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映画「パッチ・オブ・フォグ 偽りの友人」劇場未公開作品ながら観て損はない

2019-02-25 18:37:15 | 映画

        
 「一面の霧A Patch of Fog」出版25周年を迎えるベスト・セラー作家サンディ(コンリース・ヒル)は、広い邸宅を持ち愛車がベンツというおカネに困っている人種ではない。

 ところが100円ライターの類を万引きする。発覚すれば地位も名誉もドブに捨てることにもなりかねない。それでもやめられない。どうやら「クレプトマニア(窃盗症、窃盗癖)」のようだ。

 スーパーマーケットの片隅で、監視カメラが送る映像を注意深く眺める男ロバート(スティーブン・グレアム)がいた。今日も小物を漁るサンディ。品物を手に取り、さも携帯電話が鳴ったふりをして品物をコートのポケットに入れる。一歩店から歩道に出たところで、ロバートに呼び止められる。

 一見人当たりの良いロバートではあるが、実に狡猾で自分からはなんの要求や指示を出さない。万引犯の言質を待っている。サンディもその手に掛かった。

 ロバートは、サンディがベストセラー作家だあることを重々承知していながら全く知らないふりをする。「警察に連絡しないといけない。それが私の職務だからね」と言いながら受話器に手をかける。サンディは置かれている立場がガタガタと崩れていくようで、自分の立場と哀願を繰り返す。

 ロバートはタイミングを見て「分かった」と一言。サンディが金を出して「これを受け取ってくれ」と言う。ロバートは、「いや、要らない。その代わり横丁のバーで待っててくれ」

 この接点が二人の友情を温めるふりをしながら、騙し合いのゲームが展開される。実に巧妙なプロットを私たちに投げかけてくる。エンディングのサンディが地位も名誉も捨てる覚悟があったら、命を捨てることもなかった。しかし、万引という窃盗癖は完治した。

 ベストセラー小説「一面の霧A Patch of Fog」のPatchには「つぎはぎ細工」の意もあることから、霧の中で先も見通せないつぎはぎだらけの友情のなれの果てと言える。教訓:交通事故を越したら逃げないで潔く。

 この映画が劇場未公開なのは、三人のベテラン俳優を起用しているが日本での知名度は低いためかもしれない。アマゾン・プライムでぜひ観賞をお勧めする。
  
  
監督
マイケル・レックス出自未詳

キャストス
ティーヴン・グレアム1973年8月イギリス、イングランド、リパプール生まれ。
コンリース・ヒル1964年11月北アイルランド生まれ。
ララ・バルヴァー1980年9月イギリス生まれ。