ツクツクボーシの鳴く声が広がる平群町。
雨は小雨になっているものの、降ったりやんだりのお盆の15日。
シトシト状態になっていた夕方の福貴畑に伺う家は親子3人が住まいするS家である。
初めてお家に伺った日は平成26年の1月7日だった。
氏神さんを祭る杵築神社の座小屋で営まれた正月座取材を終えてからだった。
正月座のしきたり、作法は厳格である。
3個のサトイモに△□の形に形成する蒸しご飯御供もあるが、特筆すべき点は座の料理にある。
砂糖を1kgも入れて作った味噌仕立ての豆腐汁を献する。
お神酒を冷燗、熱燗も献をする三献の儀を拝見してから立ち寄ったS家。
突然の訪問に応対してくださったのはグラフィックデザイナー・イラストレーターを職業とする娘さんだ。
正月座より1年前の平成25年1月8日に行われた勧請縄かけに当家を務めたご両親も再開したこの日。
お茶などをしてくれたが、応対のほとんどを娘さんがしてくれたお礼にご両親をとらえた数枚の写真をさしあげた。
Sさんは、当時「とにかく生きててよかったよ」のタイトルで日々の暮らしを取り上げてブログで公開されていた。
この日の突然の訪問をサブタイトル「タイミング」でアップされた。
描いたイラストはほのぼのほんわか。
温かみ、味わいのあるキャラクターデザインが気にいったと伝えていた。
そのような流れがあったS家との出会い。
尤も福貴畑の村行事は、正月座、勧請縄かけの他にジョウサン池で行われる龍神祭や観音堂で行われる観音祭も取材したことがある。
数年前から藍染めもする彼女は芸術祭「はならぁと」に作品を出展する芸術家でもあるSさんが伝えるブログに「とにかく生きててよかったよ WP版」がある。
そのブログにお盆の送りの記事をアップされた。
これは、と思って、2016はならぁとサテライトぷらす今井町の展示会場に寄せてもらったときに取材をお願いしたのである。
ご両親の了解もとってくださったSさん。
お家を訪れたのは15日の夕刻。
これより先祖さん送りを始められる。
仏壇の前に設えた机に広げる数々の供え物。
椀、皿一つずつに箸を添えている。
アサガラの箸もあるが、一般的な割り箸もある。
どうやら飯とおかずに分けているように思った。
昔はこれよりもっとたくさんのお供えをしていたという。
ざっと拝見して白ご飯に梅干し入りオカイサン、オカラ和え、サツマイモやカボチャの煮もの、シメジに葉物の煮込みに和菓子。
本来は小豆粥にするそうだが、本日は梅干し入りオカイサンにしたそうだ。
ビール、コーヒーの水ものもある。
数は特に決まりもないお供えに、ダンゴ盛りがある。
中央をぺこんと押した凹ましたダンゴは、この日の晩に先祖さんを送るためのダンゴ。
先祖さんに持って帰ってもらうよう沢山作ったえくぼのような形のオクリダンゴ(送り団子)である。
先祖さんを迎える日はムカエダンゴ(迎え団子)を供えるという。
本来は小豆粥らしいが・・。
左側にある三界万霊の礼はお寺さんが水供養をされたものだろう。
お茶は1時間おきに、新しいお茶に入れ替える。
古いお茶は縁側外の軒下に捨てる。
ガキサン(餓鬼)に飲んでもらうための施しである。
ちなみにS家の仏壇内部に掲げた3幅の掛図である。
本尊は中央に配した十一尊仏阿弥陀如来来迎図であろう。
そろそろ送らせてもらいますと伝えられて始まった先祖送り。
まずは燭台の火から線香に移す。
数本の束にして火を移す。
燃える火を手で煽いで消す。
線香は白い煙になった。
母親はその間に三界万霊の礼を取り出して数本のアサガラとともに紙包み。
それを父親に手渡した。
行きますょの合図に3人は揃って家を出る。
父親とともに家を出るSさん。
煙る線香を消さないように持って道路向こうの草木地にでる。
後方についた母親は小型のおりんとおりん棒を抱えて家を出る。
やや早足であれば線香は風を受けて燃え上がる。
その度に手で煽いで消す。
そのようなことをしながら目的地に向かう。
距離はそれほどでもない迎えも同じ場所でしていた神聖な地。
小川が流れる。
その小川は龍神祭をしていたジョウサン池が上流になる。
家々によって迎え、送りの地はそれぞれだ。
迎えるまでに草刈りを澄ませていたという、送りの地に着いたら、まずはアサガラに火を点ける。
ヒグラシが鳴くカナカナカナカナが辺りに流れる夕どき。
降っていた雨も止んだから助かる。
後ろからついてきた母親はおりんを打ち鳴らしていた。
カナカナカナカナに混ざってオリンの音色もこの地に響く。
さっそく始める火点け。
奉書、アサガラを包んでいた紙に火を点ける。
点け道具はマッチだ。草むらは雨に濡れて湿っているから、なかなか火がつかない。
何本か束ねたマッチをこすって火を点けたら燃えだした。
その傍に仏壇の燭台から火を移した線香を立てる。
水供養をした三界万霊の礼にも火を点けて燃やす。
線香の煙にのった先祖さんは空に向かって昇っていった。
こうして先祖さんを送った親子。
母親は、その間ずっとおりんを打ち続けていたのが印象的だった。
先祖さんを送ったあともカナカナカナカナ・・・・の音色が聞こえてくる。
