猫とマンガとゴルフの日々

好きな物を題名に↑ 最近はゴルフとグルメお出かけ主体に。以前は1960年~70代マンガを紹介していました。ネタバレ有り。

山岸 凉子 「アラベスク」 1部・2部

2007年01月09日 17時06分13秒 | マンガ家名 やらわ行
かねてから読まなくちゃと思っていて読みそびれていた、かの「アラベスク」、やっと夜さんにお借りして読めました。 

 私が読んだのは、白泉社刊 花とゆめコミックス1部4冊、2部4冊。初出は1部が昭和46年(1971年)りぼん10月号より昭和48年(1973年)4月号まで。2部が昭和49年(1974年)「花とゆめ」創刊号から。

 お凉様の初の長編にして初期の代表作、バレエまんがの傑作でもある・・・と知っていながら、この頃の絵柄があまり好きでないのも手伝って、今まで読んでいませんでした。ファンなんて言えません
 ソ連邦崩壊前のソ連が舞台で、それなりに亡命話など出てきて、今読むと世の中変わったなぁとしみじみ思いますね。

 1部全4巻では、地方のバレリーナ学校の、背ばかり高くて技術が伴わないと思われていた少女ノンナが、その才能を見抜いた一流ダンサーのミロノフによって次第にバレリーナとしても女性としても成長していく過程を描いています。苦しい地獄の特訓場面や、ノンナ失踪などのエピソードはあるものの、障害を乗り越えて成功していくノンナの姿に読者の少女達も夢を満たしていきます。先生役のミロノフの、いつもシカメッツラをした無口な様子がかっこいい。何を考えているのかノンナにも読者にも分からないけど、とにかくこの先生に付いて行こうと・・・。

 作者の絵がどんどん上手くなってこの作品では作者も成長していくのが分かります。1部のラストの方、ライバルの悲劇には思わず涙がバレエの作品解説も所々に入って楽しく為になる。

 2部全4巻では、追われる立場となったノンナの人間的な成長が1部より一層深く描かれます。登場人物たちも1部より複雑な心と経験を持った人々ばかりがノンナの前に現れてノンナの心を乱します。ミロノフも1部の時より心情を吐露する場面が多くなる。2部はバレエの要素以外のものも入って複雑になっています。
 
 2部の幸せなラスト、お凉様の作品のラストは、悲しかったり怖かったりが多いので、このラスト好きだなぁ。正確に言うと幸せを予感させるラスト、なんだけどとっても余韻があって素適です。

 全8冊、年末から2回続けて読み、所々又読み直しました。やはり世に名作と褒め称えられる作品は違いますね、早く読んどけばよかった。これからも、いままで自分が読んでいなかった作品を出来るだけ読まなければ、もったいない。

 今、ネットで買えるものはこちらでしょうか。 → アラベスク
コメント (9)
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