Wind Socks

気軽に発信します。

海外テレビドラマ「ロマノフ家の末裔~それぞれの人生 」アマゾン・プライム・オリジナル 

2019-02-03 15:36:23 | 海外テレビ・ドラマ

         
 1613年、ロシアの有力貴族の推戴によってロマノフ家が誕生した。そしてロマノフ家は世界一の大富豪でもあった。1918年革命軍によってロマノフ家の処刑で断絶した。このドラマでも冒頭に全員射殺され血が床に流れる。

 子孫絶滅かと思いきや、ネットをさまようと去年の2月16日にモナコ公国に本部を置く人道支援組織「アミチエ ソン フロンティエール インターナショナル ジャポン」が開くチャリティ・ガラ・パーティの案内が目にとまった。

 このパーティにロマノフ家の末裔プリンセス・オルガ・ロマノフが招かれていた。このパーティは、ブラック・タイかホワイト・タイ着用のハイソサエティなパーティという。

 そしてオルガ・ロマノフについて、1918年ちょうどロマノフ家の処刑のとき、亡命した一族がいた。オルガは、1950年にイングランドに生まれたという。現在もロンドンに在住、30室あるシャトーで暮らしている。

 このように末裔たちは健在ということで、このドラマが展開される。現代に生き残った末裔たちにも、われわれと寸分違わない皮肉な人生を見ることが出来る。結論から言えば「実に面白い」と言える。8話構成になっていて1話が1時間から1時間30分という長さ。皮肉と風刺が効いたストーリーに飽きることはない。

第1話「ヴァイオレット・アワー The Vioket Hour」
 代々続いたロマノフ家の遺産を叔母が家政婦に贈ると言う暴挙に色めき立つアーロン・エッカートとガールフレンドのルイーズ・ブルゴワン。しかし、皮肉な結末が待つ。

 アーロン・エッカート、カリフォルニア州クパチーノ生まれの50歳。クリント・イーストウッドが監督した2016年の「ハドソン川の奇跡」の副機長は記憶に新しい。

 アーロン・エッカートの叔母役のマルト・ケラーは、1945年スイス生まれの73歳。女優とオペラ演出家として有名。私は初めて見る。

 アーロン・エッカートのガールフレンド役がルイーズ・ブルゴワン。1981年フランス生まれの37歳。2009年セザール賞最優秀主演女優賞にノミネートされるほどの実力がある。

 家政婦役のイネス・メラブは、1993年フランス生まれの25歳であるが、明らかにアラブ系だ。ちなみに「ヴァイオレット」はスミレで、コンクリートの隙間にも生えることから、イネス・メラブのしたたかさの象徴なのかと思える。

第2話「空しい望み The Royal We」
 マイケルとその妻は、中年の危機。ロマノフ家末裔が全員集まるクルーズ船でのパーティが迫る。そんなときにマイケルは陪審員を引き受ける。簡単な殺人事件で、評決は出発時間には間に合うと思っていた。

 ところが陪審員の中にマイケルの心を捉えて離さない美女、ジャネット・モンゴメリーがいた。病的にジャネットを思う心が、全員一致が原則の陪審員の評議でただ一人有罪に反対する。これによってジャネットとのつながりが続いていく。ことはそう簡単ではなかった。皮肉な結末が待っていた。

 ロマノフ家末裔のマイケル・ロマノフを演じるコリー・ストールは、1972年ニューヨーク州ニューヨーク市に生まれた42歳。バイプレイヤーとしてよく見る顔の一人。2013年「ハウス・オブ・カード野望の階段」でアルコール中毒の政治家を演じ好評を得る。

 マイケルの妻を演じるケリー・ビシェは、1984年ニュージーランド生まれの34歳。2012年ベン・アフレック監督・主演の「アルゴ」に出演した。

 陪審員のイギリス女性をジャネット・モンゴメリーが演じる。ジャネット・モンゴメリーは、1985年イギリス、イングランド、ボーンマス生まれの33歳。

 マイケルの妻ケリー・ビシェとクルーズ船で出会う男を、1971年ロサンジェルス生まれのノア・ワイリー47歳が演じる。

第3話「栄華の果てにHouse of Special Purpose」
 演技力が乏しく監督やキャストの相手役男優など、誰とでも寝る有名女優が、ロマノフ家の末裔イザベル・ユペールが監督する“ロマノフ家”に出演。最後の最後にロマノフ家処刑の場面で最高の演技を見せた。しかし、これも周囲の策謀の結果だった。風刺のきいたお話。

 有名女優を演じるクリスティーナ・ヘンドリックスは、1975年テネシー州ノックスビル生まれの43歳。

 本作「ロマノフ家の末裔」を脚本・監督・製作を担当したマシュー・ワイナーが、2007年に製作総指揮・脚本を担当した1960年代の大手広告代理店を舞台にした「マッドメン」で、多くの男を魅了する代理店のオフィス・マネージャー役で脚光を浴びた。

 なお、2008年から3年連続でプライムタイム・エミー賞の作品賞を受賞している作品でもある。

 監督役のイザベル・ユペールは、世界的実力派女優と言ってもいい。私の好きな女優で彼女が出ていれば無条件で観てしまう。1953年パリ生まれの65歳。オーラを感じる女優だ。

第4話「秘密の重み Expectation」
 ジュリア・ウェルズ(アマンダ・ピート)は、娘の出生について堅く口を閉ざしていた。その秘密は、夫エリックの親友ダニエルと浮気したときの子だった。娘の出産を待っているとき、秘密が思い出され、いつ真実を伝えるべきかで心が揺れる。ロマノフ家との接点は、小説家ダニエルの作品「ロマノフ家」にある。

