夜な夜なシネマ

映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

8回目の『RRR』

2023年02月18日 | 映画(あ行)
7回目を観たのは1月半ば、シアタス心斎橋のグランシアターでした。
〆にするにふさわしい劇場だし、それで打ち止めにしようと思っていたのです。
 
1回目を観たとき、友人から言われました。
これも30回行くことになるんとちゃうん?」って。
そのときにはこう答えました。「いやいや、こんな映画、ロングランにはならんでしょ。
30回行こうと思ってもそんなときまで上映してないと思う」って。
 
誰がこんなロングランになることを予想したでしょう。
だってインド映画ですよ。3時間あるんですよ。
世の中には、ボリウッドなんて言葉は知らない、インド映画なんて観たことないという人、
インド映画と聞いただけで拒否反応を示す人も多いはず。
なのにまさかの大ヒット、あちこちで復活上映もされて、ロングランに。
 
このたびは塚口サンサン劇場でトーク付き上映会があるという。
ゲストはインド出身の俳優でありラジオパーソナリティであるサニー・フランシスさん。
ウィキペディアによれば、母国語はマラヤーラム語、第二言語がヒンディー語らしい。
しかし日本に長く暮らすサニーさんのこと、日本語は堪能なんてもんじゃありません。
関西弁をも自由に操りABCラジオでは“マサララジオ”という番組で喋りまくっていらっしゃいます。
そんなサニーさんと、マサララジオの相方アナウンサー小寺右子さんが上映前に20分ほどトーク。
 
トーク付き上映会とのことだから、『RRR』にまつわる話が聴けるのかと思ったら違った。
「みんなマサララジオを聴いてね。Twitterでフォローしてね」だけやんかいさ。(^^;
映画とはほぼ何の関係もない話に終始しました。
関係ある話といえば、「皆さん、『RRR』を観るのは何回目ですか」っちゅう話。
20回ご覧になったという男性がステージ上に呼ばれ、“ナートゥ”を少し踊ってみせる。
あんなの、何回観たって踊れるようになるとは思えませんから、凄いですねぇ。
 
あ、そういえば、映画に関係のある話を思い出した。
あの“ナートゥ”は、ラーマとアクタルの動きがピッタリ合わねばラージャマウリ監督が許さず、
実に63日間をあのシーンのみに費やしたそうです。驚愕。
 
意外だったのは、このとき初めて『RRR』を観るというお客さんが多かったこと。
初めてご覧になった皆さん、どうでしたか。リピートします?
 
エンドロールが終わると拍手喝采。「凄かったな」なんて言葉も聞こえて熱い上映会でした。
ほんでたぶんまた行く私。8回ってキリ悪いし、とりあえず10回にはしよかな。(^O^)

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『ワールドツアー上映「鬼滅の刃」上弦集結、そして刀鍛冶の里へ』

2023年02月17日 | 映画(か行)
『ワールドツアー上映「鬼滅の刃」上弦集結、そして刀鍛冶の里へ』
監督:外崎春雄
声の出演:花江夏樹,鬼頭明里,下野紘,松岡禎丞,小西克幸,花澤香菜,
     沢城みゆき,逢坂良太,置鮎龍太郎,宮野真守,石田彰,関俊彦他
 
109シネマズ箕面にて。
 
ワールドツアー上映って何よって思いました。
儲かるやろからってTVの何回かを寄せ集めて劇場で上映するだけちゃんかいな。
利益至上主義に走っとるなぁ、ヤな感じ。と思いながら観に行ったんです。
 
すごく面白かったけど、“鬼滅の刃”にばかり割く時間はないから、
以降はまったく観ていないし、原作も未読のままです。
だからなおのこと、さしてテンションは上がらずに観はじめました。
 
そうしたら、やっぱり面白いじゃあないか!
無限列車編に登場した人物のことしかわからないのに、全然問題なし。
煉獄さんがいないのが寂しいけれど、ハダカイノシシ(笑)は健在だし、
ヘタレなところも憎めない善逸、私は今回初めて見た柱の宇随さんと、
アンタらみんな不死身か。(^^;
毒が体に回ろうが、腕を切り落とされようが、死なないとは。
 
なんと言っても可愛いのは禰豆子。もう可愛くて可愛くて仕方ない。
いちばん頼りになるのはこの子だったりするのですけどね。
 
鬼は鬼で、鬼になってしまった背景がそれぞれにある。
今回の敵だった妓夫太郎と梅という兄妹の物語が悲しすぎる。
きっと鬼殺隊の面々にも鬼たちにも各々こういう物語があるのでしょうね。
だからこんなにも人気があるのかなと思いました。
 
