夜な夜なシネマ

映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

『ジャンゴ 繋がれざる者』

2013年03月17日 | 映画(さ行)
『ジャンゴ 繋がれざる者』(原題:Django Unchained)
監督:クエンティン・タランティーノ
出演:ジェイミー・フォックス,クリストフ・ヴァルツ,レオナルド・ディカプリオ,
   ケリー・ワシントン,サミュエル・L・ジャクソン,ドン・ジョンソン他

早くに前売り券を買ったがために、割引のある日に使うのはもったいなくて、
なんとか何も割引がない日に行きたいと思っていましたが、ムリっぽい。
仕方なくTOHOシネマズ伊丹のレイトショーの回に。
「レイトショーですので、前売り券よりお安くなりますが、
よろしいですか」と受付で聞かれ、「はい」。(;_;)

クエンティン・タランティーノ監督の作品は、
人を小馬鹿にしているようで好きではないという意見も多く聞きます。
けれども映画愛に溢れていて、三池崇史監督と同じ匂いも感じます。
私は好きだなぁ、両監督とも。

もうじき南北戦争が勃発しようかというアメリカ南部。
バウンティハンター(賞金稼ぎ)を業とするドイツ人歯科医のキング・シュルツは、
お尋ね者の三兄弟を捕らえたいが、シュルツは三兄弟の顔を知らない。
鎖に繋がれていた黒人奴隷の中に、三兄弟の顔を知っているジャンゴを見つけ、
彼の鎖を解き放つと、三兄弟の追跡へと繰り出す。

いとも簡単に三兄弟を殺すことに成功し、シュルツとジャンゴは別れるはずだった。
ところが、ジャンゴの腕前はシュルツの想像以上。
バウンティハンターとしての素質も十分と見込んだシュルツは、相棒にならないかと言う。
ジャンゴは最愛の妻ブルームヒルダを売り飛ばされたらしく、
極悪非道の農園領主カルビン・キャンディのもとから彼女を救出したい。
ジャンゴの話を聞いたシュルツは、雪どけまで一緒に仕事をすれば、
自分もブルームヒルダ救出につきあうと言い……。

本作で第85回アカデミー賞で助演男優賞を受賞したシュルツ役、
クリストフ・ヴァルツはいつも可笑しい。
黒人が馬に乗っているというだけでけしからんと憤るアメリカ人に対し、
合理主義に徹しているドイツ人シュルツは、それがなぜ駄目なのだと言いたげに、
ジェイミー・フォックス演じるジャンゴを堂々と連れ回して同席させます。
それがとても小気味良い。

キャンディ役のディカプリオが素晴らしい怪演。
早く彼にオスカーをあげてよと言いたくなります。
監督も最後にしっかり登場。出たがりなところがお茶目。

けれども作品としては『イングロリアス・バスターズ』(2009)のほうが断然好みでした。
それを観ていたからこそ、本作のクリストフ・ヴァルツにも惹かれたような。
キャンディ邸の執事役、サミュエル・L・ジャクソンはしつこすぎる感がありましたが、
きっと演じている本人はものすごく楽しかっただろうと思います。
なんとなく、タランティーノ監督の作品は、名優に一度出演してみたいと思わせる何かがあるのかも。
名優だってたまにはバカをやってみたいでしょ。

109シネマズ箕面で『ホビット 思いがけない冒険』を観たとき、
上映時間が3時間近いからといって駐車サービスの追加はありませんでしたが、
TOHOシネマズ伊丹では普通に1時間追加してくれました。良心的。(^^)

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打倒、手湿疹の巻〈第2ラウンド〉

2013年03月16日 | ほぼ非映画(アトピー)
第1ラウンドはこちら
そのときは第2ラウンドが待ちかまえているなんて思いもよらず。
普通に考えれば、四半世紀以上もつきあってきたものと
1カ月かそこらできっぱり別れられるはずがありませんよね。(;_;)
 
おもしろいように皮が剥がれ、そろそろ終焉かなと小躍りしつつも、
まだ皮膚の底に根っこが潜んでいそうな気がして、
これは気のせいじゃないんだろうなと思っていたら、
ある朝ふたたびやってきたのでした、第2ラウンドが。
 
次の層が第1ラウンドの初期と同様にじゅくじゅくに。
前回と異なる点は、浸出液が黄色じみていないこと。
ステロイドに汚染された皮膚から出る浸出液は黄色なのだそうで、
ステロイドが抜けるとそうではなくなるらしいのです。
前回はマジで黄色くて汚かったのですが、今回はほぼ無色透明。
好転していると思えばなんとか頑張れます。
 
しかしエグい。ほんとにエグい。
アトピーの人が脱ステロイドの途中で挫折しかけるのもよくわかります。
もしもアトピーの人が脱ステ中に被災したらどうなるのと、
それを想像しただけで涙目になりそうでした。
 
