雅工房 作品集

長編小説を中心に、中短編小説・コラムなどを発表しています。

疾くゆかしきもの

2014-09-13 11:00:55 | 『枕草子』 清少納言さまからの贈り物
          枕草子 第百五十二段  疾くゆかしきもの

疾(ト)くゆかしきもの。
巻染・村濃、括りものなど染めたる。
人の、子生みたるに、男・女、疾くきかまほし。よき人さらなり、えせ者・下種の際(キハ)だに、なほゆかし。
除目の早朝(ヂモクのツトメテ)。かならず知る人の、さるべきなきをりも、なほきかまほし。

    
早く知りたいもの。
まきぞめ・むらご・くくりもの(いずれも染色の手法)なので染めている時。
人が子供を生んだ時、男の子か女の子か早く知りたいものです。身分のある方はもちろんですが、つまらない者や身分の低い者の場合でも、やはり知りたいものです。
除目の翌朝。とても親しい人には、任官しそうな人がない場合でも、やはり早く知りたいものですね。



少納言さまも、人並みの知りたがりだったようですが、紹介されているものがあまりにも平凡すぎて、少々物足りない感じがします。
なお、文中に、「えせ者、下種(ゲス)」という表記があり、現在の私たちにはあまりいい感じを与えない表現ですが、これは当時の標準語であり、厳しい身分制度という背景があることを考慮すべきで、少納言さまを非難すべきではありません。念のため・・・。

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