しっかり乗せられているわけですが、間違いなく面白い。
いつか全編観たいです。老後の楽しみに取っておくかもしれません。

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『仕掛人・藤枝梅安』

2023年02月16日 | 映画(さ行)
『仕掛人・藤枝梅安』
監督:河毛俊作
出演:豊川悦司,片岡愛之助,菅野美穂,小野了,高畑淳子,小林薫,早乙女太一,柳葉敏郎,
   天海祐希,中村ゆり,田山涼成,板尾創路,六角精児,井上小百合,若林豪他
 
イオンシネマ茨木にて。
 
今年は池波正太郎の生誕100年に当たる年なのだそうです。
ついでに時代劇専門チャンネル25周年らしい。
それを記念して、代表作のひとつ“仕掛人・藤枝梅安”シリーズを2部作として映画化。
監督はTVドラマを中心に活躍する河毛俊作。
 
江戸・品川台町の鍼医者・藤枝梅安(豊川悦司)は腕の良さで知られている。
しかも患者が金持ちであろうが貧しかろうが関係なく治療を施してくれることで評判。
 
梅安には“仕掛人”という裏の顔があった。
仕掛人とは、“蔓”と呼ばれる裏稼業の元締めからの依頼で動く殺し屋のこと。
表向きは楊枝屋の同業者・彦次郎(片岡愛之助)だけが心を許せる相手。
 
ある日、梅安は元締めのひとりである羽沢の嘉兵衛(柳葉敏郎)から、
料理屋“万七”の女将・おみの(天海祐希)の仕掛を依頼される。
おみのは万七の主人(田山涼成)の後添えで、先妻は実は梅安が仕掛けたものだから、
このたびの依頼に少し驚く梅安だが、引き受けることに。
 
いったい万七の先代女将の仕掛を依頼してきたのは誰だったのか。
“起り”(=依頼人)を探るのは仕掛人の掟に反するが、
どうにも気になって仕方のない梅安は、彦次郎に相談するのだが……。
 
以前ほどではありませんが、まだまだ時代劇は得意なほうではありません。
けれども本作のなんとわかりやすく面白いことよ。
起り、蔓、仕掛という言葉を知ることもできました。
 
誰も信用できないなかで、梅安と彦次郎が酒を酌み交わす様子には和みます。
また、食通の池波正太郎らしく、出てくる料理が皆美味しそう。
なんということのない料理ばかりではあるのですが、
彦次郎がつくる湯豆腐なんて、めちゃめちゃ旨そうでした。
 
料理屋を売春宿のように使うお侍の悪いこと悪いこと。
嶋田大学役の板尾創路は殺してやりたいほど憎たらしい(笑)。
彼が亡き者にしようとする石川友五郎役の早乙女太一殺陣が美しかったですねぇ。
って、殺陣に詳しいわけではないので、これがどの程度のものかわからないんですけど。(^^;
 
トヨエツとラブリンのコンビが良くて、次作もすごく楽しみです。
エンドロールの後に次作への話がありますから、最後まで席はお立ちになりませんように。

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『ノースマン 導かれし復讐者』

2023年02月15日 | 映画(な行)
『ノースマン 導かれし復讐者』(原題:The Northman)
監督:ロバート・エガース
出演:アレキサンダー・スカルスガルド,ニコール・キッドマン,クレス・バング,
   アニャ・テイラー=ジョイ,イーサン・ホーク,ビョーク,ウィレム・デフォー他
 
TOHOシネマズなんば別館にて2本ハシゴの2本目。
 
まだ30代でこれが長編3本目だというのに、すべてすこぶる面白いロバート・エガース監督。
『ウィッチ』(2015)、『ライトハウス』(2019)、どちらも好きでした。
ただ、かなり暗いので、映画好きの人にしか鑑賞を勧めにくい監督かもしれません。
 
西暦895年、9世紀のスカンジナビア地域にある小国。
凱旋帰国した王オーヴァンディルを王妃グートルンとまだ幼い王子アムレートが出迎える。
自らに衰えを感じたオーヴァンディルは、アムレートを連れて成人の儀式を執りおこなう。
 
その後、ふたりでいるところを何者かに襲われ、オーヴァンディルは暗殺される。
物陰からその様子を見たアムレートは、父親を殺した犯人が叔父フィヨルニルであることを知る。
王の後継者をこの世から消したい彼は王子をも追うが、アムレートは必死で逃げる。
やがてフィヨルニルはグートルンを連れ去り、アムレートも密かにこの国を脱出する。
 
年月が経ち、成長したアムレートは各地で略奪を繰り返すヴァイキングの一員となっていた。
復讐を果たそうとフィヨルニルのもとへ出向こうとしたところ、
フィヨルニルが他国の王に領土を追われて今はアイスランド羊飼いとして暮らしていることを知る。
 
