夜な夜なシネマ

映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

『ミニオンズ』

2015年08月06日 | 映画(ま行)
『ミニオンズ』(原題:Minions)
監督:ピエール・コフィン,カイル・バルダ
声の出演:天海祐希,設楽統,日村勇紀,宮野真守,藤田彩華,LiSA他
ナレーション:真田広之

封切り直後だったこの前の日曜日、朝7時すぎに家を出て梅田へ。
いつものごとく前日の晩は飲みすぎているため、
レッドブルで頭をシャキッとさせ、本作の8時からの回を。

DVDを買ってしまうほど好きだった『怪盗グルーの月泥棒』(2010)。
『怪盗グルーのミニオン危機一発』(2013)は吹替版の上映しかなくて残念。
本作もどうにかして字幕版で観たかったのですが、
この辺りではOSシネマズミント神戸まで行かないと観られないようで断念。
2D字幕版をTOHOシネマズ梅田で観ました。

人類が誕生するずっと前、恐竜時代からこの世に存在していた生物ミニオン。
彼らの生きがいは最強最悪のボスに仕えること。
初めてのボスは恐竜。原始人、古代エジプト人に仕え、ピラミッドの建設にも関わった。
ヴァンパイア海賊、ナポレオンにも仕えたが、その後、ボス不在の時代が到来。
ミニオンは自分たちだけで楽しく暮らしていたものの、
ボスがいないということが次第に彼らの心に暗い影を落とす。

まったく覇気の見られない仲間たちを前に、リーダーのケビンが立ち上がる。
最強最悪の新たなボスを求めてニューヨークへ行くことに。
スチュアートとボブが同行を志願、ボス探しの旅が始まる。

ニューヨークへ着いた3人は、オーランドで“大悪党大会”が開催されることを知る。
ヒッチハイクした車は泥棒一家で、ちょうど大悪党大会へ向かうところ。
意気投合した3人と一家はオーランドの会場へ入る。

そこはまるで悪党の見本市。次々と現れる悪党に3人の目はランラン。
3人の新しいボスは、世紀の女悪党スカーレット・オーバーキルと決定。
スカーレットは3人をロンドンへ連れて行くと、
エリザベス女王の王冠を手に入れるようにと命じるのだが……。

カワイイですねぇ、ミニオン。ま、それだけなんですけれども。(^^;
冒頭のさまざまなボスに仕えるシーンは傑作です。
ニューヨークへ来てからよりもそちらの話だけでまとめてもらうほうが良かったかも。

スチュアートがギターをかき鳴らすと
聴衆がヘッドバンギングするところなど、楽しさはいろいろ。
ミニオンファンのための作品ではありますが、
ミニオンを知らなくても真田広之のナレーションでちゃんとわかりますから、
おひまならどうぞ、という程度で。

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『犬どろぼう完全計画』

2015年08月05日 | 映画(あ行)
『犬どろぼう完全計画』(英題:How to Steal a Dog)
監督:キム・ソンホ
出演:キム・ヘジャ,イ・レ,チェ・ミンス,カン・ヘジョン,
   イ・チョニ,イ・ホンギ,ホン・ウンテク,イ・ジウォン他

なんばパークスシネマで『人生スイッチ』を11:25に観終わり、
シネマート心斎橋での本作上映開始は11:45で、つまり20分しかありません。
無謀すぎるとは思いましたが、どうしても観たいんだもの。
チャレンジする価値はあると思い、すたこらさっさ。

東心斎橋のコインパーキングから難波へ向かったときは道が空いていましたが、
昼前ともなると戎橋橋筋商店街はもう観光客でいっぱい。
できればアーケードのあるところを歩きたかったけれど、あまりの人の多さに、
心斎橋筋商店街に入るのはあきらめて、戎橋を渡ったところで御堂筋へ。
炎天下を小走りでシネマート心斎橋へと向かいました。

やっぱり無謀でした、このハシゴは。
歩いている間にふくらはぎもすねもパンパン。汗だらだら。息あがるあがる。
でも、なんとか11:45ちょっきしに劇場入り、オンライン予約していた座席券を発券し、
窓口でポイントを加算してもらって、確保していた入口すぐの端っこ席へ。
そう、いつのまにかシネマート心斎橋もテアトル系劇場と同じシステムが導入され、
オンライン予約ができるようになっていますね。
シネ・リーブルやテアトルと異なるのは、以前どおりポイントを付与してくれること。

