400年前、バチカンから盗まれたミケランジェロの幻の絵画を巡り、ナチス・ドイツの親衛隊とユダヤ人画商との命を懸けた駆け引きに目を釘付けにされる。
1938年ウィーンの画廊に音信不通だった家族同然の使用人の息子ルディ(ゲオルク・フリードリヒ)が、画廊の息子ヴィクトル(モーリッツ・ブライブトロイ)の前に現れる。再会を喜ぶ二人。
ある夜二人はしこたま飲んでご機嫌で画廊に帰還した。そして、ヴィクトルは秘密の部屋にあるミケランジェロの絵画を見せる。これが事の発端。
ルディは、この情報をもとにナチス親衛隊の一員となった。ナチス・ドイツ親衛隊といえば紺の制服に赤地に丸い白抜きの中に黒い逆鉤十字を配した腕章が恐怖の象徴のように映る。それが車で乗り付けて絵画を探し回る。
ナチス親衛隊の象徴
ヴィクトルもしたたか、虚虚実実の姦計で最後に亡き父の肖像画の中にその絵画を手にして、ヴィクトルの母(マルト・ケラー)、ヴィクトルの恋人レナ(ウーズラ・シュトラウス)ともども歩道から画廊の中のルディにウィンクを送るという結末は観る者ににやりとさせる。
余計かもしれないが、ずっと地味な服装のレナがホテルで見せる豊かなボディのスリップ姿に、ほほえましい結末が想像できて、寒々しい画面から春の陽気を思わせるのは監督のサービスだったのかな。そんなことも思わせた。
監督
ヴォルフガング・ムルンベルガー1960年11月オーストリア生まれ。
キャスト
モーリッツ・ブライブトロイ1971年8月ドイツ生まれ。
ゲオルク・フリードリヒ出自不明。
ウーズラ・シュトラウス1974年オーストリア生まれ。
マルト・ケラー1945年1月スイス生まれ。