
久しぶりのメル・ギブソンに驚いた。印象は老けたなあ! だった。しかし、年齢は56歳でまだ老けるには早い。ただ、顔に皺が浮き出ていて老けた印象が強くなった。
マサチューセッツ工科大学の学生の娘エマ(ボヤナ・ノヴァコヴィッチ)が久しぶりに帰郷した。ところが、嘔吐を繰り返ししまいにはぶっ倒れてしまう。病院へ連れて行くために玄関のドアを開けたとたん何者かに射殺される。
父親で刑事のトーマス(メル・ギブソン)は、傷心を抱えながらも自身に思い当たる節がないために娘の周辺を洗っていくと、なんと巨大な核施設の陰謀に突き当たる。
娘の告発DVDを手に入れた。それには「ノースモア社で調査研究助手をしている。この話をするのは会社の規則違反で犯罪だと分かっている。でも正当な法的手段では告発が不可能だから正義のためにはこうして話すしかない。ノースモア社は法律を破り核兵器を製造していてアメリカ製の兵器にならないよう外国の材料を使った外国の兵器としてその兵器を使われたとしても使ったのがアメリカだとバレない。
書類や画像や青写真は入手したけれど兵器が存在する証拠が必要。そこで証拠撮影チームに侵入ルートを教えた。これを撮っているのは怖いから、私は監視下にある。電話は盗聴され尾行されている。パパがこれを見るとき、私は死んでいるかも。愛してる パパ」
苦渋の表情と怒りが交錯するトーマス。娘の仇を討つ殺人マシーンと化したトーマス。いくら刑事と言えども法を逸脱した行為は許されない。がトーマスは自身放射能を浴びせられ死を覚悟して果敢に仇を討つ。
関わったすべての人間がこの世から去るという無難な対応で終わる。娘を殺された肉親の深奥にうごめく氷のような憎悪を思うと、トーマスに限らず犯人を抹殺したい衝動を抑えるのに苦労するはず。現実はなお厳しい。


監督
マーティン・キャンベル1940年10月ニュージランド生まれ。’06「007/カジノ・ロワイヤル」ほか。
キャスト
メル・ギブソン1956年1月ニューヨーク生まれ。’95「ブレイブハート」でアカデミー作品・監督賞受賞。
ボヤナ・ノヴァコヴィッチ1981年セルビア生まれ。