OVERDOSE過剰摂取、今、若者の間で薬の過剰摂取が問題になっているそうな。薬と言っても風邪薬・咳止めなど。この映画の過剰摂取は、過剰摂取をさせる薬物の輸送にまつわるバイオレンス。観た人の、評判はあまりよくない。
私には徹底したバイオレンスの描写は、消化するのには大変だがラストシーンのサラ(ソフィア・エサイディ)の失意の描写は、犯人を追い逮捕するが自らの伴侶を捕まえようとする刑事の悲しみが彼女の背中にあった。
スペインのアルカサル・デ・サン・ファン刑務所を一人の男が出所した。男の名前はイゴール(ニコラ・カザレ)。迎えに来たのは、カタルーニヤが地元のギャング組織アルフォンソ・カストロビエのNo2エドアルド(アルベルト・アンマン)。血も涙もない冷酷な男だ。2日後に先導するバイク2台と護衛の乗用車2台と麻薬を積んだピックアップトラック1台が追従するコンボイ計画にイゴールがバイクの1台を操縦する。麻薬捜査官のサラのスマホには、このイゴールの写真が保存されている。つまりイゴールは警察の犬でありギャング組織の裏切り者なのだ。
フランス、パリ警察署長のリチャード・クロス(アッサード・ブアーブ)が捜査する少年殺害事件がギャング組織と深くかかわっていることがわかり、スペインのサラ麻薬捜査官と共同捜査になる。ギャングの車を連ねるコンボイは、かなりのスピードで高速道路を疾走する。こういうコンボイをホテルに乗り付けるわけにはいかない。目立ちすぎる。どうするかと言えば、田舎の民家に半分脅しながら押し入る。夕食を出させワインをラッパ飲みという行儀の悪さ。しかもこの家のあるじが不審に思って車のナンバープレートを確認していると、気づいたエドアルドが射殺する。とんだ災難を抱え込んだこの一家。
また、護衛の1台に乗ったザイード(ナシム・リエス)の情婦が薬物の過剰摂取で朦朧とし始める。道路から少し入った空地に止めて様子を見ていた。そこへパトカーが入ってくる。後から来たエドアルドが銃を乱射する。警官全員死亡。
リチャードとサラは刻々と入ってくるイゴールからの位置情報に聞き耳を立てていた。出てくるのはけむじゃらの男ばかりだが、私は結構この映画を楽しんだ。リチャードとサラのちょっとしたラブアフェアも彩りを添える。
キャスト
アッサード・ブアーブ1980年フランス生まれ
ソフィア・エサイディ1984年モロッコ、カサブランカ生まれ
アルベルト・アンマン1978年アルゼンチン生まれ
ニコラ・カザレ1977年フランス生まれ
ナシム・リエス1988年フランス生まれ