 ジュリア役のアマンダ・ピートは、1972年ニューヨーク生まれの47歳。浮気相手のダニエルを1962年マサチューセッツ州ボストン生まれのジョン・スラッテリー47歳が演じる。

第5話「虚像の調べ Bright and High Circle」
 ロマノフ家から代々伝わる重厚な邸宅の一つに住むキャサン・フォードは、邸宅の庭に面した広いピアノ室で息子が弾く「チャイコフスキー作曲ピアノ協奏曲第1番第1楽章」を惚れ惚れとした気持ちで聴いていた。演奏が終わった後、ゲイのピアノ教師デヴィッドに感謝の言葉をかける。

 近辺の富裕な家庭の子供を教えるデヴィッドは、ユーモアもあり明るい性格の持ち主で広く愛されていた。ところがある日、女性刑事がやってきて「デヴィッドが生徒と不適切な関係を持っている疑いがある。いずれ子供たちに事情聴取することになる」と言う。

 刑事から他言無用と釘を刺されているが、秘密は素早い速度で秘密でなくなるのが世の常。そして疑心暗鬼の空気が広まる。噂話の怖さを暗示しているような風刺が面白い。

 キャサリン・フォード役のダイアン・レインは、1965年ニューヨーク生まれの54歳。2002年の「運命の女」でアカデミー賞主演女優賞にノミネート。

 ゲイの音楽教師デヴィッドを演じるのは、アンドリュー・ラネルズ。1978年ネブラスカ州オマハ生まれの40歳。本人自身もゲイ。ブロードウェイ出身の歌手・俳優である。

第6話「パノラマPanorama」
 舞台はメキシコ。メキシコといえば映画やドラマで麻薬マフィアを強く意識する。このドラマは、まるで観光映画の趣だが、メキシコの別の顔を見せてくれる。

 ラテン圏最大の都市メキシコ・シティのジャーナリスト、エイベルは、富裕層を対象とする末期がん患者の治療を行う病院に疑いを持っていた。女性看護師を丸めこんで自身の採血を白血病の血液と取り替えさせ、患者としてもぐりこんだ。

 そこで出会ったのが白血病の息子を持つ、ロマノフ家の末裔でアメリカ人の母親ヴィクトリアだった。壁画で有名な国立芸術院宮殿、メキシコ・シティ北東約50キロにあるテオティワカンの高さ65㍍の太陽のピラミッドなどを巡ると男と女は徐々に近づいていく。夫に不満を持つ人妻と独身の男。しかし、このドラマでは一線を超えなかった。 が、「息子さんのために、もう一度夫婦関係を立て直してよりよき人生をと思う。あなたを愛しているけれど」という男を振りきれるだろうか。
 もし、続きのストーリーがあれば激しく燃え上がる筈だ。「その後は?」と思わせるドラマだった。

 ヴィクトリアを演じたのは、1973年オーストラリア生まれのラダ・ミッチェル45歳。ジャーナリスト、エイベル役は、1984年東京生まれメキシコ育ちのファン・パブロ・カスタニェーダ34歳。

第7話「終着点End of the Line」
 養子縁組のお話。子供に恵まれないアメリカ人夫婦がウラジオストックにやって来た。妻アンカがロマノフ家の末裔と言われていて、養子はロシアからと言う希望を持っている。

 収容施設で見せられた女の子は、泣かないし一言も発しない。ホテルに戻った夫妻が夫婦喧嘩を始める。「様子がおかしい。脳に問題があるのでは? あの子を受け取りたくない」と妻。「黒人の子はイヤだとかあれこれ選り好みするのは良くないよ」と夫。

 引き取りの断りを施設に言ったところ、なんと色が白く笑顔の可愛い子を手渡された。妻アンカは満面の笑み。夫妻は審査にも通り帰国の途についた。

 このドラマを観ていて、ちょっと嫌な気分になった。これが実態なのかもしれないが、人種を差別しまるで保護された猫や犬を選ぶような感覚に違和感がある。実際このドラマでも、高額の金額を支払っていた。要するに赤ちゃんを買うわけ。

 自分が産んだ子が脳に障害があっても、手足に問題があっても育てていかなければならない。養子縁組は赤ちゃんを選ぶ方が選択条件を、色白で美男美女になる可能性大とか、知能指数が高いという条件をつけるかもしれない。俺もお前も成績が良い方ではなかったから、生まずに養子縁組で頭のいい子を見つけようなんてなりかねない。ドラマではセリフの中に差別や偏見を潜り込ませているが、重い課題を提示されたお話だった。

 アンカを1973年イリノイ州ウェストチェスター生まれのキャスリン・ハーン45歳。夫役を1974年テキサス州ダラス生まれのジェイ・R・ファーガソン44歳。

第8話「すべてを持つ者 The One That Holds Everything」
 これは完全にミステリーだ。一言だけ「鉄道のファーストクラスに隣り合わせに座ったのが運命の分かれ道」
キャスト 
ヘラ・ヒルマー1988年アイスランド生まれ。
ベン・マイルズ1967年イギリス、ロンドン生まれ。
JJ・フィールド1978年コロラド州ボルダー生まれ。
アデル・アンダーソン1952年イギリス生まれ。

2019年1月11日からアマゾンで放映
  
  
  
  
  
  

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする