三島湖の近くにある三島神社の今にも朽ち果てそうな木製の男根が、パラパラと置かれていたのを見て素朴な信仰に、ある種の感動を受けた。
その感動というのは、男女和合の素朴な願いを込めて、男が自ら彫ったのか? あるいは女が彫ったのか? いずれにしても強い意志が感じられるからだ。
それを引きずっていたせいか、印旛沼をぐるりと一周する神社を三ヶ所ほどまわってみた。千葉県佐倉市太田にある熊野神社、印旛郡印旛村松虫の松虫寺、印旛郡栄町安食(あじき)の大鷲神社である。
この日は、気温は高いが曇天で、すっきりとした天気ではなかった。車で巡るので天候にあまりこだわらないが、それでも雨になると視界も悪いし動きも鈍くなる。目指す神社を探すのに雨はいやなものだ。見知らぬ土地のこと、すんなり行き着く筈もない。この熊野神社も古くからある村落の中の細い道を塀や生垣を気にしながらたどり着いた。しかも土地の高齢の男性に尋ねた上でだ。
この人は本当に親切な人で、自分の軽トラックで先導してくれた。久しぶりに曇天に光を見た気がした。歩いてすぐのところだったが、車でも入れると請合ってくれた。しかし、かなり細い角を曲がって境内に入った。何とか車に傷を付けずにすんだ。
境内は狭く本殿も小さい。本殿の裏に、これも小さな物置の様な建物の中に、木彫りの男根が積み重ねてあった。
ダンボールの箱もあって無造作に収納してある。雑な神様もあるものだ。それほど地元に根付いた風習なのだろう。先ほど先導してくれた人に詳しく聞けばよかったとふと思った。