さて予告編も少しは観て、本編には余裕のセーフ。
米国の作家バーバラ・オコーナーの児童文学『ジョージナの冒険』を映画化。
欧米小説の韓国での映画化はこれが初めてだそうです。
主人公の少女に『ソウォン/願い』(2013)のイ・レ。やっぱり上手いよ、この子。

小学生の女の子、ジソ。
父親はピザ屋を始めるも失敗、家族を残して失踪してしまう。
いつかきっと父親が帰ってくると信じ、母親のジョンヒョン、
幼い弟のジソクとともにピザ販売車内でピザを売ることもできずに寝泊まりしている。

ほとんどホームレスの生活を誰にも打ち明けることができない。
打ち明ければきっと嫌われていじめられる。
ジソはそう思っていたが、ついに仲良しの同級生チェランに知られてしまう。
しかしチェランはジソのことを馬鹿にしたりはしなかった。
誰にも言わず、ふたりだけの秘密とし、これまで以上に親しくなる。

家がない生活なんてもう耐えられない。
なんとか家を手に入れたいと不動産屋の前にたたずんでいたジソとチェランは、
「坪当たり500万ウォン」という素敵な売り家の広告を見て、
てっきり500万ウォン(=約35万円)で家が買えると思い込む。
ちょうどそのとき見つけた、500万ウォンの懸賞金が掛けられた犬の捜索願のチラシ。
残念ながらその犬はもう見つかったらしいが、
そこそこ金持ちの家で飼われている犬を盗んで懸賞金を貰えばいいのではないか。
そう考えたジソは、レストランの女性オーナーの飼い犬に目をつけるのだが……。

犬より猫派の私ではありますが、これはめちゃめちゃ良かった。
ジソたちが盗むのはジャックラッセルテリアで、小首をかしげるのが可愛い。
だけど、犬が可愛かったからよかったわけではなく、
子どもの想い、親の想い、いろんな想いが詰まった作品で、
ニッコリさせられることも泣かされることも。

ふてくされた表情が大半のジソ役のイ・レも可愛ければ、
彼女に協力するチェラン役のイ・ジウォンはいい脇役になれそうな可笑しさ。
鼻くそをほじる姿がさまになるジソク役のホン・ウンテクもケッサクです。
ジソたちに好きなように使われるピザ屋の兄ちゃんにイ・ホンギ
三本指のホームレス役チェ・ミンスも泣かせる役どころ。

無謀なハシゴを計画してよかったと思わせてくれる1本でした。
先月劇場で観た20数本のなかでこれがいちばん好きだったかも。
素直な気持ちになれます。

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『人生スイッチ』

2015年08月04日 | 映画(さ行)
『人生スイッチ』(原題:Relatos Salvajes)
監督:ダミアン・ジフロン
出演:リカルド・ダリン,オスカル・マルティネス,レオナルド・スバラーリャ,エリカ・リバス,
   リタ・コルテセ,フリエタ・シルベルベルグ,ダリオ・グランディネッティ他

7月最後の日曜日、梅田と難波のどちらで観るか悩み、ハシゴの都合で後者へ。
ハシゴの後の買い物の都合で車か電車か悩み、前者に。
東心斎橋のコインパーキングに駐車して、朝8時過ぎの心斎橋筋商店街を難波へ向かう。
この時間帯だと観光客はまだあまりいなくて歩きやすいけれど、
気温が36度まで上がったこの日、朝でも暑いのなんのって。
汗だくになりながらなんばパークスシネマへ到着。

第67回カンヌ国際映画祭でパルムドールにノミネートされ、
結局受賞したのは『雪の轍』でしたが、本作も大喝采を博したのだとか。
第87回アカデミー賞でも外国語映画賞にノミネート。
これも受賞は逃したものの、メキシコ、スペイン、バルカン半島など、
各地の映画祭の賞にノミネートされ、受賞を果たしています。
アルゼンチン/スペイン作品で、アルゼンチン史上最大のヒット。

アルゼンチン生まれの新鋭ダミアン・ジフロン監督に
スペインの鬼才ペドロ・アルモドバル監督が惚れ込み、
弟でプロデューサーのアグスティン・アルモドバルとともにプロデュース。
全6編から成るオムニバスのブラックコメディです。

原題の“Relatos Salvajes”は、英題の“Wild Tales”の意味そのままで、
野蛮な話、無謀な話ということだそうです。
邦題の『人生スイッチ』はひねりを利かせたつもりなのでしょうが、ちと苦しい。
予告編でも「人生には押してはならないスイッチがある」と言っていたけれど、
観てみればどの話にもスイッチがあるわけじゃなし。