フィヨルニルが仕切る農場へと送られる奴隷に紛れ込んだアムレートは、
同じく奴隷としてこの地に送られたスラヴ人の魔女オルガと出会う。
ふたりは手を組み、共にフィヨルニルを倒すことを約束するのだが……。
 
北欧の神話やヴァイキング伝説をベースにしているのだそうですが、
ほぼ『ハムレット』そのものの物語だから、『ハムレット』を少しでも知っていればとっつきやすい。
 
序盤、ちょっと笑ってしまったのは、あんなに幼かった王子アムレートが、
たった数年でアレキサンダー・スカルスガルド演じるオッサンになるか!?ということです。
だって彼、実年齢はもう46歳だし、数十年経たなければあんな見た目にならん。(^^;
実父のステラン・スカルスガルドと似ても似つかない顔立ち(イケメン)だと思っていましたが、
歳を取ってだんだんと似てきましたねぇ。
 
オルガ役にはアニャ・テイラー=ジョイ。ほんの子どもだった彼女は色気も出てきて堂々の役者ぶり。
誰よりも狂気じみていて恐ろしかったのは、グートルン役のニコール・キッドマン
クレス・バング演じるフィヨルニルが本当は善人なのか悪人なのか。
いやいや、善人か悪人かなんて、相対する人によって印象は異なるものだし。
 
ロバート・エガース監督のお気に入りなのでしょう、ウィレム・デフォーの役どころも面白い。
宮廷道化師という役柄なのですが、こういう肩書きの人が本当に存在したのですね。
王によって雇われたエンターテイナー。
 
復讐は、果たしたとしても心は報われない。空しいだけ。
見応え満点です。

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『スクロール』

2023年02月14日 | 映画(さ行)
『スクロール』
監督:清水康彦
出演:北村匠海,中川大志,松岡茉優,古川琴音,水橋研二,莉子,
   三河悠冴,MEGUMI,金子ノブアキ,忍成修吾,相田翔子他
 
TOHOシネマズなんばにて2本ハシゴの1本目。
この日は2本とも別館で上映している作品でした。
 
原作は橋爪駿輝のデビュー小説。
北村匠海中川大志の主演コンビ目当てで観に行きました。だってふたりともかわいいでしょ。
 
大学を卒業して就職した“僕”(北村匠海)は上司コジマ(忍成修吾)のパワハラに遭い、
いつしか死ぬことばかり考えるようになっていた。
自分の思いを書き綴ってフォロワーなどいないSNSに投稿していたが、
ある日そこに書いた、誰も知る由もないはずの「コジマ、マジ死んでほしい」という言葉を、
同僚の女性“私”(古川琴音)がコジマ本人に向かって吐き、そのまま退職する。
 
そんな折、“僕”のもとへ大学時代の友人ユウスケ(中川大志)から連絡が入る。
卒業式当日の写真に一緒に映っている森(三河悠冴)が自殺したらしいが、
ユウスケは森のことをまったく覚えていない。
しかしテレビ局に入社したユウスケは森のことを番組で取り上げたいと考えて……。
 
冒頭、夢かうつつか、“僕”が入った建物の中には誰もいないレストランがあり、
そのウェイトレスが地下アイドルのようだけど、さっぱり意味わからず。こりゃ寝るなと思いました。
 
ところが段々おもしろくなってきた。
 
“僕”が死にそうな顔をしているところは、まるで『ちょっと今から仕事やめてくる』(2017)。
あのときの福士蒼汰と北村匠海の表情がかぶります。
コジマの人でなしぶりに、いつかこいつに天罰が下ればいいと思っていたら、そのとおりになってスッキリ。
 
“私”の友人・菜穂(松岡茉優)にもイライラさせられっぱなし。
“私”の男性への接し方を重いと笑う菜穂が実はいちばん重い。
彼女の場合もコジマと同じでその心をへし折ってやれなどと思っていたら、これまたそのとおりに。
 
なんというのかこんなふうに、イライラさせられて、腹立たしく思わされて、
こいつをなんとかしてくれと思ったらそのとおりにしてくれる、そんな作品なんです。
だからって痛快というわけではない。自分の嫌なところも見せられている感じで。
 
森の母親(相田翔子)が自殺した息子の勤務先を責めて「社会が問題だ」と言ったときに、
「その社会にはあなた自身も含まれているのか」とユウスケが問うたシーンはグサリと来ます。
ユウスケの上司(水橋研二)はコジマと違って良い人に思えるけれど、
「死ね」と言うのと「生きてる意味あんのか」と言うのは結局同じことなのでしょうか。
 
ひとつ、文句を言いたい。金子ノブアキ演じる教授だかなんだかの台詞。
「的を得ているね」はやめて。的は射る、得るのは当やて、前から言うてるでしょうが!(笑)

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