調べてみるとこの「欲動」という言葉、精神分析学の用語で「人間を常に行動へと向ける無意識の衝動」とある。もっと詳しい説明があるが、ここでは割愛してこの映画がその表象を試みているのではないかとも思う。
13歳の少女ウーナ(ルビー・ストークス)は、父親と同じ年代の隣人のレイ(ベン・メンデルソーン)と愛し合い性交渉を重ねる。発覚してレイは未成年者との不純交際で刑期4年の末、名前を変えて結婚し別の町で物流会社に勤めている。15年後のウーナ(ルーニー・マーラ)は、事務員をしながらまるで娼婦のような日常を送っている。
ウーナにとって初めての男レイが忘れられず居所を突き止める。どのように調べたのか、映画はそこのところは描かない。突き止めた物流倉庫にレイを訪ねる。この映画常に何をするのだろうというミステリアスな画面が展開する。
巨大な倉庫の一角にある従業員用のロッカーと数脚のテーブルとイス。そこが主なシーンだから、まるで舞台劇を見ているようだ。二人の過去をフラッシュ・バックを交えながら明らかになっていく。
で、ウーナは何をしたいのか。レイに結婚を求めているのか。破滅なのか。精神分析学の範疇だから、われわれには理解不能な部分があってもおかしくない。普通は13歳でレイとのようなことがあっても、成人するに従って世間を知るし分別も備わり今を生きる術を手にする。ストーカーのように追い回すことはないだろう。
ウーナは精神異常者としか思えない。ルーニー・マーラは、「キャロル」のレズ、本作の精神を病んだ女と意欲的に挑戦しているのが目を引く。この映画でも惜しげもなく素肌の胸をあらわにしている。
監督
ベネディクト・アンドリローズ出自不詳
キャスト
ルーニー・マーラ1985年4月ニューヨーク州生まれ。
ルビー・ストークス出自不詳。
ベン・メンデルソーン1969年4月オーストラリア・メルボルン生まれ。
リズ・アーメッド1982年12月イギリス、ロンドン生まれ。
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