マネジャーの休日余暇(ブログ版)

奈良の伝統行事や民俗、風習を採訪し紹介してます。
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雑穀町旧家の三宝飾り

2014年05月19日 07時20分22秒 | 大和郡山市へ
大和郡山市の観光ボランティアガイドをされている婦人。

家では「大晦日の日に三宝飾りをしてますねん」と話していた。

冬至の日、家の行事である「シンノウサン」の取材に引き続いての訪問である。

郡山城下町の元藩医であった旧家の大晦日の日はお節料理作りが忙しい。



当主の妹さんに大正11年生まれの祖母も手伝って作るお節料理。

「3軒分も作るので朝からしてましてん」と話す。

同家の大晦日はお節料理作りの合間を縫って三宝飾りも設える。

なにかと忙しい旧家の正月迎えである。

三宝飾りを飾る三方は大きい。

盛るところは四辺形で、一辺がおよそ40cm、高さは35cmもある。

半紙を垂らして鏡餅を据える。

そこに松・竹・梅を挿していく。



鏡餅を飾るように回りに置いたのはみかんだ。

周りにトコロやカヤの実、カチグリ、稲藁で作ったタワラ(俵)をパラパラと載せていく。

かつて聞いたことがある稲藁のタワラである。

城下町で行商に人が売りにきていたそうだ。



今ではそのような光景も見られず、トコロもカヤの実も手に入れるのが難しくなったと話す。

売り子が来なくなってからは祖母が作り溜めておいたそうだ。

毎年作る新しいタワラはあっさり系。

昔のタワラは手が込んでいる作りだ。

初めて見たタワラの姿に感動した。

そこにお米をパラパラと振り掛けて、白昆布やダイダイ、吊るし柿、ヒナゴ(タツクリ)を乗せてできあがった。

玄関の登り口の間に赤の毛氈を敷いて、金粉を散らした「砂子」の六枚屏風を立てる。



その前に供えた旧家の三宝飾りが美しい。

(H25.12.31 EOS40D撮影)