1編ずつに関連性はなく、どれもそれぞれに「無茶苦茶な話」。

第1話「おかえし」。
飛行機に搭乗したファッションモデルが、通路を挟んで隣に座った男性と会話。
ひょんなことから元カレがその男性と知り合いだと判明。
するとその前列の老婦人まで元カレを知っていると言い出し……。
これがいちばん気に入りました。ラストシーンが傑作です。

第2話「おもてなし」。
郊外のレストランでウェイトレスとして働く女性。
ある夜やってきた男性客が父を自殺に追いやった高利貸しだと気づく。
動悸を隠せずにいると、女料理人からそんな相手は殺すべきとそそのかされ……。
血まみれの惨事に発展するだけで、これがいちばんつまらない。

第3話「エンスト」。
荒野の一本道、新車のアウディを飛ばしていた男。
前をちんたら走る車を許せず、抜きざまに中指を立てて罵声を浴びせる。
その後、運悪くパンクに見舞われ、路肩に車を駐めざるを得なくなる。
いらつきながらタイヤ交換しているところへ、さっき追い抜いた車が現れて……。
う○こネタが出てきてドン引き。でもこれも笑いました。

第4話「ヒーローになるために」。
爆破解体の現場監督を務める有能な職人である男。
今日も大仕事を片付けて、娘の誕生日ケーキを買って帰ろうと菓子店へ。
ところがそのわずかな時間の駐車中に、車がレッカー移動されてしまう。
レッカー移動費用の支払いに納得がいかない男は……。
こんなにゴネるのもどうかと思うけれど、全話で唯一のちょっといいオチ。

第5話「愚息」。
裕福な一家のバカ息子が夜中に車で妊婦を撥ね、青ざめて帰宅。
両親は息子の罪をもみ消そうと弁護士に相談、
使用人に金を渡して身代わりをさせることを思いつく。
弁護士も使用人も検察官も、金さえ貰えればなんでもするというお国柄。
笑うに笑えないオチで、これがもっともブラックかも。

第6話「ハッピー・ウェディング」。
最高に幸せなはずの結婚披露宴の途中、
新婦は新郎の浮気相手が招待客の中にいることに気づいてしまう。
怒り狂った新婦は会場を飛び出し、追いかけてきた新郎を脅す。
やがて会場に戻った新婦は、その新郎の浮気相手をダンスフロアに引きずり出し……。
すっごいですよ、これも。
どうしようもなくなった新郎が泣き崩れる姿が
『フレンチアルプスで起きたこと』と同じで可笑しかったです。

パワーに圧倒されるとともに、これが史上最大のヒットになる国ってどうよと思います。
面白いといえば面白いけれど、辛口すぎて、誰にもよう薦めません。
気になる人はおひとりでどうぞ。

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『チャップリンからの贈りもの』

2015年08月03日 | 映画(た行)
『チャップリンからの贈りもの』(原題:La Rancon de la Gloire)
監督:グザヴィエ・ボーヴォワ
出演:ブノワ・ポールヴールド,ロシュディ・ゼム,キアラ・マストロヤンニ,ピーター・コヨーテ,
   セリ・グマシュ,ナディーン・ラバキー,ドロレス・チャップリン,ユージン・チャップリン他

女子会前にシネ・リーブル梅田で2本ハシゴの2本目。
奇しくも前述の『サイの季節』と同じ時代が舞台でした。
フランス人、グザヴィエ・ボーヴォワ監督の作品を観るのはこれが初めてのはず。
『神々と男たち』(2010)を観たような気もするのですが、思い出せず。
DVDで観て、観たとは言えないぐらい寝たのかも。(^^;
役者でもある彼は、『マリー・アントワネットに別れをつげて』(2012)や
遡っては大嫌いだった(笑)『ポネット』(1996)にも出演されていたそうで。

1977年、スイスのレマン湖畔。
服役して出所したお調子者エディを親友のオスマンが出迎える。
オスマンは入院中の妻ヌールから「エディに関わるな」と言われていたが、
ほかに行き場のないエディを迎え入れ、自宅裏のトレーラーをあてがう。

オスマンのまだ幼い娘サミラは、最初はエディに怪訝な顔。
母親の言葉を無視した父親に不平を垂れるが、
オスマンは男の友情が何より大事なのだと言う。
読書家のエディから苦手のフランス語を習うことになって、サミラも了承。

しかし、オスマンにはエディの世話をする余裕はない。
雨漏りしそうな安普請の家で、サミラに十分に物を買ってやれず、
今は妻の入院費のことで頭がいっぱい。
そんなオスマンのところに居候していても相変わらずお気楽なエディは、
どこから盗んできたのか、クリスマスプレゼントにテレビを用意してサミラを喜ばせる。
そして、テレビに映し出されたのは、喜劇王チャップリン死去のニュース。

