ついにジャック・バウアーの最後の正義が完遂される。アメリカのテイラー大統領(チェリー・ジョーンズ)が力を入れてきた和平協定調印のため、カミスタン・イスラム共和国大統領オマール・ハッサンがニューヨークを訪れていた。
一方、ジャックは娘のキム家族と同居するためロサンジェルスへ旅立とうとしていた。ところが銃撃で傷を負った情報屋が「ハッサン大統領の暗殺計画がある」という情報を持ってジャックに助けを求めてきた。CTUに連絡した結果がせっかく引退を決意したのに事件に深くかかわっていく。
ロシア・マフィアの影もちらつき、CTUは、かつてマフィアに潜入捜査をしたFBIの元捜査官ルネ・ウォーカー(アニー・ワーシング)に再度潜入捜査の依頼をする。それを聞いたジャックは強く反対するが、ルネの意志が固くしかもなにか思いつめて危険な感情を秘めているように思われ、ジャックはルネとパートナーを組むことをCTU支部長ヘイスティングス(ミケルティ・ウィリアムソン)の許可を得る。そのときヘイスティングスは「この事件の解決まで手を引くな」と条件を出す。
ハッサン大統領の和平に反対する過激グループがニューヨーク・マンハッタンで核爆弾の爆破と引き換えにハッサン引渡しを要求してきた。多くのニューヨーク市民の犠牲を除くためハッサン大統領は自らその要求に応えた。しかし、CTUの追跡も実らず処刑現場を見る羽目になる。それでも、何とか過激派グループの殲滅には成功する。
一件落着しジャックはルネと愛の時間をすごす。ルネが「私には誰もいないし行くところもない」と言ったとき「いや、俺がいるよ」とジャック。ルネは心持ほっとした表情を見せる。そんな経過が二人を結ばせた。
今、満ち足りた二人の時間、ジャックはキッチンでコーヒーの準備をしていた。そのとき、窓ガラスにびしっと言う音がして、振り返ったジャックが見たのはルネが倒れている姿だった。ルネは帰らぬ人となった。
ルネが狙われるということは、ロシア・マフィアと関係があることを示唆していた。これを境にジャックは豹変する。殺戮マシーンと化した。まるで夜店の射的場のようにころころと人が死んでいく。
いずれも悪いやつらだから一向に構わないが。しかし、クロエ・オブライエン(メアリー・リン・ライスカブ)は心配している。そのうちにジャックは、黒幕が元大統領のチャールズ・ローガン(グレゴリー・イッツェン)とロシア大統領だという情報を引き出す。ジャックはロシア大統領狙撃に向かう。
クロエは単身ジャック説得に向かう。クロエの説得に翻意したジャック。あくまでも和平協定に執念を燃やすテイラー大統領。そこへ政界復帰をもくろむチャールズ・ローガンに操られジャックを抹殺しようとまでしたテイラー大統領から自身の間違いを認め法の裁きを受けるという言葉とジャックには国外へ出たほうがいいと助言を与えた。
そしてジャックはクロエに言った。「クロエとはじめて会ってから、こんなことになるとは思いもしなかった。キムのことは頼む。ロシアから狙われかも知れないから。ありがとう」
CTUの事務所のクロエと無人偵察機の映像との別れのシーン。「24」で初めて涙が流れた。クロエの涙も。クロエはジャックが好きだったのかもしれない。そんな余情の残る場面だった。
それに、ジャックは心底優しい男だ。ルネが殺されたとき、死を賭して正義を貫くと同時に、ルネの無念を晴らそうとする。愛に命を賭ける。まさに男の行く道だろう。ああ、これで私も好きなクロエ・オブライエンともお別れだ!
キャスト
キーファー・サザーランド(ジャック・バウアー)
メアリー・リン・ライスカブ(クロエ・オブライエン)
アニー・ワーシング(ルネ・ウォーカー)
チェリー・ジョーンズ(アリソン・テイラー)
アニル・カブール(オマール・ハッサン)
グレゴリー・イッツェン(チャールズ・ローガン)
ミケルティ・ウィリアムソン(ブライアン・ヘイスティングス)