現在、第2ラウンドのじゅくじゅく状態からは脱出して、極度乾燥状態。
“極度乾燥”といえば『96時間/リベンジ』を思い出す。
そんなことを思い出している場合じゃないんですが、
もう何でもネタにして、ワロてなやってられん……というぐらい最悪。
 
トイレットペーパーホルダーは相変わらず最強の敵。
そのほか、このところ、縁(へり)という縁がすべて恐ろしい。
着替えるときはパンツの縁(って言わん?)すら怖いですからね。
気を抜くと手のどこかが傷ついて涙目に。
 
負けるもんか、絶対耐えてやるぅ。
というわけで、劇場で白の綿手袋をしたままの怪しい人を見かけたら
(時にはポチポチ付きの軍手のことも)、
それはまずまちがいなく私だと思います。(^o^)

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『キャビン』

2013年03月14日 | 映画(か行)
『キャビン』(原題:The Cabin in the Woods)
監督:ドリュー・ゴダード
出演:クリステン・コノリー,クリス・ヘムズワース,アンナ・ハッチソン,フラン・クランツ,
   ジェシー・ウィリアムズ,リチャード・ジェンキンス,ブラッドリー・ウィットフォード他

封切り日に大阪ステーションシティシネマにて。

キャッチコピーは「あなたの想像力なんて、たかが知れている」。
挑戦的な惹き文句といえば「日本よ、これが映画だ」の『アベンジャーズ』(2012)。
そのジョス・ウェドン監督が脚本と製作に当たった本作は、
ホラー苦手な私がどうしても観に行きたくなるぐらい、予告編も面白い。
巷がネタバレだらけになる前に観に行くべしと、初回に滑り込みました。

人里離れた森の中の山小屋を訪れた5人の大学生。
真面目なデイナ(♀)、ちょっと淫らなジュールス(♀)、その恋人のカート(♂)、
カートの友人で奨学生のホールデン(♂)、大麻でラリラリのマーティ(♂)。
彼らはここで恐ろしい目に遭うことになる。

……ここまではよくある話。と、予告編でも言ってます。

そんな5人の様子が実は監視され、中継放送されていた。
『インシテミル 7日間のデスゲーム』(2010)とか『101日』(2010)のように。

……ここまでもよくある話。と、これも予告編で言ってます。

だが、ここから先の展開は絶対に読めない。賭けてもいい。絶対に、読めない。

……と予告編。どうです、ものすごく挑戦的でしょ。
そして本当に想像できない、唖然呆然愕然、驚きの展開。

もっと早くに公開される予定だったのに、
配給元となるはずのMGMが財政難に陥って公開が見送りに。
1年以上後に配給権をライオンズゲートが買い取り。
これを日本で最初に上映したのが「映画秘宝まつり」だというのですから、
やっぱりエライですよね、『映画秘宝』さん。

ついでにこんな超B級とも言える作品の字幕が松浦美奈さんで、
日本語監修は当然のことながら『テッド』の町山智浩氏。
作り手のみなさんはもちろん、字幕にかかわった人たちまで、
観客を楽しませようと思っていることがビシバシ伝わってきます。

本作については『ATM』のようにネタバレ全開でここに書くわけにもいかず、
しかし、しゃべりたくてたまらなくなる展開です。
「観に行かないからどうなるのか教えて~」と言う人にはしゃべりまくりましたが、
いやはや、しゃべっている間も楽しい作品なのでした。

けれども、途中で退席したまま帰ってこなかった人が3人(うち2人はカップル)いましたからね、
体調不良とかではなく、怒って出て行ったのだと思います。(^^;
そんなわけですから、万人にはまったくもってお薦めできません。

とにもかくにも独創的で、自分の想像力がいかに貧困かを思い知らされました。
これはもう何でもありの闇鍋かと。ちょっと興奮しましたね。

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『脳男』

2013年03月13日 | 映画(な行)
『脳男』
監督:瀧本智行
出演:生田斗真,松雪泰子,江口洋介,二階堂ふみ,太田莉菜,大和田健介,
   染谷将太,甲本雅裕,光石研,小澤征悦,石橋蓮司,夏八木勲他

TOHOシネマズ西宮で4本ハシゴの4本目。
3本目まではネットで予約してから出かけ、2本目を観終えた段階で、
体力的に4本目も大丈夫と判断して劇場でチケット購入しました。

江戸川乱歩賞を受賞した首藤瓜於の同名ミステリーの映画化で、
脚本は『草原の椅子』の成島出監督が共同執筆した模様。
自分で映画化する気はなかったのかなと思いますが、
確かに成島監督自らがメガホンを撮る作品とは趣がちがうような。

東京都内近郊で連続爆破殺人事件が発生中。
被害者は一様に舌を切り取られ、爆弾を仕掛けられている。
ある日、犯人をTV番組で予想した女占い師が同様の手口に遭い、
しかも爆弾を携えて路線バスに乗車させられたため、
小学生らが乗ったバスもろとも爆破され、惨状となる。

