『 山本由伸投手がキー 』
ドジャースが 大事な試合に快勝した
大谷選手にもホームランが出て 明日からが楽しみ
明日の先発は 山本由伸投手が予定されているが
大きな山場の試合になりそう
このシリーズは 山本由伸投手がキーになりそうな予感
☆☆☆
『 頭中将の情け ・ 今昔物語 ( 31 - 29 ) 』
今は昔、
円融院の天皇の御時に、内裏が焼失したので、天皇は[ 欠字。「後」らしい。後院とは、彼に設けられた御所。]院においでになった。
ある時、殿上の夕べの食事時、殿上人や蔵人たちが大勢大盤(ダイバン・正しくは台盤。食事を盛った器を載せる足つきの台。)に着いて食事をしていた。そこに、式部丞の蔵人藤原貞高(貞孝とも。)という人も着いていたが、その貞高がにわかにうつ伏して、大盤に顔を当てて、喉をくっくっと鳴らしているので、いかにも見苦しく、小野宮の実資(サネスケ・藤原実資。957 - 1046 。剛直な人柄で道長と対立関係にあった。)の右大臣は当時、頭の中将(蔵人頭で近衛中将を兼ねた者。)でいらっしゃったが、そのお方も大盤に着いていらっしゃったが、主殿司(トノモツカサ・主殿寮の役人)を呼んで、「あの式部丞の座っている様子は、まことに不審だ。近くに寄って調べて見よ」と命じられたので、主殿司が近寄って確かめると、「なんと、死んでおります。一大事でございます。どうすればよいのか」と言うのを聞いて、大盤に着いていた全ての殿上人や蔵人たちは皆立ち上がり、それぞれ思いのままに走り去った。
頭の中将は、「なにはともあれ、このままにしておくわけにはいかぬ」と言って、「奏司(意味不明。諸司か?)の下部を呼んで、担ぎ出させよ」と指図なさると、「いずれの陣から運び出せばよろしいでしょうか」と尋ねると、「東の陣から運び出せ」と命じられるのを聞いて、蔵人所の衆(下級の侍)、滝口の侍、出納(シュツノウ・蔵人所で文書や雑務にあたる役人)、御蔵女官(蔵人所に仕える下級の女官)、主殿司、下部共に至るまで、東の陣より運び出す様子を見ようと、競うように集まって来た。
すると、頭の中将はにわかに変更して、「西の陣より運び出せ」と命じられたので、殿上の敷物ぐるみ西の陣から運び出したので、様子を見ようとて集まっていた多くの者共は、見ることが出来ずに終った。
そして、陣の外に運び出すと、父の[ 欠字。「実光」が入るようだが、父の実光は、従五位下で、三位ではなかった。]の三位が迎えに来ていて受け取り、帰っていったのである。
それを見て、「うまい具合に、人に見られずに済んだことだ」と人々は言い合った。これは、頭の中将に哀れみの心がおありであったので、最初は「東より出せ」と命じていて、にわかに変更して「西より出せ」と命じられたのは、貞高の突然の不幸を哀れに思い、恥をかかせまいと工夫なさったのである。
その後十日ばかりして、頭の中将の夢に、有りし日の式部丞の蔵人と内裏で会った。近寄ってくるのを見ると、激しく泣きながら何か言っている。聞けば、「死の恥を隠して下さったご恩は、世々にわたって忘れ難いことでございます。あれほど多くの人が見ようと集まっていましたので、西より運び出して下さらなかったら、多くの人のさらし者になって、大変な死の恥を受けるところでした」と言って、泣く泣く手を摺り合わせて喜んでいる、と見たところで夢が覚めた。
されば、人にはもっぱら情けをかけるべきである。
これを思うに、頭の中将はこのように立派なお方だったので、とっさに判断なさって指図なさったのだと、これを聞く人は皆頭の中将を誉め称えた、
となむ語り伝へたるとや。
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