体験する食事会にもてなしのフキダワラに同席させてもらった三重県伊賀市下阿波在住のM家。
ありがたいことに田植えを終えた田圃の一角にフキダワラを供えてくれた。
形式だけでも記録させてくださいと願った取材に応えてくださったのが嬉しい。
そのM家の屋内にある神棚に珍しい形の注連縄を飾っていた。
大黒さんを祭っているという神棚に、である。
その注連縄は「ウマ」と呼んでいる。
「ウマ」はご近所に住まいする老人が藁で作っていたという。
その「ウマ」は買ったもの。
年神さんを祭る注連縄に「ウマ」があった。
奈良県内ではたぶんに、この形を見ることはないだろう。
この注連縄が「ウマ(馬)」であると紹介されていた本がある。写真家Kさんが、この年の平成29年の暮れに「この本、凄くない」と手渡されて読み始めた本である。
尤も写真が多いから、見るに読むであるが・・。
凄い本は、平成29年11月に工作舎より発刊された『しめかざり—新年の願いを結ぶかたち―』。
著者は香川県生まれの森須磨子氏。
グラフィックデザインの仕事を続けながら、年末年始は全国各地へ出向いて、調査探訪するさまざまなしめ飾りの形態。
20年間も探訪し続けて収録したしめ飾りの写真のすべては著者の撮影。
取材もすごいことだが、収集力もすごい。
とらえたしめ飾り映像が眼前に迫ってくる。
集めたしめ飾り標本は、なんと400点も。
そのすべてを載せているわけではないが、それでもむちゃ多い。
蒐集されたしめ飾りは「かたち」別に分類され、それぞれに解説を入れている。
現地で聞取りした生の声というのも嬉しい書物。
「かたち」は宝珠、打出の小槌、松竹梅、鶴、亀、宝船、俵、ちょろけん、海老、蛇、椀、杓子、馬、鋏、鶏、正月魚、縣の魚、鳩、眼鏡、蘇民将来、お顔隠し、七五三縄、おっかけ、玉飾り系、牛蒡じめ・大根じめ系、前垂れ系、輪飾り系などを27分類。
多数の実物しめ飾りをもってこれほど整備した人は見たことも、聞いたこともない。
ただ、私が知らないだけなのか・・。
とにかくすごい人が凄い本を出版された。
『しめかざり—新年の願いを結ぶかたち―』に掲載された「馬」の形とほとんど同形態だったのが、M家の「ウマ」注連縄である。
それもそのはず、森須磨子氏が著書に載せた「馬」の蒐集先が三重県伊賀市だった。
森氏はキャプションに「馬」注連縄を「トシガミ様の乗り物」と紹介していた。
また、蒐集された「馬」注連縄を作っていた人は80歳を過ぎた職人さん。
もしかとすれば、M家が買った人と同一人物である可能性が高くなった。
M家にはもう一つの架けモノがあった。
匂いが臭くなったので捨てたというカケダイだった。
これまでカケダイの民俗は奈良県室生の下笠間で拝見したことがある。
1カ所は地元で今でもカケダイを作って、馴染みのお客さんに売ってきた宮崎商店のMさん。
もう1カ所は同地区にお住まいのI家のカケダイ。
Iさんがいうには、地元の宮崎商店で買ったものではなく、三重県名張市まで買い出しして買ったカケダイ。
名張市に年に一度のハマグリ市で売っているカケダイを買っていたと話す。
ハマグリ売りの露天商市は三重県名張市鍛冶町の蛭子神社で行われる八日市祭りにある。
別名が戎祭りである八日市祭りは毎年の2月7日、8日の両日に亘って行われているようだ。
下阿波のMさんは、おそらくこの祭りに出かけて買ったのではないだろうか。
詳しく聞いている時間がなかったので、「馬」作り人を訪ねるまたの機会にしたい。
M家の神棚にあったもう一つの祭具。
Mさんの話しによれば「わくぐり神事」で授かったようだ。
これもまた調べてみれば、三重県四日市の大宮神明社で行われている夏祓い神事の「輪くぐり神事」。
授かった祭具は破魔矢であろう。