爆弾自体は珍しくない型のため、これまで捜査は困難を極めていたが、
今回は爆弾に使用されていた針金の組織面から、
この針金を切断した刃物が特殊で、購入者が限られていることが判明する。

購入者をしらみつぶしに当たり始めた刑事の茶屋と部下の広野は、
緑川紀子という若い女性のもとへと向かうが、2人が到着すると部屋の中から悲鳴が。
ドアを開けようとすると爆音が鳴り響き、そこには1人の男の姿。
部屋にいたはずの緑川とその友人の水沢ゆりあはおそらく男の共犯者で、
爆破直前に逃走したのだろうと茶屋らは睨み、一連の事件の犯人として男を逮捕する。

男は鈴木一郎と名乗ったものの、いっさい供述しようとはしない。
精神鑑定を担当することになった精神科医の鷲谷真梨子は、
どんな感情も見せない彼に興味を抱き、彼の過去を探り始めるのだが……。

原作では中部地方が舞台、犯人も緑川も女性ではなくて男性と、
さまざまなアレンジが加えられているようです。
これは原作も読んでみなくちゃと思いました。

舌を切り取るシーンは直視できず。
『ゼロ・ダーク・サーティ』の拷問どころじゃありません。
しかし、ここさえ目をつむれば大丈夫。おもしろい。
あり得ないだろうと思えるキャラクターもなんだかリアルだし、
説教臭く物事の善悪を問うていないところにも好感。

この日の1本目にも出演していた染谷将太は本作とギャップがあってゾワ~っ。
ほとんどしゃべらない生田斗真、表情が絶妙。
江口洋介は本作の茶屋刑事のような、脇役に回って熱い人を演じているときがイイ。

眉毛って大事だわ。
グウィネス・パルトロウやケイト・ブランシェット並みに、
二階堂ふみちゃん、眉毛がないと怖すぎる。

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『遺体 明日への十日間』

2013年03月11日 | 映画(あ行)
『遺体 明日への十日間』
監督:君塚良一
出演:西田敏行,緒形直人,勝地涼,國村隼,酒井若菜,佐藤浩市,
   佐野史郎,沢村一樹,志田未来,筒井道隆,柳葉敏郎他

TOHOシネマズ西宮で4本ハシゴの3本目。

“踊る大捜査線”シリーズの面々が監督や製作に名を連ねているとあれば、
ミーハーもしくは偽善的な作品になっても不思議ではありませんでしたが、
好感度の高そうな演技派、渋い役者陣が勢揃いしてミーハー臭なし。
ジャーナリストの石井光太による『遺体 震災、津波の果てに』の映画化です。

2011年3月11日、誰もが覚えている東日本大震災の起きた日。
岩手県釜石市の海岸沿いの町は津波に丸ごとのみ込まれ、
一夜明けてもあまりに大きすぎる被害の全容を把握することができない。

廃校となった中学校の体育館を遺体安置所として使うことが決まり、
医師の下泉(佐藤浩市)が検死作業に取りかかる。
歯科医師の正木(柳葉敏郎)も検死を依頼され、助手の大下を伴ってやってくる。

民生委員の相葉(西田敏行)は数年前まで葬儀会社に勤めていた。
遺体が次々と安置所へ運び込まれる様子に言葉を失い、
また、遺体の扱いがぞんざいであることに心を痛める。
しかし、遺体の扱いに慣れている人などほとんどいないのは当然のこと、
自分に安置所を任せてほしいと市長(佐野史郎)に直訴、ボランディアを申し出る。

遺体は「ご遺体」であって、「死体」ではない。
相葉は遺体となった一人ひとりに優しく声をかける。
死者の尊厳を損なうことなく接する相葉の姿を見て、
市職員(筒井道隆ほか)や消防署員たちの遺体への接し方も変化を見せる。

死後硬直が始まっている遺体の手足を戻そうとして、
最初はバキバキと力まかせに折っていますが、
相葉の実演によって筋肉をやわらかくしてやれば元に戻せると知ります。
開いたままの口も、周囲の筋肉をほぐせば和やかな顔に。
遺体が丁寧に扱われているのを見れば、遺族も少しは落ち着きます。
高圧的な命令や指示ではないからこそ、
安置所に居合わせた関係者たちが自然にそうするようになるのですね。

美化されている部分もあったとしても、やっぱり涙がこぼれます。
自分の患者や、昔お世話になった人が運ばれてきて、
それでも淡々と作業を進めなければならない医師たち。
久々に見た歯科助手役の酒井若菜が涙をこらえるシーンと、
住職役の國村隼がお経に詰まるシーンには胸が押しつぶされそうでした。

『ゲロッパ!』(2003)のときにも思ったこと。
実際には私より涙もろいんじゃないかと思う西田敏行。
こんな作品、客の側にいたらボロボロ泣いているんじゃないかと思うのですが、
これだけ泣くのをこらえられるなんて、凄い人やなぁ。

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