夜な夜なシネマ

映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

2回目の『BLUE GIANT』は【拍手歓迎上映】。

2023年06月20日 | 映画(は行)
1回目の『BLUE GIANT』を観たのは2月末でした。
すごく良かったのでもう1度ぐらいは観たいな~と思いつつ時が経ちました。
 
六甲で晩ごはんを食べる日、シネ・リーブル神戸で1本目2本目を観て、
あと1本観ればちょうど良い頃合いで、どれにするか迷う。
封切りになったばかりの作品のうちのどれかを観たかったけど、時間が合わず。
だったらこれにしておこうかなということで、2回目の『BLUE GIANT』。
【拍手歓迎上映】とあります。はたして盛り上がるのでしょうか。
 
最初に観てから5カ月近くが経つと、演奏の感動は新たに味わえます。
1回目に観たイオンシネマ茨木よりも音響設備が良いのか、
それとも劇場が小さいから音が響くように感じるのか、めちゃめちゃイイ。
 
終盤、交通事故に遭って右手がぐちゃぐちゃになる雪祈のことを「重体」とアナウンスされるのは
今回も気になりました。重体ならさすがにこの場に来るのは無理だよねぇ、重症だよねぇって。(^^;
 
大と俊二ふたりきりの演奏、「重体」の雪祈がやってきてからの演奏、
どちらもすごく良かったけれど、画面内の聴衆みんなこんなに泣いていましたっけ。
みんながあまりに泣きすぎるから、アマノジャクの私は泣けなかった(笑)。
この辺りは初見のときのほうが素直に演奏にのめり込めますね。
 
で、肝心の拍手なんですけど、誰も拍手せぇへんやん。私だけやったがな。
しかも映像の中の拍手の音がデカすぎて、私がいくら拍手しようともかき消されてしまう。
上映が完全に終わってからも拍手する人はいなくて、ちょっと、だいぶ、がっかりでした。
『RRR』のときにはほぼルーティン化していた拍手を思い出すなぁ。
 
たぶん拍手したいお客さんはいっぱい。だけどそれに慣れていないからなんとなく恥ずかしい。
そういうことだと思いたい。

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『青いカフタンの仕立て屋』

2023年06月19日 | 映画(あ行)
『青いカフタンの仕立て屋』(原題:Le Bleu du Caftan)
監督:マリヤム・トゥザニ
出演:ルブナ・アザバル,サレ・バクリ,アイユーブ・ミシウィ他
 
六甲で晩ごはんの前にシネ・リーブル神戸で3本ハシゴの2本目。
 
フランス/モロッコ/ベルギー/デンマーク作品。
 
マリヤム・トゥザニ監督によるこれが長編2本目。
長編デビュー作の『モロッコ、彼女たちの朝』(2019)は昨年DVDで観ましたが、
パン屋という舞台にも惹かれ、心に残る作品でした。
トゥザニ監督は美人女優でありながら脚本も自分で執筆。天は二物を与える。
 
モロッコの古都サレの旧市街で仕立て屋を営む中年夫婦。
職人気質のハリムと主に接客を担当するミナは結婚して25年、子どもはいない。
 
手縫いにこだわり、決してミシンを使おうとしないハリムの腕は確かだが、
注文を捌ききれずに客が逃げてしまいそうになることもしばしば。
助手を務める者が必要だと考え、若手職人ユーセフを雇うことに。
 
真面目で筋も良いユーセフは期待以上の働きを見せ、仕事も上手く回り出す。
しかし、ハリムとユーセフの間に師弟関係を超えた感情があるのをミナは察知し……。
 
説明は多すぎることなく、だからといって難しい作品でもありません。
 
寡黙なハリムが公衆浴場に通う様子から、彼はゲイであることがわかります。
彼だけが特別なわけではなくて、公衆浴場はいわゆる「ハッテン場」として利用されているらしい。
妻にそれを話すことはできないけれど、ミナはおそらくずっと前から気づいています。
 
ミナは同性から見て素晴らしい女性とは言い難い。
生地がなくなった折にはユーセフを疑って責め、それが自分のミスだとわかったときには隠す。
ずいぶん気も強くて難儀な部分があるのに、ミナといるときのハリムが意外にも幸せそうで不思議。
その理由がわかったときには胸にジーンと来ました。
 