チャップリンの遺体が近所の墓地に埋葬されると知り、
エディが思いついたのは、遺体を盗み出して身代金を請求しようということ。
ためらうオスマンを強引に引き込むと、遺体誘拐計画を実行に移すのだが……。

著名人の遺体を盗み出す犯罪は過去に何件かあるそうで、これも実際に起きた事件。
ポスターを見てとても面白そうだと思ったのですが、イマイチ。
エディはお調子者すぎてイライラするし、オスマンのいい人ぶりも中途半端。
へらへらしたナチス式敬礼は不快、チャップリンの秘書役ピーター・コヨーテも物凄く嫌な奴。
ハッピーエンドにあざとさも感じてしまいます。

チャップリンへのオマージュとして見ればいいでしょう。
けど、映画としてはツマラナイ。
オスマン役のロシュディ・ゼムは『この愛のために撃て』(2010)のサルテ役のほうがず~っとよかったです。
やっぱりこれまで気にならなかった監督はイマイチということなのか。

なんかものすごく気のない感想文になってしまった。
いいの、このあと楽しく飲んだから。

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『サイの季節』

2015年08月02日 | 映画(さ行)
『サイの季節』(原題:Fasle Kargadan)
監督:バフマン・ゴバディ
出演:ベヘルーズ・ヴォスギー,モニカ・ベルッチ,イルマズ・アルドアン,
   カネル・シンドルク,ベレン・サート他

先々週の金曜日、「女は生理があがると最強」とおっしゃるお姉様方と女子会。
別に休みを取らなくても間に合う時間に宴会開始でしたが、
どうせ梅田に出るならば映画を観たくなって、午後に休みを取りました。

シネ・リーブル梅田で2本ハシゴすることにして、本作はその1本目。
イラン出身のクルド人監督によるイラク/トルコ作品です。
アッバス・キアロスタミ監督の作品に助監督や俳優として参加していた人で、
波瀾万丈の人生を歩まれているようです。
イラン国内でスパイ容疑で拘束されていた時期もあり、
現在は国外亡命を続けていらっしゃるのだとか。

本作は実在のクルド系イラン人の詩人サデッグ・キャマンガールの体験に基づく。
イタリアの至宝モニカ・ベルッチはやはり脱ぎっぷり良し。

1970年代の終わり、イランで成功を収めた詩人サヘルは、
大佐の娘であるミナと大恋愛中。

一方、大佐宅の運転手アクバルは、そんなふたりを送迎しながら、
叶うはずもないミナへの恋心を抑えることができない。
あるときついに心のうちをミナに打ち明けてしまい、
ミナの父親から身のほど知らずと怒りを買う。

やがてイラン・イスラム革命が起きる。
黒い気持ちで覆われたアクバルは革命に参加し、恨みを晴らそうとする。
それにより、ミナの父親は国王派の烙印を押されて捕らえられ、
反体制的な詩を書いたとしてサヘルとその妻ミナも逮捕される。
サヘルは国家転覆罪で禁固30年の刑、ミナも共謀罪で禁固10年の刑に。

夫婦離ればなれで獄中生活を送るサヘルとミナ。
新政府で実力者となったアクバルはミナに近づき、
自分ならばミナを自由の身にしてやれると言う。
しかしそれを拒絶するミナ。

ようやく解放されたミナは、サヘルと会える日を待ち望む。
ところがある日、サヘルの死亡通知が届き……。

30年の刑期を終えて出獄したサヘルは、ミナの行方をたどります。
ようやく彼女を見つけるも、彼女は少しも幸せそうには見えません。
彼女には娘が2人いて、獄中で授かった命とおぼしき年頃。
どうしてもミナに声をかけられないサヘルの今と、
ふたりがそれぞれに獄中で過ごした日々が交互に描かれます。

なんとしてでもミナを手に入れたかったアクバルの執念が怖い。
本作や『チャイルド44 森に消えた子供たち』のような、権力に物を言わせて女を手に入れようとする男を見ると、
やはり辻村深月のストーカーについての話を思い出します。
男性の自尊心を傷つけずに愛を拒絶することの難しさ。
自尊心がどうとかという話は本作の肝ではないけれど、
誰も彼もの自尊心を根こそぎ奪い取ってしまったのが革命の世界なのかなと思いました。

クルド人女性によって朗読される詩がとても良かったです。

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