(H29. 8.15 EOS40D撮影)
雨は小雨になっているものの、降ったりやんだりのお盆の15日。
シトシト状態になっていた夕方の福貴畑に伺う家は親子3人が住まいするS家である。
初めてお家に伺った日は平成26年の1月7日だった。
氏神さんを祭る杵築神社の座小屋で営まれた正月座取材を終えてからだった。
正月座のしきたり、作法は厳格である。
3個のサトイモに△□の形に形成する蒸しご飯御供もあるが、特筆すべき点は座の料理にある。
砂糖を1kgも入れて作った味噌仕立ての豆腐汁を献する。
お神酒を冷燗、熱燗も献をする三献の儀を拝見してから立ち寄ったS家。
突然の訪問に応対してくださったのはグラフィックデザイナー・イラストレーターを職業とする娘さんだ。
正月座より1年前の平成25年1月8日に行われた勧請縄かけに当家を務めたご両親も再開したこの日。
お茶などをしてくれたが、応対のほとんどを娘さんがしてくれたお礼にご両親をとらえた数枚の写真をさしあげた。
Sさんは、当時「とにかく生きててよかったよ」のタイトルで日々の暮らしを取り上げてブログで公開されていた。
この日の突然の訪問をサブタイトル「タイミング」でアップされた。
描いたイラストはほのぼのほんわか。
温かみ、味わいのあるキャラクターデザインが気にいったと伝えていた。
そのような流れがあったS家との出会い。
尤も福貴畑の村行事は、正月座、勧請縄かけの他にジョウサン池で行われる龍神祭や観音堂で行われる観音祭も取材したことがある。
数年前から藍染めもする彼女は芸術祭「はならぁと」に作品を出展する芸術家でもあるSさんが伝えるブログに「とにかく生きててよかったよ WP版」がある。
そのブログにお盆の送りの記事をアップされた。
これは、と思って、2016はならぁとサテライトぷらす今井町の展示会場に寄せてもらったときに取材をお願いしたのである。
ご両親の了解もとってくださったSさん。
お家を訪れたのは15日の夕刻。
これより先祖さん送りを始められる。
仏壇の前に設えた机に広げる数々の供え物。
椀、皿一つずつに箸を添えている。
アサガラの箸もあるが、一般的な割り箸もある。
どうやら飯とおかずに分けているように思った。
昔はこれよりもっとたくさんのお供えをしていたという。
ざっと拝見して白ご飯に梅干し入りオカイサン、オカラ和え、サツマイモやカボチャの煮もの、シメジに葉物の煮込みに和菓子。
本来は小豆粥にするそうだが、本日は梅干し入りオカイサンにしたそうだ。
ビール、コーヒーの水ものもある。
数は特に決まりもないお供えに、ダンゴ盛りがある。
中央をぺこんと押した凹ましたダンゴは、この日の晩に先祖さんを送るためのダンゴ。
先祖さんに持って帰ってもらうよう沢山作ったえくぼのような形のオクリダンゴ(送り団子)である。
先祖さんを迎える日はムカエダンゴ(迎え団子)を供えるという。
本来は小豆粥らしいが・・。
左側にある三界万霊の礼はお寺さんが水供養をされたものだろう。
お茶は1時間おきに、新しいお茶に入れ替える。
古いお茶は縁側外の軒下に捨てる。
ガキサン(餓鬼)に飲んでもらうための施しである。
ちなみにS家の仏壇内部に掲げた3幅の掛図である。
本尊は中央に配した十一尊仏阿弥陀如来来迎図であろう。
そろそろ送らせてもらいますと伝えられて始まった先祖送り。
まずは燭台の火から線香に移す。
数本の束にして火を移す。
燃える火を手で煽いで消す。
線香は白い煙になった。
母親はその間に三界万霊の礼を取り出して数本のアサガラとともに紙包み。
それを父親に手渡した。
行きますょの合図に3人は揃って家を出る。
父親とともに家を出るSさん。
煙る線香を消さないように持って道路向こうの草木地にでる。
後方についた母親は小型のおりんとおりん棒を抱えて家を出る。
やや早足であれば線香は風を受けて燃え上がる。
その度に手で煽いで消す。
そのようなことをしながら目的地に向かう。
距離はそれほどでもない迎えも同じ場所でしていた神聖な地。
小川が流れる。
その小川は龍神祭をしていたジョウサン池が上流になる。
家々によって迎え、送りの地はそれぞれだ。
迎えるまでに草刈りを澄ませていたという、送りの地に着いたら、まずはアサガラに火を点ける。
ヒグラシが鳴くカナカナカナカナが辺りに流れる夕どき。
降っていた雨も止んだから助かる。
後ろからついてきた母親はおりんを打ち鳴らしていた。
カナカナカナカナに混ざってオリンの音色もこの地に響く。
さっそく始める火点け。
奉書、アサガラを包んでいた紙に火を点ける。
点け道具はマッチだ。草むらは雨に濡れて湿っているから、なかなか火がつかない。
何本か束ねたマッチをこすって火を点けたら燃えだした。
その傍に仏壇の燭台から火を移した線香を立てる。
水供養をした三界万霊の礼にも火を点けて燃やす。
線香の煙にのった先祖さんは空に向かって昇っていった。
こうして先祖さんを送った親子。
母親は、その間ずっとおりんを打ち続けていたのが印象的だった。
先祖さんを送ったあともカナカナカナカナ・・・・の音色が聞こえてくる。
(H29. 8.15 EOS40D撮影)