恋とは別の愛情がこの夫婦の間にはある。
癌を患うミナの余命がわずかとなったときには、ハリムは献身的に介護し、
ミナもユーセフにならハリムを託したいと思っていることが感じられます。
 
ユーセフ役のアイユーブ・ミシウィがまたイケメンで、
そりゃ夫の前にこんなイケメンの若くて善人の男が出てきたら、妻は心配でたまらんだろうと思う。
でも張り合ったって仕方がない。妻は恋の相手にはなれないわけですから。
3人で踊る姿がとてもよかった。
 
じんわりと、良作。
カフタンを仕立てる一刺し一刺しからも目が離せません。

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『テノール! 人生はハーモニー』

2023年06月18日 | 映画(た行)
『テノール!人生はハーモニー』(原題:Tenor)
監督:クロード・ジディ・ジュニオール
出演:ミシェル・ラロック,MB14,ロベルト・アラーニャ,ギヨーム・デュエム,ステファーヌ・ドゥバク,
   マエヴァ・エル・アルーシ,サミール・デカッツァ,マリー・オペール,ルイ・ドゥ・ラヴィニエール他
 
昨日の晩ごはんは六甲で。せっかくなのでその前にシネ・リーブル神戸で映画を3本。
そうでもしないと、神戸まで映画を観に行く機会というのか気力は今はないから。
前回この劇場へ出向いたのは去年の11月だったようです。
そうだ、そのときも後に神戸で食事する予定があったんだわ。
 
これは絶対観たかった作品です。
梅田かなんばか迷っているうちに終映になりそうで、今回神戸で観られて本当によかった。
 
ラップ好きの青年アントワーヌは、賭けボクシングで稼ぐ兄ディディエとふたり暮らし。
学のないディディエは、自分とは違って賢いアントワーヌをなんとか学ばせたい。
並外れて数学に強いアントワーヌには会計士になってほしくて、賭けに勝った金で学費を工面している。
 
会計士の資格を取るべく学校に通うかたわら、アントワーヌはデリバリーの寿司屋でバイト。
ある日、オペラ座からの注文を受けて配達に行ったところ、レッスン生の歌声が。
しばらくそれに聴き惚れていると、居合わせた別のレッスン生から酷い侮辱の言葉を投げつけられる。
あまりにムカついたアントワーヌは、ラップで対抗した後にオペラの真似事をして立ち去る。
 
アントワーヌの歌声を聴いてただならぬ才能を感じた教師マリーはすぐさま追いかけるが、
腹を立てているアントワーヌは話を聞こうともしない。
するとマリーは彼のバイト先の寿司屋を訪ねて店長に掛け合い、
自宅までアントワーヌに寿司を配達させる手段に出る。
 
マリーから押しつけられた『蝶々夫人』のCDを聴いたアントワーヌは、
自分もオペラを歌ってみたいと思い、レッスンを受けるようになるのだが……。
 
この手の音楽の映画はたいていが予想できる展開ではありますよねぇ。
音楽を続けるには金がかかる。貧困層の若者には無理。
そんなふうに本人も周囲も考えているからそうそう手は出さない。
だけど、類稀なる才能を見出した教師はあきらめない。
『パリに見出されたピアニスト』(2018)もまんまそんな話でしたが、どれも私は惹かれます。
 
厳しいレッスンが嫌になり、自分の思うままに進められないことに挫折して逃げ出しかける。
でもやっぱり音楽が好きだから、押しつけられたわけではないと悟り、
もう一度音楽と向き合いたい自分に気づく。
 
アントワーヌ役のMB14はオーディション番組で注目されたビートボクサーなのだそうで。
彼とマリーがヴィクトル・ユーゴーの詩でラップバトルするシーンなども楽しい。
オペラ歌手のロベルト・アラーニャが本人役で出演しているのも見もの。
 
