
確かにアラン・ドロンに似ているところがある。お話はいたって単純、どこにでもある話である。ひき逃げした男アル(ラファエル・ペルソナーズ)の人生が転がり落ちるすべてだ。ただ、それだけ。目新しくもない。
目撃して救急車を呼んだ女ジュリエット(クロティルド・エスム)は、因縁を感じたのか被害者の身辺を洗い犯人に迫っていく。
病院の集中治療室に横たわる被害者に密かに近づいて「死ぬなよ」と聞こえない相手に言葉をかけてエレベーターに乗ったアル。それを見つけたジュリエットは、いかにも犯罪を引き起こしそうなひき逃げ犯というイメージとまるで違うアルを見る。涙を流し打ちひしがれ悩むアル。こういうのに女心は揺れ動くのだろうか。
お互い婚約者のある身でありながら、何度目かの話し合いのあと車の中で求め合う。街中での行為なんて信じられない。いくら映画とはいえ現実的でない。SFでない限りあり得ない。したがって説得力がない。私が書くようなレベルの低い小説のようだ。
アラン・ドロンと言っても、今の若い人には未確認物体みたいなもので興味が出るはずもない。高齢者が見てみようと思うのが落ちだろう。ただ、興味本位に観るのも悪くない。お暇とお金のある人はどうぞ。


監督
カトリーヌ・コルシニ1956年5月フランス生まれ。
キャス
トラファエル・ペルソナーズ出自不詳
クロティルド・エスム1979年7月フランス生まれ。
アルタ・ドブロン1980年10月ユーゴスラビア、コソボ生まれ。
レダ・カテブ出自不詳