この映画、つまらないと思う人もいるかもしれない。私も「つまらんホラー映画だな」と観終わったときに思った。しかし、よく考えてみると手術の失敗で家族の誰かを亡くした遺族の気持ちを考えたとき、医師は失敗を認めないだろうから、それではどうすればいいのか。この映画が一例を示してくれる。かなり飛躍はしているけれど……。
心臓外科医のスティーヴン(コリン・ファレル)は、今日も心臓オペを終えた。過去に手術の失敗で患者を一人あの世に送っている。失敗の原因は何だったのか。それは飲酒の上でのオペだった。その罪悪感からか残されたあの世に送った男の十代の息子マーティン(バリー・コーガン)に何かと気にかけている。この日も高価な腕時計を贈ったりしている。
スティーヴンは眼科医の妻アナ(ニコール・キッドマン)と長女キム(ラフィー・キャシディ)それに息子ボブ(サニー・スリッチ)と郊外の豪邸に住んでいる。
このマーティン、突然スティーヴンの病院に現れたり、夕方に会いたいとか言ってくる。つまり相手の事情も考えない思慮に欠けた行いなのだ。それでもスティーヴンは、変わらない交流を続ける。自宅の夕食に招いたり、マーティンの家を訪ねて母親も交えて夕食を共にしたり、いわゆる普通の家庭のお付き合いではある。
ところがある日、スティーヴンの息子ボブが両足で立てないという病魔に襲われる。精密検査、CTやMRIの結果も異常なしだった。執拗に付きまとってくるマーティン。しかも長女のキムにも同じ症状が現れる。不思議な力を持っているように見えるマーティン。やがてマーティンがむき出しの憎悪を見せるようになる。僕の父親という肉親が、先生のオペミスのために死んだ。だから先生の家族からも、犠牲者を提供する義務がある。スティーヴンは究極の選択を迫られることになる。
この映画、理詰めで観ると全然面白くない。そうでなかったら、マーティン役を演じたバリー・コーガンの特異なキャラクターとともにホラー映画を味わえばいい。批評家の評判も良く10点満点で7点7になっている。しかもカンヌ国際映画祭でパルム・ドームを争い脚本賞の受賞と記念名誉賞をニコール・キッドマンが受賞している。ただし、家族で観る映画ではない。異様な感じの残る性的描写がるため。
監督
ヨルゴス・ランティモス 1973年ギリシャ生まれ。才能のある監督として評価されている。
キャスト
コリン・ファレル 1976年アイルランド生まれ。
ニコール・キッドマン 1967年ハワイで生まれ、オーストラリアで育つ。演技力も認められるハリウッドの美人女優の一人。
バリー・コーガン 1992年アイルランド生まれ。
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