月並みなストーリーであったとしても、このラストは最高。
やっぱり外せない、音楽の映画。

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『ザ・フラッシュ』

2023年06月17日 | 映画(さ行)
『ザ・フラッシュ』(原題:The Flash)
監督:アンディ・ムスキエティ
出演:エズラ・ミラー,サッシャ・カジェ,マイケル・シャノン,ロン・リヴィングストン,
   マリベル・ベルドゥ,カーシー・クレモンズ,ベン・アフレック,マイケル・キートン他
 
封切り日だった昨日、阪神vsソフトバンクを観るのが恐ろしくて劇場に逃避。
貯まったポイントを使って109シネマズ箕面にて無料鑑賞しました。
 
DCコミックススーパーヒーロー“フラッシュ”が主人公。
監督は『MAMA』(2013)、“IT/イット”シリーズのアンディ・ムスキエティ。
これはホラーじゃないけれど、アルゼンチン出身監督の作品だから気になるうえに、
主役のエズラ・ミラーから目を離さずにはいられないのです。
 
だって、強烈だったでしょ、『少年は残酷な弓を射る』(2011)の彼は。
こんな子役を演じたら絶対トラウマになるだろうと心配でした。
酷い目に遭う少年ではなくて、生まれついての邪悪な子どもを演じていた彼。
その演技が本当に上手くて、背筋がゾワーっとしたほどです。
 
そんな彼だから、“ジャスティス・リーグ”にメンバー入りしたときは、違和感がありました。
むしろ“ファンタスティック・ビースト”の陰キャラのほうがイメージに合う。
 
それがどうでしょう、ここへ来てもうこれ以上ないほどピッタリの役に思える。
人類のピンチに真っ先に声をかけられることはない雑用係のような扱いに
自虐的になりながらも使命を全うする、実に可愛げのあるスーパーヒーローです。
 
さて、スーパーヒーローが多すぎて訳がわからぬご時世ですが、
もしかすると本作は前知識なしの人でも楽しめるのではないでしょうか。
“フラッシュ”が目にも留まらぬ速さで移動できる能力を持つとわかっている程度でいいのでは。
背景とか全然知らなくても大丈夫です。
 
地上最速のヒーロー“フラッシュ”ことバリーには、母親を殺された過去がある。
犯人として逮捕されたのは第一発見者だった父親。
事件当時、父親は母親から頼まれたトマト缶を買いに出かけていたことをバリーは知っている。
父親の無実を証明したいという思いからバリーは科捜研に職を得たが、なかなか叶わない。
 
そんなある日、バリーは自分が時間を遡ることもできると気づく。
過去に戻って母親が事件に遭わないようにすればいいではないか。
トマト缶の予備さえ家にあれば大丈夫、父親が買い物に行かなければ事件は起きない。
 
見事それを果たしたバリーだったが、現在に戻るのを何者かに阻まれ、
自分がもっと若かった時代に入り込んでしまう。
そこでは確かに両親健在で幸せに暮らしていることを確認して嬉しくなるが、
18歳の自分とバッタリ遭遇。両親にバレぬよう、18歳のバリーを外へ連れ出すのだが……。
 
遭遇した自分は、超高速移動できる能力をまだ持っていない自分。
18歳の自分がその能力を持たなければ、現在の自分にもその能力は受け継がれません。
ちゃんと18歳のバリーが能力を持てるように段取りしたところ、
現在のバリーからその能力は消え去り、18歳のバリーにそのまま移ってしまいます。
 
髪型だけ異なるエズラ・ミラーの一人二役となるわけですが、
お母ちゃんが死んじゃったらこんなに性格変わっちゃうものなの!?と思うぐらいキャラが違う。
どちらもバリーなのに、18歳のバリーはうざいほど明るいお調子者。
このふたりのやりとりがめちゃめちゃ可笑しい。
 
母親を救って万事OKと思いきや、今度は人類が破滅の危機に襲われそう。
悪巧みをするのはマイケル・シャノン演じるゾッド将軍。どうです、この憎たらしい顔つき(笑)。
それを阻止するために救いを求めて“スーパーマン”を探しに行くふたりのバリー。
だけどスーパーマンはなかなか見つからず、“バットマン”に協力依頼。
現在の世界でバットマンのベン・アフレックが冒頭でちょっとだけ活躍しますが、
それ以外はずっと旧バットマンのマイケル・キートンが老体に鞭打って頑張ります。
 
