猫とマンガとゴルフの日々

好きな物を題名に↑ 最近はゴルフとグルメお出かけ主体に。以前は1960年~70代マンガを紹介していました。ネタバレ有り。

石ノ森 章太郎 「竜神沼」

2006年10月26日 10時27分08秒 | マンガ家名 あ行
 これ、間違いなんだか何かあるのか、表紙には 「竜神沼」 になってて、中のマンガの題名の方は 「龍神沼」 になっているんです。


                


 この本は、昭和42年(1967)2月1日 ㈱朝日ソノラマ発行 (初版とも書いてませんよ) の サンコミックスです。

 龍神沼・金色の目の少女・雪おんな・昨日はもう来ない だが明日もまた・きりとばらとほしと の5編が収録されています。初期の石ノ森少女マンガの傑作ぞろいです。このうち、龍神沼・昨日はもう来ない だが明日もまた・きりとばらとほしと は、少女クラブ(当時でも廃刊済み)、「金色の目の少女」 は少女フレンド  「雪おんな」 はなかよし に発表されています。

 はじめに として、石ノ森氏がコメントを書いていますが、引用させて頂きますと、

 ぼくの今まで出版した十数冊の新書版ものの中でも、特に好きな一冊になりそうです。いづれも少女雑誌に掲載したもので・・・略・・当時としてはどうしても描きたかった・・・略・・そして真剣に描いた、というなつかしい思い出がある一連の作品ばかりだから・・・略・・。

 そして、デビュー当時さる編集者のすすめで少女マンガではタブーとされていたスリラーもの、SFラブロマンスものといったマンガを描かせてもらったが、ぼくの力量不足で成功せず、その後は普通の少女マンガに近いものを描いていたが、図々しくダダをこねて、「夏冬二回の臨時増刊号で好きなものをかいてごらん」 と言ってもらい、描いたのがこれらの作品です。

 と言っています。思い入れは相当有ったようです。

 「龍神沼」 は、秋田書店刊の 「マンガ家入門」 1965年8月15日発行 の作例に使われていて、マンガの技法について例としていろいろ出ています。「マンガ家入門」 は自分も持っていたのですが、大分前に処分してしまって (泣) 取っとけば良かったなぁ。映画好きな石ノ森先生らしく、映画的手法を駆使した解説だったと記憶しています。(フラッシュバックとか) 

 東京から、いとこのユミの村にやってきた研一は、龍神沼のほとりで白い着物の少女に出会う。折からの村の龍神祭りに乗って話は進み、大人たちの生臭い思惑も絡んで・・・。白い百合を持ち、白い着物の少女は龍神沼の守り神、龍神様なのか・・・。静かなクライマックスと、エンディングが印象深い作品です。

 「金色の目の少女」 は少女フレンドを取っていた私は、リアルタイムで見てます。表紙の絵をよく覚えてます。
 雪に閉じ込められた雪山の山荘に金色の目の少女が現れ、――― SF的雪おんな ? 

 「雪おんな」 は、日本昔話。鶴の恩返しと、雪おんなを足して・・・。こちらでは、木原 敏江先生の可愛いバイプレーヤー、あの白菊君に会えます。(笑) 実は主人公の女の子の目が白菊君しているんですよ。

 「昨日はもう来ない だが明日もまた」 は以前書いたので ↓


              マンガ 「時空を越えて逢いに来る少女」 の系譜


 「きりとばらとほしと」 も以前の記事をご参照下さい。 ↓


               「きりとばらとほしと」~「ポーの一族」~「銀河荘なの!」 吸血鬼の系譜


 個人的な意見ですが、1960年代の石ノ森作品は、実験的なものも多くて、SFでは原作付き (福島正美・小松左京・平井和正・福本和也) もあって、意欲的にマンガの可能性を探っていらした時期でないかと。もっと後になると、先生の周りも大きくなって、商業的なことも絡んで、好き勝ってにあまり描けなくなっていったんでは無いかと・・・。歌手なんかも売れてくるとそうですけどね。
 
 その時期の象徴的な作品が、手塚先生をして 「あれはマンガじゃない」 と言わしめた問題作 「章太郎のファンタジーワールド ジュン」 COM 1967年1月~1969年2月号 になるのですが、えっと、まだ資料探してないので、この項は又、次の機会に・・・・。
 
 『もしもし~、予告ばかりたまってますけど~』

 はい、すみません。のんびりやります。(汗)
コメント (8)
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