夜な夜なシネマ

映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

『犬猿』

2018年02月19日 | 映画(か行)
『犬猿』
監督:吉田恵輔
出演:窪田正孝,新井浩文,江上敬子,筧美和子,阿部亮平,木村知貴,
   後藤剛範,土屋美穂子,健太郎,竹内愛紗,小林勝也,角替和枝他

「本当に観たい映画は何か」を熟考して2本選択。
そのうちの1本が前述の『ロープ/戦場の生命線』でした。
十三から梅田へ移動、テアトル梅田にて。

『机のなかみ』(2006)を観て以来、気になっている吉田恵輔監督。
『純喫茶磯辺』(2008)、『さんかく』(2010)はDVDで観ましたが、
劇場で観た『ヒメアノ~ル』(2015)には呆然。
最初の印象とは一転、どろどろの感情に取り囲まれて言葉を失うほどだったから、
本作もそういう可能性はあると覚悟して観ました。

印刷会社の営業マン・金山和成(窪田正孝)は地方都市で一人暮らし。
お人好しの父親が作ってしまった借金の返済を助け、
真面目で慎ましやかな生活を送りつづけている。

そんなある日、兄の卓司(新井浩文)が出所してくる。
和成と対照的な性格の卓司は、強盗を働いて服役。
どこで聞いたか、和成の自宅を探し当てて転がり込み、
しばらく一緒に住まわせろとのたまう。

一方、和成が担当する小さな印刷所には、
金山兄弟と同じように対照的な姉妹がいた。

印刷所を切り盛りする幾野由利亜(江上敬子)は、仕事はできるがブスでデブ。
その妹の真子(筧美和子)は、仕事はできないが可愛い。
周囲からちやほやされる真子を見るにつけ、由利亜はイライラ。
真子は真子で由利亜のことをバカにしている。

由利亜はひそかに和成に想いを寄せていたのだが、
和成が真子とつきあいはじめ……。

『ヒメアノ~ル』のようなエグさはなくてホッ。
もともと好きな新井浩文、この卓司役もハマっています。
彼と江上敬子演じる由利亜の掛け合いシーンは傑作。
私はテレビをほとんど観ないため、江上敬子なる人が誰かを知りませんでした。
エンドロールを見て、“ニッチェ”って聞いたことある~、
この人、お笑い芸人だったんだと初めて気づきました。
映画初出演らしいですが、凄いです。脱帽。

最後はちょっぴりブラックに終わるところも吉田監督。
やっぱり面白いよ、この監督。

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『ロープ/戦場の生命線』

2018年02月18日 | 映画(ら行)
『ロープ/戦場の生命線』(原題:A Perfect Day)
監督:フェルナンド・レオン・デ・アラノア
出演:ベニチオ・デル・トロ,ティム・ロビンス,オルガ・キュリレンコ,
   メラニー・ティエリー,フェジャ・ストゥカン他

1週間前、3連休の中日だった日曜日、晩は長堀橋で飲む予定。
それまでに3本ハシゴするはずが、うだうだしていたら時間がなくなり。
こういうときこそ、「本当に観たいのはどれか」を考えるべきと、
自分の胸に手を当てて(笑)熟考、2本を厳選しました。

1本目は十三シアターセブンにて本作を。
第七藝術劇場のすぐ下の階にある、これまた楽しい映画館です。
なんてったって、座席番号が続いていない。
どこかから譲り受けたものと見えて、激しく番号が飛んでいます。
アルファベットも数字もバラバラに並ぶ席を見るだけで楽しいというもの。
十三ではついついナナゲイに行ってしまうから久しぶり。このとき以来。

スペイン出身の新鋭フェルナンド・レオン・デ・アラノア監督による、初の英語作品。

1991年から2000年前後にかけ、ユーゴスラビア連邦が解体される過程で、
バルカン半島のあちこちで内戦が勃発。
それらをまとめて、いわゆるユーゴスラビア紛争と呼ばれています。
そのうちのボスニア・ヘルツェゴビナ紛争は1992年に勃発、
1994年にはアメリカが介入、さらにはイギリスとフランスも介入して両者対立。
事態が悪化したところ、後にノーベル平和賞を受賞した、
ジミー・カーター元大統領の仲介によって、1995年1月1日に停戦。
そんな停戦直後のバルカン半島が舞台です。

国際援助組織“国境なき水と衛生管理団”のメンバー、マンブルゥ(♂)が、
通訳を務めるボスニア人のダミール(♂)とともに出向いたある村では、
井戸に死体が投げ込まれて、水の汚染が懸念されている。
早急に死体を引き上げようとマンブルゥは作業を開始するが、
やたら太った男の死体だったため、途中でロープが切れてしまう。

