JAZZ最中

考えてみればJAZZばかり聞いてきた。いまもJAZZ最中。

森の力 WALDEN / B・KOPPEL & K・WERNER

2009-12-19 17:55:09 | 聞いてますCDおすすめ


アルバム選びでは、blogなどで見つけたものをメモっておいて拾いますが、blogのとても高潔な文に惹かれて欲しくなりました。
ケニー・ワーナーはとても相手に合わせるのでイメージ良く解るのですが、サックスの人はフィル・ウッズと演ったアルバムではハード・バッパーとしてバリバリ吹いていたので、ちょっと変な感じですが、読んだ記事通り、素敵なアルバムでした。
アルトとサックスを吹くBENJAMIN KOPPEL とKENNY WERNERのデュオ・アルバムです。アルバムタイトルが「WALDEN」でこのジャケ、そして聞き始めれば森の中をゆったりと周遊するような、そしてもっと意識は飛翔するアルバムです。
1曲目、アルトとピアノのタイトル曲、森の全体を俯瞰して、そして中に連れ込まれすべて周りは森、それ以外ない情景に引き入れられます。
2曲目はそこでも流れる水の体系のような、腐敗を浄化し再生する森のシステムみたいな清々さを感じる曲、私このアルバムを森描写と思って拾いましたので、どうしてもそこに持っていってしまいます。
3強目な少し目線を上げて、もう一度俯瞰的に森の美的印象をアルトサックスで表した感じ感じです。
4曲目はソプラノで、その森の午後の色彩を拾うような感じですが“Where I Lived, And What I Lived For ”という哲学的な題ですか。
5曲目は森の中の視点がどんどん小さくなってミニュチアの世界、実は森を支配しているのはアリでしたみたいな秘められた規律の世界を感じます。
森の生活を意識して聞いてきたら、イメージが随分飛びある本を思い出しました。

大江健三郎という作家がいますが、学生のころ初期の作品から読み始め、新作に追いつきました。その時期の作品が「洪水はわが魂に及び」でこの後幾つか読んでおさらばしました。



この作品ではは、武蔵野台地の核避難所に立て篭もり、50種の野鳥の声を識別する知恵遅れの幼児、ジンが主人公の一人で「樹木の魂」と交感できる存在でした。
この小説は反社会集団も、その崇高さは実は不確かで、俗的な次元で破滅していくことで浄化があるのでないかという作品だと思いました。
手元に本はありますが、読み替えす気力はありません。
思い出したのはこの中での幼児ジンの「樹木の魂」との交感の力、誰も入り込めない森との交感を思い出したのです。
もちろん、このKOPPELとWERNERが森と交感しているわけではありませんが、二人の間にどの楽器も入れないような強い交感を感じるのです。そしてそれは森の力が作用しているのです。
7曲目、生物の腐敗と浄化の循環システムが私たちと切り離した森に存在することを、そこには、人類の浄化の可能性までも感じたり、変に空想が行ってしまいました。
8曲目は森の小動物のエピソードみたいな小話。
9曲目は1曲目と違うバージョンで題名どうり“In Early Winter”というジャケそのものの世界です。

高尚な感じから始まって、思わぬ空想の世界と、懐かしいものまで思い出したのは、森の力です。

WALDEN / BENJAMIN KOPPEL ・ KENNY WERNER

Benjamin Koppel(ss,as)
Kenny Werner(p)

2009年春デンマーク-コペンハーゲン録音

1. Walden
2. Rumors From An Aeolian Harp
3. Cows In Emerson's Pasture
4. Where I Lived, And What I Lived For
5. Life Without Principle
6. Life In The Woods
7. The Poet's Delay
8. Paradise (To Be) Regained
9. Walden (In Early Winter)


コメント
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