新進ビックフォア作品集 表紙は 樋口 太郎氏
いつものようにネタバレです。
青柳 裕介 「遠い雲」
高校生の頃、同級の真知を妊娠させてしまい、逃げるように大阪に就職してしまった男ケン。そのことは心のオリとなってケンの胸に残っていた。「なにかしなければ・・・」 もう結婚したという噂も聞いていたのに。
偶然仕事で行った街で真知を見かけ、無理やり3日間の休みをもらってその街を探すケン。3日目にやっと会えた真知は、「あの時は悲しかったけど、昔のことよ」 と去っていく。その夜あきらめきれない自分に嫌気が差して酒を飲んだケンは夜の道で真知と今のだんなに出会う。
思わず 「待てよ!」 と呼びかけるケン。しかし二人の臆せぬ様子に笑うしかないケンだった。だんながその後真知に言う言葉が憎い!
「何も言わなくてハハ・・お前が彼から卒業していることは俺にはよくわかる ―略― 」
私は由美、喫茶店に勤めている。お客様で気になる人がいるけど声もかけられないの。同僚の子はキッカケ作ってあげようかと言うが、本気だもん、怖くて断ったわ。3日ぶりにあの人が来て、私は嬉しさを隠しきれない。同僚は今度こそアタックするのよと言ってくれる。
この作者には珍しく、新しい恋を予感させるラストでほんわかさせる。
もとやま 礼子 「脱走」
収容所のような建物の中で作業する男たち。監視している男たちは非情だ。新入りの男は事情がよくわからないようだ。自分はDマークといわれ、性格に欠陥があると言われる。知り合った女の子は、ここは捕虜収容所だと言って、Dマークの自分に悲しいことが起きないようにと謎をかける。
同室の男たちにどこで戦争をやっていてどうしてここに閉じ込められているのかと聞いても変な気を起こすなよと言われるだけ。
男はついに脱走を企て、女の子の犠牲のおかげで逃げ出せるが・・・。外はいたるところで戦争をやっていて、男はすぐに銃で殺されてしまうのだった。
何かの比喩か、風刺的な作品。自由は不自由よってことか ????
ガンケ・オンム 「動物園で見た赤とんぼ」
幼稚園児くらいの少年。都会に住んでいて彼を取り巻く世界に耐えられなく思っていた。ディズニーの記録映画を見た時から大自然に憧れていた。彼は動物が見たくて始めて動物園に足を運ぶ。少年は動物園に行くことによっていつも不満に思っていることが消えてしまうように思えたのだ。
だが、死んだ目をしてぐったり横たわるライオンやゴリラを見て、最後のものにも裏切られた・・・そんな思いがした。帰ろうとしたとき、少年の頭の上をたくさんの赤とんぼが通っていき、少年はとうとう心に抱いていたものを見つけることができたのだ、と思った。
はせがわ ほうせい 「値段のない絵の物語」
美大を受けようという浪人たち。一人っ子のため志半ばで国に帰るもの、11人兄弟の為に大学にいけなかったとグチをこぼすもの。ボクは高校同窓の女の子につい、言ってしまう。
「私ども浪人の気持ちはわかりますまい。」
「私ども浪人族はいまだ世間的に認められていない 値段のない絵なんです!」
女の子になじられ、できない事なんかないと励まされ、
「くそっ、やってやる」 と思い直すボク。自転車でスケッチにでるぞ、と屑屋で自転車を買おうとするところで終わり。
思ったことを思ったまま描いた私小説的な作品かしら?青年時代の鬱々とした感情はよく出ています。
この中では最初の 「遠い雲」 が良かったです。青柳氏の絵柄も前よりすこーし明るくなってきたかなー。以前はほんとに見るのがやんなるくらい暗い画面だったから。
このぐらこん⑧号で付録はおしまいになります。COMの付録としては、その前に手塚先生の名作劇場ドストエフスキー原作 「罪と罰」 などがまだ有りますので、そのうちに・・・。(又いつになるのか)
裏表紙に 「章太郎のファンタジーワールド ジュン」 の綺麗な宣伝が。
いつものようにネタバレです。
青柳 裕介 「遠い雲」
高校生の頃、同級の真知を妊娠させてしまい、逃げるように大阪に就職してしまった男ケン。そのことは心のオリとなってケンの胸に残っていた。「なにかしなければ・・・」 もう結婚したという噂も聞いていたのに。
偶然仕事で行った街で真知を見かけ、無理やり3日間の休みをもらってその街を探すケン。3日目にやっと会えた真知は、「あの時は悲しかったけど、昔のことよ」 と去っていく。その夜あきらめきれない自分に嫌気が差して酒を飲んだケンは夜の道で真知と今のだんなに出会う。
思わず 「待てよ!」 と呼びかけるケン。しかし二人の臆せぬ様子に笑うしかないケンだった。だんながその後真知に言う言葉が憎い!