(H29. 5.11 EOS40D撮影)
ありがたいことに田植えを終えた田圃の一角にフキダワラを供えてくれた。
形式だけでも記録させてくださいと願った取材に応えてくださったのが嬉しい。
そのM家の屋内にある神棚に珍しい形の注連縄を飾っていた。
大黒さんを祭っているという神棚に、である。
その注連縄は「ウマ」と呼んでいる。
「ウマ」はご近所に住まいする老人が藁で作っていたという。
その「ウマ」は買ったもの。
年神さんを祭る注連縄に「ウマ」があった。
奈良県内ではたぶんに、この形を見ることはないだろう。
この注連縄が「ウマ(馬)」であると紹介されていた本がある。写真家Kさんが、この年の平成29年の暮れに「この本、凄くない」と手渡されて読み始めた本である。
尤も写真が多いから、見るに読むであるが・・。
凄い本は、平成29年11月に工作舎より発刊された『しめかざり—新年の願いを結ぶかたち―』。
著者は香川県生まれの森須磨子氏。
グラフィックデザインの仕事を続けながら、年末年始は全国各地へ出向いて、調査探訪するさまざまなしめ飾りの形態。
20年間も探訪し続けて収録したしめ飾りの写真のすべては著者の撮影。
取材もすごいことだが、収集力もすごい。
とらえたしめ飾り映像が眼前に迫ってくる。
集めたしめ飾り標本は、なんと400点も。
そのすべてを載せているわけではないが、それでもむちゃ多い。
蒐集されたしめ飾りは「かたち」別に分類され、それぞれに解説を入れている。
現地で聞取りした生の声というのも嬉しい書物。
「かたち」は宝珠、打出の小槌、松竹梅、鶴、亀、宝船、俵、ちょろけん、海老、蛇、椀、杓子、馬、鋏、鶏、正月魚、縣の魚、鳩、眼鏡、蘇民将来、お顔隠し、七五三縄、おっかけ、玉飾り系、牛蒡じめ・大根じめ系、前垂れ系、輪飾り系などを27分類。
多数の実物しめ飾りをもってこれほど整備した人は見たことも、聞いたこともない。
ただ、私が知らないだけなのか・・。
とにかくすごい人が凄い本を出版された。
『しめかざり—新年の願いを結ぶかたち―』に掲載された「馬」の形とほとんど同形態だったのが、M家の「ウマ」注連縄である。
それもそのはず、森須磨子氏が著書に載せた「馬」の蒐集先が三重県伊賀市だった。
森氏はキャプションに「馬」注連縄を「トシガミ様の乗り物」と紹介していた。
また、蒐集された「馬」注連縄を作っていた人は80歳を過ぎた職人さん。
もしかとすれば、M家が買った人と同一人物である可能性が高くなった。
M家にはもう一つの架けモノがあった。
匂いが臭くなったので捨てたというカケダイだった。
これまでカケダイの民俗は奈良県室生の下笠間で拝見したことがある。
1カ所は地元で今でもカケダイを作って、馴染みのお客さんに売ってきた宮崎商店のMさん。
もう1カ所は同地区にお住まいのI家のカケダイ。
Iさんがいうには、地元の宮崎商店で買ったものではなく、三重県名張市まで買い出しして買ったカケダイ。
名張市に年に一度のハマグリ市で売っているカケダイを買っていたと話す。
ハマグリ売りの露天商市は三重県名張市鍛冶町の蛭子神社で行われる八日市祭りにある。
別名が戎祭りである八日市祭りは毎年の2月7日、8日の両日に亘って行われているようだ。
下阿波のMさんは、おそらくこの祭りに出かけて買ったのではないだろうか。
詳しく聞いている時間がなかったので、「馬」作り人を訪ねるまたの機会にしたい。
M家の神棚にあったもう一つの祭具。
Mさんの話しによれば「わくぐり神事」で授かったようだ。
これもまた調べてみれば、三重県四日市の大宮神明社で行われている夏祓い神事の「輪くぐり神事」。
授かった祭具は破魔矢であろう。
(H29. 5.11 EOS40D撮影)