マネジャーの休日余暇(ブログ版)

奈良の伝統行事や民俗、風習を採訪し紹介してます。
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上比曽亥の子まつり

2007年12月30日 09時24分25秒 | 大淀町へ
藁棒を地面に叩いて新婚を祝う子どもの行事の亥の子まつりは県内各地で見られていたが、少子化の影響でほとんどが廃れてしまった。

奈良県内では大淀町上比曽にこの祭りを現代でも継承されているたいへん貴重な行事。

亥の子まつりは本来、11月の亥の日だが第一日曜に変わっている。

夕刻近い時間、吉野の山間部にある世尊寺付近の広場に子どもらが藁棒を手に持って集まってくる。

じいちゃんや父親に作ってもらった新米の藁棒はドテンコと呼ばれるもので中にはダイコン(葉)が詰められている。

一同が揃うと新婚さんが待っている家まで上比曽の里を練り歩いていく。

到着すると一同は新婚さんに向かって「おめでとう」と唱和し、ドテンコを地面(昔は庭、現在は家前の道路)に叩きつけます。

その所作には「ここの嫁はんいつもろた 三月三日の朝もろた イワシ三尾、酒五合 新米ワラで祝いましょう」と台詞がともなう。

叩き終わったらドテンコをお家の屋根に放り投げる。

何故に放り投げるのか理由は判らんという。

昨年は新婚さんが三軒。

里を上から順に下りながら祝っていったが今年は一軒。

新婚家が用意したお茶接待(大昔はお酒だったという)にお下がりのお菓子をもらって帰っていきます。

亥の子まつりは新米藁を使うことから収穫の祝い。

新婚さんの家を新米藁で祝うのは、子供の誕生や家の繁栄に霊力を与えるとされ、いわば生産と収穫を祝い、地区の繁栄を祈願するものと考えられています。

(H19.11. 3 Kiss Digtal N撮影)