わる。
仕方なく、みかんの姿の母親は学校へ。
母親の姿のみかんは家事。
やがてみかんの修学旅行や母親の同窓会が近づいて……。
『フォーチュン・クッキー』(2003)と同じ設定で、見比べてみるとおもしろい。

《い》
『イン・ザ・カット』(原題:In the Cut)
メグ・ライアンが脱いだことで話題になった作品。
彼女が演じる大学講師フラニーのもとへ、
猟奇殺人の聞き込み捜査のため、刑事マロイが訪れる。
彼が犯人ではと疑いつつも、性に目覚めてゆくフラニー。
真犯人は「アンタにゃ無理やろ~」と言いたくなるような、
いちばんアホそうな人物だし、他の人物も魅力に欠ける。
メグ・ライアン、なんで脱いだのかまったくわからん。

《う》
『ウェルカム・バクスター』(原題:Desert Blue)
日本では未公開の1998年の作品。
田舎町で有害廃棄物を積んだトラックが事故を起こす。
FBIが付近の汚染状態を調査し終えるまで、町への出入りは禁止。
町の名物、巨大アイスクリーム・コーンのオブジェ見学に
都会から来訪中の教授とその娘も滞在することに。
こんな田舎が大嫌いだった娘だが、町の若者と過ごすうちに打ち解ける。
ケイト・ハドソンの初主演作。
彼女が売れっ子になったがゆえのDVD化?
なかなか爽やかな青春映画。

《え》
『エレファント』(原題:Elephant)
コロンバイン高校の銃乱射事件がモチーフ。
とある高校の生徒たちの1日を追い、その淡々とした様子はまるでドキュメンタリー。
『ボウリング・フォー・コロンバイン』(2002)とはちがった描き方ながら、衝撃度高し。

《お》
『オーシャン・オブ・ファイヤー』(原題:Hidalgo)
『ロード・オブ・ザ・リング』のアラゴルン役、ヴィゴ・モーテンセン主演。
由緒正しい馬しか出場できない砂漠のレースに
野生馬で出場することを認められたカウボーイ。
馬好きな人にとっては『シービスケット』(2003)と並んでおそらく感涙もの。
そうでなくても、馬のつぶらな瞳に泣かされます。

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小道具に必須、タバコ。

2004年12月13日 | 映画(番外編:映画と嗜好品)
巷では禁煙の場所が多くなりました。
喫煙者も減る一方のようです。
私自身は吸いませんが、嫌煙派でもありません。
「タバコの似合うひと」にも書いたとおり、
映画中の小道具としてのタバコはとても有効な気がします。

エマニュエル・ベアール主演の『かげろう』(2003)は、
第二次大戦下のフランスが舞台。
子どもふたりを抱えた未亡人オディールが
爆撃を避けて逃げまどうところを謎の青年に助けられます。
無鉄砲な彼に最初は反感を持ちつつ、
森のはずれに見つけた屋敷でともに生活を始めるオディールたちと青年。
ふだんはタバコを吸わないと思われるオディールが、
正気を保つため、亡き夫のタバコを吸います。

フランシス・フォード・コッポラの娘ソフィアが監督し、
昨年度のアカデミー賞では脚本賞を受賞した『ロスト・イン・トランスレーション』(2003)。
ウイスキーのCM撮影のために来日したアメリカ人俳優。
仕事の後はひとりぼっちで、言葉も通じず、ホテルのバーでぼんやり過ごします。
偶然、夫の出張についてきたという、同じくアメリカ人の若い女性と知り合い、
東京滞在が輝きを放ち始めます。
ホテルはパークハイアット、ウイスキーはサントリー。
そして、日本人はホテルのバーで、ほぼ全員が片手にタバコ。
日本人のイメージってこんなもん?

