ワシントン州スポーケンのドーナツ店店長ヴィンス・キャムデンは、帰宅して郵便物に郡から送られてきた有権者登録カードを見つける。今三十六歳まで一度も手にしなかったものだ。
ドーナツ店店長のほかにクレジット・カードの偽造、マリファナの密売という裏の商売のおかげで、刑務所とは非常に親密な間柄だったからだ。このカード受領を契機に小悪党の再生の物語である。
このヴィンスのキャラクターも、ヴィンスを追うスポーケンの刑事アラン・デュプリーも魅力的に描かれる。
この作品は、アメリカ探偵作家クラブの最優秀長編賞受賞作である。著者は、ワシントン州スポーケン生まれ。イースタン・ワシントン大学卒。ノンフクションEvery Knee Shall Bow(1995)で作家デビューし、その後、小説『血の奔流』(2000)も執筆。