とにかくロープを入手しなければどうにもならない。
同じくメンバーのビー(♂)、ソフィー(♀)と合流、
ロープを求めて走り回るマンブルゥたちだったが……。

途中、いじめられている少年ニコラに遭遇、
放っておけなくなったマンブルゥが同乗させます。
また、支援の審査にやってきたカティヤ(♀)はかつてマンブルゥと寝た仲。
マンブルゥにはちゃんとほかに恋人がいるのだから、
こんなところで昔寝た相手に会ったらろくなことになりゃしない。
シリアスな内容のなかに笑える会話やシーンがいっぱいあって、
何度かふきだしてしまうほどだった良質のブラックコメディです。

マンブルゥ役にベニチオ・デル・トロ、ビー役にティム・ロビンス
カティヤ役にオルガ・キュリレンコ、ソフィー役にメラニー・ティエリー。

道路の真ん中に死んだ牛が横たわっているのですが、
それはそこで轢かれたわけではなくて、どこかから引きずられてきたもの。
牛の死体を避けようと迂回すれば地雷を踏むようになっているのですと。
牛の右か左、どちらを通るかを運に任せて選ばなあかんという凄い状況。

これが笑い話ではなくてリアルにあるのだと思うと、
なんて恐ろしいことなんだと笑ってはいられなくなります。
そして、独特のユーモアのセンスを持つ人々に会ってみたくなる。

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『マンハント』

2018年02月16日 | 映画(ま行)
『マンハント』(原題:追捕)
監督:ジョン・ウー
出演:チャン・ハンユー,福山雅治,チー・ウェイ,ハ・ジウォン,國村隼,竹中直人,
   倉田保昭,アンジェスル・ウー,桜庭ななみ,池内博之,TAO,田中圭他

午後休を取って109シネマズ箕面にてハシゴの2本目。

超話題作だから説明不要かも。
高倉健主演の『君よ憤怒の河を渉れ』(1976)を福山雅治主演でリメイク。
世界的に有名なジョン・ウー監督が大阪大好きだなんて、嬉しいやんか。

しかし、のっけはドン引き。何この演歌な出だし。
監督がこの人じゃなかったら思いっきりB級映画を想像するところ。
いろいろと私は笑いそうになったんですけれど、
ほかのお客さんはそうでもないみたいで、あれ?ワロたらあかん?

大手製薬会社・天神製薬の顧問弁護士を務めるドゥ・チウ(チャン・ハンユー)。
天神製薬社長・酒井(國村隼)からの契約更新を断った翌朝、
自宅のベッドで目覚めると、隣には社長秘書・希子(TAO)の死体が横たえられていた。
110番通報するも、駆けつけた警官に容疑者として逮捕されそうに。
何者かによる罠だと気づいたドゥ・チウは咄嗟に逃げる。

大阪府警の孤高の敏腕刑事・矢村聡(福山雅治)は、上司・伊藤(竹中直人)の命令で、
新人刑事・百田里香(桜庭ななみ)を従えて調査を開始。
ドゥ・チウの居場所を突き止めたものの、揃いすぎている証拠がおかしい。
「はめられたんだ」とのドゥ・チウの言葉が嘘とは思えない。

ドゥ・チウと追走劇を繰り広げるうち、彼が逃走先で数度おなじ女性に会っていることが判明。
彼女は天神製薬の研究者だった北川正樹(田中圭)の婚約者・遠波真由美(チー・ウェイ)。
北川は天神製薬で窃盗を働いたとして訴えられ、敗訴したのちに自殺していた。
そのさい、会社側の弁護を担当したのがドゥ・チウだった。

真由美に接触を図った矢村は、会社ぐるみの陰謀を確信。
それどころか大阪府警内部にも内通者がいるかもしれない。
矢村は真由美と協力、酒井とその息子・宏(池内博之)に疑いの目を向けるのだが……。

演歌なオープニングに始まり、スローモーションの映像多数。
全体的に大がかりな火曜サスペンス劇場みたいな印象です。
特別出演の斎藤工吉沢悠は、序盤にちらりと登場する名もなきテロリストで、
こんな役、ホンマに要るか?と言いたくなるもの。
しかし、テロリストの人質になっていた少年が助けてくれた矢村に
「どうしたらあなたのような刑事になれるんですか」と泣きじゃくりながら聞くのに対し、
「やらなきゃいけないこと、やりたくないこと、全部やるんだ」と答える矢村に、
うーん、この台詞のためにはやっぱり要るかな特別出演と思ったりも。

なかなかにクサい台詞やシーンが多いけど、そういうところも本作のいいところ。
なんだかんだでやっぱりカッコイイですしねぇ、福山雅治。
ジョン・ウー監督のお嬢さん、アンジェスル・ウーが殺し屋役で。
この人はいい味を出しているので、コメディ映画なんかにも出てほしい。