直木賞落選で話題になった小説の映画化、『半落ち』(2003)。
若年性アルツハイマー症の妻を殺害した元警部。
自首してきたのは事件の2日後。
語ろうとしない空白の2日間に何があったのか。
原作を読んでからでも十分楽しめました。
柴田恭平演じる刑事のタバコの吸い方はあまり格好いいとは言えません。
持ち方がなんだかせこい印象で。

先日、ダンナのおつかいでタバコ店を探しました。
ふだんは自販機で買えるタバコを吸うのですが、
外食のときだけ、別のタバコを吸います。
品揃えの豊富な店でないと置いていない銘柄ですが、
自宅にほど近い沿線の商店街でタバコとパイプの専門店を発見。
バニラ風味のこのタバコはとてもいい香りがします。
ダンナ曰く、おいしい食事のあとにはぴったりだそうです。
どれでも同じように思えるけど、
この食事だからこそ、このタバコっていう場合もあるんだと興味を惹かれます。
どっちにせよ、嫌煙派には怒られそう。

とにかく、映画でタバコが似合う人を見るとシビレます。

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飲み食いの極限を知ってみる。

2004年12月10日 | 映画(番外編:映画と食べ物・飲み物)
ちょうどクリスマスに『スーパーサイズ・ミー』が公開されます。
今年初めにサンダンス映画祭で上映され、大反響を呼んだ本作。
公開を前に日本でも話題になっていますね。

ちなみにサンダンス映画祭は、この日記にもたびたび書いていますが、
お金のない若手を積極的に世に送り出そうという趣旨で
ロバート・レッドフォードが主催しているものです。
この映画祭の話題にのぼるのはいつも、
レッドフォードのイメージとはかけ離れたもの。
ぶっ飛んだ作品がたくさん生み出されています。

『スーパーサイズ・ミー』は、
アメリカで肥満女性が「私が肥ったのはマクドのせいや!」
と、フツーの人が聞くと責任転嫁もはなはだしい理由で
マクドナルドを訴えたというニュースを見た監督が、
んじゃ、1日3食、ファストフードを食べ続けたら
人間のからだはどうなるのか?と、ふと考えたのが発端。

監督自らが被験者として、1日3食、1ヵ月、
ファストフードを食べ続けたドキュメンタリー。
実験するにあたり、自分に課したルールも凄絶。
全メニューを一度は食べてみなければならず、
朝・昼・晩とも一口とて残してはいけません。
そして、「スーパーサイズはいかがですかっ?」と
店員にあの笑顔で勧められたら、決して断ってはなりません。
ファストフード三昧した監督は、黄疸が出て、インポになったそうです。

思いつきがぶっ飛んでるし、気になる作品ではありますが、
同じ物を食べ続けたら、ファストフードに限らず
からだに悪いのは当たり前か。

物を食べ過ぎて死に至った映画といえば、
『セブン』(1995)の窒息死するまでスパゲッティを食べさせられた親父。
いろんな殺され方満載の作品でしたが、そのなかでも特にグロいシーンです。

酒を飲み過ぎて命を落とす映画は数知れず。
だけど、コーヒーを飲み過ぎて昇天するのはこれだけかも。
11分の短編映画、『クレイジー・コーヒー』(2001)。
原題は“Sixty Cups of Coffee”。
「人はコーヒーを60杯飲むと死ぬ」という噂が真実かどうか、
確かめるためにカフェに入る男性。
狂ったようにコーヒーを飲み干してゆく彼に、男の子が尋ねます。
「どうしてそんなことするの?」。
「塔にのぼったことはあるか?どうして塔にのぼるんだ?」。
「景色を見るために」。
「それと同じさ」。

人は極限を知りたくなるもの?

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『トスカーナの休日』

2004年12月06日 | 映画(た行)
『トスカーナの休日』(原題:Under the Tuscan Sun)
監督:オードリー・ウェルズ
出演:ダイアン・レイン,サンドラ・オー,ヴィンセント・リオッタ,ラウル・ボヴァ他

映画の出来としてはまったく普通だけど、
本筋とは関係ない部分で楽しめる作品もあります。

サンフランシスコ在住の女性作家フランシス。
ある日、夫の不倫を知り、離婚することに。
フランシスは自分の持ち家を夫に明け渡す。

落ち込むフランシスに、
親友パティはイタリア旅行を勧める。

フランシスは旅先の村で見かけた、
築300年の屋敷に運命を感じて衝動買い。
こうして、“ブラマソーレ(=太陽に憧れる)”と呼ばれるその屋敷で
彼女の新生活が始まる。

映画としては無難も無難。
女性客の共感を得てそこそこ満足させる程度でしょう。
しかし、のっけからいろいろな発見があります。

まず、離婚の慰謝料。
フランシスの夫はヒモ同然で、彼女の稼ぎで生活が成り立っていました。
その夫の浮気が原因なのに、慰謝料は彼女が払わなあかんとは。
カリフォルニアの州法では、収入のない配偶者と離婚する場合、
相手が自活できるまでの費用を保障する義務があるそうな。
つまりは手切れ金代わりに、彼女の夫は「家、くれ!」とヌケヌケと言えたわけです。