なんかもう、楽しかったなぁ。
過去を変えようと思ってもどもならんというのはありきたりなタイムスリップものですが、
過去が変わると映画の主演俳優まで変わるなんて話もあって私のツボ。
“バック・トゥ・ザ・フューチャー”シリーズの主演は当然マイケル・J・フォックスなのに、
18歳のバリーがエリック・ストルツだとバカみたいにくり返したりして、笑った。
笑って、かつ、最後は現在のバリーと母親のシーンに泣かされてしまいました。
 
“ワンダーウーマン”とは冒頭で、“アクアマン”とは最後に会えます。
そして驚くべきことに、ジョージ・クルーニーがカメオ出演。
バットマンことブルース・ウェインの執事役、ジェレミー・アイアンズも健在。
スーパーマンは私の見間違いか?これニコラス・ケイジちゃうん?と思ったらそうだった。マジか(笑)。
 
とにかく楽しい、フラッシュ最高。
 
上映終了して帰途についたら、野球中継は8回の守り途中。
奇跡的に勝ってるや〜ん。最高!!

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『マイ・ボス・ウェディング』

2023年06月16日 | 映画(ま行)
『マイ・ボス・ウェディング』(原題:My Boss' Wedding)
監督:アンドリュー・シーメック
出演:ホリー・デヴォー,ドリュー・シーリー,ブリジット・キングズレー,ランディ・キャノン,
   ウィニー・クラーク,レベッカ・ラマルシュ,フェイ・ダンス,サンディ・クローリー他
 
荒天大好きなんですが、そんな日に家から遠い劇場に行く気にはなれません。
絶対映画を観に行こうと思っていいたのに気分が乗らず、自宅へ直帰。
ラジオは野球中継に合わせたまま、Amazonプライムビデオでお気楽な作品を物色。
 
観終わってからもアメリカ作品だと思っていましたが、2021年のカナダ作品でした。
カナダにしては普通に明るいラブコメ。テレビ用の映画のようです。
 
アラサーのOLニコールは、昇進を狙って仕事一筋。
几帳面な性格で、1週間分の洋服を選んでおくほどの「計画」好き。
憧れの上司キムに気に入られようと、休日返上で企画書を練り上げるが、いつも空回り。
 
そんなある日、キムから呼び出されたニコールはいよいよ昇進かと喜ぶが、
結婚を決めたキムとその恋人ブラッドリーが、計画万全のニコールの腕を見込み、
ウェディングプランナーを務めてほしいと言うのだ。
 
しかし独身のニコールにとって結婚式は初めてのこと。
経験がなくて不安がるニコールのために紹介されたのは、ブラッドリーの甥っ子マイケル。
マイケルは姉4人の結婚式に出た経験があるため、何でも知っているという。
 
結婚式を成功させれば昇進も夢ではないと考えるニコール。
マイケルは好青年ではあるが、親族の中でも変わり者らしく、自由人すぎて自分とまるで合わない。
彼といれば計画が台無しになりそうで、ひとりで進めようとするニコールだったが……。
 
知っている役者はひとりもいません。
カナダ作品だと聞いてそれには納得しましたが、主演のふたりがどちらもイマイチなんだなぁ。
 
ニコール役のホリー・デヴォーは確かに可憐なところもある。
けれど印象に残る女優かと言われると全然。
マイケル役のドリュー・シーリーにいたっては、イケメンという設定だけど私のタイプじゃない。
なんというのか、若いんだか老けているんだかわからない顔つきなんです。
マイケル・シャノンを少しイケメン寄りにしたみたいな感じというのか。
 
物語も実に凡庸。合わなかったふたりが恋に落ちるのは当然のなりゆき。
ブラッドリーの浮気疑惑をキムに話すかどうかを悩むニコールにマイケルがガッカリするのも普通。
そしてその疑惑が勘違いだったというのも当たり前のオチ。
 
せめてマイケル役の彼がもう少し私のタイプだったらよかったのになぁ。
ま、でも、気楽に観られる作品であることは間違いありません。
野球中継を聴きながらでもなんら問題なし(笑)。観て損ということはない。

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