いかにもな大阪よりも、中之島リバーサイドなどのお洒落なところ多し。
つべこべ言わずに楽しんだもん勝ち。

しかし原作やオリジナル映画でもあんなゾンビみたいな人たちが出てくるんですか。
どっちも読んで観てみなければ。

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『レ・ミゼラブル』をIMAXシアターでもう一度。

2018年02月15日 | 映画(ら行)
先週の金曜日、午後休を取って109シネマズ箕面で2本。

日本ではミュージカル映画のヒットは望めない。
そんな定説をひっくり返したのは『レ・ミゼラブル』(2012)でしょう。
当時、TOHOシネマズ梅田のいちばん大きなシアター1で観て、
エンドロールが回りはじめても誰も席を立つ人がいませんでした。
シネコンでこういう経験はまずなかったため、たいそう驚いた覚えが。

同じくヒュー・ジャックマン主演の『グレイテスト・ショーマン』が
今週末に公開されるからなのか、
その『レ・ミゼラブル』をIMAXシアターで上映中。
ほかに観たい作品もなかったので、もう一度観ておくことに。

職場で話していても、ヒュー・ジャックマンの人気は絶大。
みんな、「ヒュー・ジャックマンとなら結婚してあげてもいい」と言います。
なぜに上から(笑)。
しかしこのヒュー様は見た目的にはあまりイケてはいないですよね。
髪の毛もじゃもじゃ、痩せているからガッチリ感なし。
やっぱり見た目は『オーストラリア』(2008)とか『リアル・スティール』(2011)のほうがええな。
もっと遡って『恋する遺伝子』(2001)とか『ニューヨークの恋人』(2001)とかでも。

『ニューヨークの恋人』といえば、そのときのヒロインはメグ・ライアンでした。
その頃のメグ・ライアンはラッセル・クロウと不倫中。
いまはかなりの中年太りのラッセル・クロウ、
『レ・ミゼラブル』のときもすでに太りはじめてはいたものの、
『ナイスガイズ!』(2016)では貫禄ありすぎな腹の出具合。

などと、本筋に関係のないことをいろいろ考えながら鑑賞。
5年前に泣けたシーンは、今もやはり泣けます。
ガブローシュを演じた子役のダニエル・ハトルストーン、
日本版のウィキペディアには名前が見られないので、
彼がその後も順調に役者人生を歩んでいるのか知りたいところです。

さて、『グレイテスト・ショーマン』は明日公開。
封切りから3日間以内に観るつもりではいますが、どこで観るか悩み中。

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『マーベル インヒューマンズ』

2018年02月14日 | 映画(あ行)
『マーベル インヒューマンズ』(原題:Inhumans)
監督:スコット・バック
出演:アンソン・マウント,イバン・リオン,セリンダ・スワン,
   エミ・イクワーカー,イザベル・コーニッシュ,ケン・レオン他

109シネマズ大阪エキスポシティにて、前述の『不能犯』とハシゴ。

ほかに観るものがなくて、なんだかまったく知らないまま鑑賞。
結果、エライものに手を出してしまったとちょっぴり後悔。
いや、面白かったんですけどね、これってTVシリーズやんかいさ。
たまにある、ハシリの部分を映画で見せて、TV版に引き込もうというやつらしい。
これで完結しなかったから、続編も劇場で観なしゃあない。
しかもIMAXなんだもの、2,400円もするのよん。憮然。(--;

インヒューマンズ(=超人類)が住む王国。
王ブラックボルトと女王メデューサ、その一族たちは平和に暮らしていたが、
ブラックボルトの弟マクシマスがクーデターを企てる。
殺害されそうになったところをメデューサの妹クリスタルの機転でタイムワープ。
ワープ先は地球のハワイだった。

しかし一族全員バラバラにワープさせられたものだから、
同じハワイにいることがわかっても、お互いを見つけられない。
地球人と自分たちとの違いに戸惑いながら、
なんとか生き延びて王国へ還ろうと奮闘する。

やがて、ブラックボルトらの居場所をかぎつけたマクマシスが
地球に暗殺部隊を送り込み……。

王様が天然の入った善人のようなんですが、
だけど彼が統治してきた王国は、ものすごい階級社会。
何の特殊能力も持たない「人間」は最下層で、貧困を極めているのです。
憎たらしいマクシマスの民衆に訴えかける言葉が真実かどうか、
でも今のところ、彼の言うことにも一理あるような気がして。

こんな途中でブチッと終わられて、どうせぇっちゅうねん。
とりあえずこの春、続編が劇場公開されるらしい。
それは観ることにしますけど、なんかセコいよ、この売り方。

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