マネジャーの休日余暇(ブログ版)

奈良の伝統行事や民俗、風習を採訪し紹介してます。
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長引八王神社和布祭

2007年03月29日 07時50分04秒 | 奈良市(旧月ヶ瀬村)へ
八王神社で和布神事を終えた氏子らは和布料理を囲むように参籠所の席に座り祝いの宴が始まります。

自治会長が和布祭の祝辞を述べたあと、三年生は三年間健康で無事に当家務めを果たすことができたと御礼の言葉を披露します。

そして、袖を捲くりマスクを着けた一年生と二年生は和布に刺さったサカキを抜き、樫の木で設えた長い箸で二等分。

桶に移すと両手でアラメとクルビをこ練るように混ぜ合わせる。

手の熱が料理に伝わらないように素早く作業。

和布桶を抱えて氏子らが持ってきた盆の前にいくと、手で砲丸のような大きな団子状にして盆にのせます。

氏子らも手伝い大重に盛られたゴボウを二本ずつ、大豆は五勺ほどの量、紅白のモチを添えキョウメシはほんの少しを盆に盛っていきます。

戦時中は材料調達が難しくゴボウがチクワになったことも。

ところが年当家に不幸がでて辞退することになり当家に穴があいたそうだ。

チクワの穴が元凶と、シャレのようだがほんとうの話しだと先輩当家はおっしゃる。

列席者の盆膳が揃うと総代長の乾杯の挨拶で祝宴が始まります。

お酒を配する一年生と二年生。ご馳走膳をつまんでは酒をいだたく。

料理に舌鼓みをうっている氏子ら。当家三人はそれをじっと見守る。

饗宴もたけなわになったころ謡いが始まる。

高砂、四海波、養老、竹生島に続いてお伊勢まいりと手拍子に謡いは続き、ご苦労さまやったなと酒が配られてやっと当家三人が口にすることができる。

そして一年生は最後の仕事。

宴を終えて帰られる宮司さんの神饌お下がりを運ぶ飛脚役。

総代長ら役員は供物入れに収められると、天秤棒を通して肩に担いでそろりそろりと運んでいく。

(H19. 3. 4 Kiss Digtal N撮影)

長引八王神社和布当家神事

2007年03月28日 08時13分01秒 | 奈良市(旧月ヶ瀬村)へ
和布(めい)祭は長引に八王神社が来た日を祝う説や農繁期前に美味しいご馳走を食べてこれから始まる農作業に備える説がある。

八王神社には秋祭りがないことから春に一同が集まって農作業の予況を祝う春祭りの日とも考えられ、600年以上も前から和布の料理形式がそのまま継承されているご馳走主役の和布。

祭りの料理を揃えていくのは一年生、二年生、三年生と呼ばれる当家の三所帯長男夫婦。

一、二年生は当家見習いを兼ねて手伝い。

既に参籠所に到着している三年生の当家は二年生とともに和布のご馳走を整えていきます。

三人が用意した座料理は、醤油で味付けしたアラメを大きな円錐形に盛り大豆をゆがいてすり潰したクルビで塗り固めた和布。

傍らには八つの大重に入れられたゴボウ、大豆、紅白餅を並べ、神饌御供のキョウメシは神前に供えます。

そして、三年生になった当家は同神社で拝殿中央に座し神職らの和布神事を受け厳粛に奉幣を授かります。

(H19. 3. 4 Kiss Digtal N撮影)