
中古屋さんへ行くと必ずチェックするミュージシャンがいます。ピアノだとユリ・ケインとフレッド・ハーシュ、後はバイブのバートンとテナーのバルネ・ウィランなどです。
いつもチェックしますが、こんなのあったっけと思うものには、ほとんどお目にかかりません。
ところが今までとはかなり雰囲気の異なるジャケットで、メンバーを見ても持っていないアルバムがあったのでちょっと驚いて拾いました。
1992年にLABEL DEUXから出たものを2004年にNOCTURNEが再販したもので、1991年3月スイスCULLY JAzzフェスのライブ演奏です。
長年一緒に演奏している、アラン・ジャン・マリーとバルネのデュオ。
1曲目マイ・ファニー・バレンタインをベースにしたような、バルネのサックスとアラン・・マリーのピアノだけ、息詰まるようなフレーズの流れ、マリーのピアノはまさにあのケニー・バロンに逼迫しています。
この曲、マイ・ファニーだと思うのですが。
2曲目は少しラテンの入った軽やかな曲。
3曲目モンクの“Round mignight”はモンクの魅力を充分に表現するマリーのピアノ、ソフトで伸びやかなテナー、山ほどあるこの曲の録音でも記憶に残したい演奏です。
4曲目マリーの短いソロは、安定したテクニックが解ります。
5曲目、バルネが何度も録音している“No Problem ”に繋がっていつもより早めのテンポ、フレーズが溢れるバルネに時に見られる乱暴さがなく、とても丁寧にフレージングしています。
7曲目がジョン・ルイスの曲で8曲目がベニー・グッドマン楽団のエンディング曲、静かなバラッドで終わります。
スタン・ゲッツとケニー・バロンのデュオ・アルバム「People Time」を思い起こさせる、まるでそれを聴いての演奏みたいですが、「People Time」が録音されたのは1991年3月3~6日コペンハーゲンのカフェ・モンマルトル、そしてこのアルバムは同じ月の23日の録音、今からみればまさに同じ時空での演奏でした。「People Time」のアルバムが出る前の演奏、しかし共に豊富なフレーズをもつ巨人と懐深いピアニスト、同じようになるのですね。
一人はその3ヵ月後に64才で他界、もう一人はその後5年生きて59才でなくなりました。
バルネの当時のアルバムはアルファからとIDAからがほとんどで、彼女の写真か彼女の描いた絵になっていましたので、ちょっと驚いたわけですが、LABEL DEUXのオリジナルはやはり絵画がジャケになっていて、もしそちらだったら気がつかなかったかも知れません。
DREAMTIME / BARNEY WILEN
BARNEY WILEN(ts)
ALAIN JEAN MARIE(p)
1. Things Of The Fugue
2. Latin Alley
3. Round mignight
4. Repetition
5. No Problem
6. I'm A Fool To Want You
7. Afternoon In Paris
8. Good Bye