デンマークの実力派ベーシスト、アンダース・クリステンセンのリーダーアルバムですが、どこかで会っていたでしょうか。
あまり覚えがありません。
ポール・モチアンのグループにいるそうですから、聴いていたはずです。
このアルバムは参加のピアニスト、アーロン・バークスを聴きたくて購入、アーロンがギター入りのカルテットで、ブルーノートから出したアルバム、blog仲間の間で評判が良かったので気になっていました。私はタイミングを外したようで、というかギター入りいうので引けて買っていなかったのです。
来日して演奏もしているようなので、これからだんだんと評価されるのでしょう。
リーダーではありませんが、トリオなのでその個性を知ることが出来るでしょう。
1曲目“Dear Someone ”、このメロディ知っていますが何処で聞いたのでしょう。POPの歌声が頭に浮かぶのですが、はっきりしません。
実にゆったりとこのメロディを綴るとこのピアノの音、普通のピアニストとは違う存在だと感じます。
まるでキース・ジャレットがスタートをきった時のようなPOPをまるでトラデショナルなようにゆったり弾く感じです。
2曲目は引き続いて今度は現代的なリズムと和音を強調した、やはりキースの流れが濃厚です。
3曲目はモチアンの静謐なバラッド。
4曲目リーダーはベースなのでラインはしっかりしていて、ヨーロッパ調、重たいピッチカートの音です。
5曲目はキース・ジャレットのようなゴスペル調、ポール・モチアンがキースと一緒に演ったアルバムを思い出しました。
7曲目めずらしい選曲、でも柔らかなタッチのピアノは流暢でいて上手い。
9曲目も古いスタンダード、ドラムスはモチアンなのでしっかりたたきますし、ピアノはさまざまな表情をそれでいてどれも安定していて、このアルバム限りなくお進めに近い、8曲目、9曲目あたりで少し同じような感じがあり、そこだけ残念です。
しかしピアノの上手さという意味では、ここのところの一番でないでしょうか。
タイム感、タッチの感じ、ハーモニーの選び方、ここらへん、キースの後のメルドーをなぞった感じで、ひけはありません。
ここらのところがこれから、どのように変わるか実に楽しい。
これからずっと気にかけて行くピアニストと思います。
この題“キースの始まりみたい”って書きましたが、キースも初めは、あまりびっくりさせる演奏ではなかったのですよ。
別な場所でお友達なと言うか、ずっとお付き合いの続いている、骸骨さん(なぜ骸骨参なのでしょうか。)からご指摘があったことが、とても気に入っています。
このジャケットとBob Dylanの懐かしいアルバムジャケがとても良く似ています。
キースがリカバーした、“マイ・バック・ページ”とそこにいたP・モチアンが重なりあって、まるでこのアルバムが、そこら辺とすべて繋がりあっているようような妄想を与えてくれました。
楽しい。
Dear Someone / Anders Christensen
Aaron Parks(p)
Anders Christensen(b)
Paul Motian(ds)
2008年9月28日ニューヨーク、2009年4月コペンハーゲン録音
1. Dear Someone
2. Split Decision
3. Arabesque
4. Conception
5. Spend All The Money
6. Once Around The Park
7. Stompin' At The Savoy
8. The Wedding
9. I'll Be Seeing You
10. Little One