さらに、映画の「20分ルール」
トスカーナで“ブラマソーレ”を見つけるのが、映画開始後きっかり20分。

トスカーナでは、信号の青=進め。黄=飾り。赤=注意しろ。
大阪よりスゴいかも。

料理の守護神は聖ロレンツォ。
料理する相手がいないと嘆くフランシスに、
不動産屋のニーノがこの神の人形を贈ります。
火あぶりの刑でこんがり焼かれて殉教したシェフの守り神。
彼に祈れば料理する相手が見つかると。

家を買えばもれなく付いてくるオリーブの木。
その収穫の様子も実に楽しげ。
濡れたオリーブは摘んではいけない。

フランシスを口説いた男性が話す、おいしいリキュール、レモンチェッロの作り方。
ちょうどこの映画を観た日に訪れたイタリア料理店で、
偶然レモンチェッロを出していただきました。
クリームを配合したレモンチェッロも初めていただきましたが、
これがその日の前菜、帆立の貝柱に添えられた濃厚なクリームソースと絶妙でした。
ソースとともに、舌の上で雪のように溶けてゆきます。

映画はいたって普通でも、楽しさいっぱい。お腹いっぱい。
ごちそうさまでした!

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『パピヨンの贈り物』

2004年12月02日 | 映画(は行)
『パピヨンの贈り物』(原題:Le Papillon)
監督:フィリップ・ミュイル
出演:ミシェル・セロー,クレール・ブアニッシュ,ナドゥ・ディウ他

元時計職人の老人ジュリアンの住むアパートに、
若い母とその娘が引っ越してくる。
25歳の母親は看護師で、夜勤に遊びにと忙しい様子。
8歳の娘エルザはちっともかまってもらえない。

下校時間になっても親が迎えに来ることはない。
家の鍵も持たされていないエルザは、近所のカフェで母親の帰りを待ち続ける。
そんなエルザの姿を見かけたジュリアンは、放っておけずに自分の部屋へ連れ帰る。

ジュリアンの趣味は蝶の蒐集。
美しい標本にエルザは魅入られるが、
禁断の部屋に勝手に立ち入り、ジュリアンの怒りを買う。

ある日、ジュリアンは幻の蝶“イザベル”を探すため、南部の山へ向かうことにする。
留守中の猫の世話を管理人に頼んでいるところを
偶然耳にしたエルザは、ジュリアンの車に忍び込む。
途中で気づいたジュリアンはエルザを追い返そうとするが、どうにも帰ろうとしない。
仕方なく、文句を言わない約束で一緒に山に入る。

アパートではエルザの誘拐騒動に発展。
ジュリアンが容疑者として報道される。
そんなこととは思いもよらず、ジュリアンはエルザを連れてイザベル探しを始める……。

エルザはとても小憎たらしい。
ジュリアンに向かって「子どもの扱いが下手だ」とか
「名前が年寄りくさい」だとか、言いたい放題。
お弁当を開けば、「全部嫌い」。
ジュリアンが食べるセロリのマヨネーズ和えを見て、
「私、それ、大好きなの」。

でも、16歳で自分を産んだ母のことを
「恋愛と妊娠をいっぺんにしちゃったの」と精一杯想う。
彼女の言葉は愛らしい。
「名前は“エリザ”になるはずだったのに、役所がまちがえたの」と淋しそうに語る。
後で“エリザ”は“エリザベス”の略だとジュリアンから聞き、
「何の略でもない“エルザ”でよかった」とニッコリ。
彼女の疑問も愛らしい。
「なぜ“恋に落ちる”って言うの?“恋に上る”でもいいのに」。

同じく幼い女の子が出演するフランス映画、
私の大嫌いな『ポネット』(1996)とはえらいちがい。
子役に罪はないけれど、『ポネット』みたいに
子役で泣かせたい計算見え見えな監督のあざとさを
この作品には感じないのが好きです。

エルザ役のクレール・ブアニッシュは
『千と千尋の神隠し』(2001)のフランス語版で吹替を担当。
聞いてみたいかも。

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