まるでポルノでゲイを公言する監督フランソワ・オゾンのセクシャル映画。フランス映画は女優を裸にする傾向がある。これもその一つ。
謎の腹痛に悩むクロエ(マリーヌ・ヴァクト)は、産婦人科女医の腹痛について精神的な問題だろうという。クロエは精神科医を紹介してもらい、訪れたのは螺旋階段をひたすら登るポール・メイエル精神科医(ジェレミー・レニエ)だった。
寡黙なポールだが予期した通りクロエに一目惚れ。同棲まで漕ぎ着ける。何気なくポールの私物を整理しているとき、古いパスポートが出てきた。その名字が「ドゥロール」となっている。今のポールは「メイエル」、夕食の席で問い詰めると「開業するとき母方の名字になった。メイエルは響きがいい」
そんなある日、バスの窓から見たある建物の玄関でポールと話す女性。気になってポールに問いただすが否定。クロエの猜疑心は、車窓から見た建物に向かわせる。建物の玄関のプレートには「ルイ・ドゥロール 精神分析医」となっている。
予約の上訪れたその建物も螺旋階段で登る。精神分析医ルイ・ドゥロールのドアをノックに出てきたのが、ポールそっくりの男(ジェレミー・レニエ)。しかもこの男は傲慢で暴力的な支配者。最初の面談で分かったのは、ポールの双子の兄ということ。二度目には、クロエは犯されていた。
徐々に現実か妄想かが分かってくる。双子の兄弟がキスをする場面になると妄想が確かとなる。このキスの場面は、どのように撮影したのか見ものだと思う。
主人公クロエを演じるマリーヌ・ヴァクトは、髪形をボーイッシュにまとめ細面で華奢な感じのする女優で中性的な魅力がある。モデルの経験もあるようで、美術館の監視員の職を得て歩く姿はまるでファッションショーのモデル。そうはいっても、一度も笑わない冷たさを秘めた人物を演じるには適材と言える。
映画全体のトーンは地味で、裸の男女が絡むセックスシーンが異彩を放つ。分かりにくい映画で、オープニングからして分からない。クロエの長い髪の毛をボーイッシュに整える場面だ。これが何を意味しているのか分からない。ある人は、表情の変化からこれからの展開を読み取れるという。私は読みとれなかった。
いずれにしても、評価する人もいれば、そうでない人もいる。批評家たちの評価もおおむね肯定的だという。映画を見た後、みんなであれこれと話し合うには格好の題材とは言える。
この映画は、R18+指定作品で18歳未満の入場・観賞禁止となっており、広告やCMでの宣伝が不可能に等しく、公開する映画館が大幅に減少する。地上波放送は、ほぼ不可能である(ウィキペディアから)
DVDだったら18歳未満でも観られるんだがねえー、どうする? こういう映画は私は好きではない。皮肉を込めて言わせてもらえれば、精神病患者が観ればすとんと理解するのではないだろうか。2017年制作 劇場公開2018年8月
監督
フランソワ・オゾン1967年11月パリ生まれ。
キャスト
マリーヌ・ヴァクト1991年4月パリ生まれ。
ジェレミー・レニエ1981年1月ベルギー・ブリュッセル生まれ。
ジャクリーン・ビセット1944年9月イギリス、サリー州ウェイブリッジ生まれ。