「何も言わなくてハハ・・お前が彼から卒業していることは俺にはよくわかる ―略― 」
私は由美、喫茶店に勤めている。お客様で気になる人がいるけど声もかけられないの。同僚の子はキッカケ作ってあげようかと言うが、本気だもん、怖くて断ったわ。3日ぶりにあの人が来て、私は嬉しさを隠しきれない。同僚は今度こそアタックするのよと言ってくれる。
この作者には珍しく、新しい恋を予感させるラストでほんわかさせる。
もとやま 礼子 「脱走」
収容所のような建物の中で作業する男たち。監視している男たちは非情だ。新入りの男は事情がよくわからないようだ。自分はDマークといわれ、性格に欠陥があると言われる。知り合った女の子は、ここは捕虜収容所だと言って、Dマークの自分に悲しいことが起きないようにと謎をかける。
同室の男たちにどこで戦争をやっていてどうしてここに閉じ込められているのかと聞いても変な気を起こすなよと言われるだけ。
男はついに脱走を企て、女の子の犠牲のおかげで逃げ出せるが・・・。外はいたるところで戦争をやっていて、男はすぐに銃で殺されてしまうのだった。
何かの比喩か、風刺的な作品。自由は不自由よってことか ????
ガンケ・オンム 「動物園で見た赤とんぼ」
幼稚園児くらいの少年。都会に住んでいて彼を取り巻く世界に耐えられなく思っていた。ディズニーの記録映画を見た時から大自然に憧れていた。彼は動物が見たくて始めて動物園に足を運ぶ。少年は動物園に行くことによっていつも不満に思っていることが消えてしまうように思えたのだ。
だが、死んだ目をしてぐったり横たわるライオンやゴリラを見て、最後のものにも裏切られた・・・そんな思いがした。帰ろうとしたとき、少年の頭の上をたくさんの赤とんぼが通っていき、少年はとうとう心に抱いていたものを見つけることができたのだ、と思った。
はせがわ ほうせい 「値段のない絵の物語」
美大を受けようという浪人たち。一人っ子のため志半ばで国に帰るもの、11人兄弟の為に大学にいけなかったとグチをこぼすもの。ボクは高校同窓の女の子につい、言ってしまう。
「私ども浪人の気持ちはわかりますまい。」
「私ども浪人族はいまだ世間的に認められていない 値段のない絵なんです!」
女の子になじられ、できない事なんかないと励まされ、
「くそっ、やってやる」 と思い直すボク。自転車でスケッチにでるぞ、と屑屋で自転車を買おうとするところで終わり。
思ったことを思ったまま描いた私小説的な作品かしら?青年時代の鬱々とした感情はよく出ています。
この中では最初の 「遠い雲」 が良かったです。青柳氏の絵柄も前よりすこーし明るくなってきたかなー。以前はほんとに見るのがやんなるくらい暗い画面だったから。
このぐらこん⑧号で付録はおしまいになります。COMの付録としては、その前に手塚先生の名作劇場ドストエフスキー原作 「罪と罰」 などがまだ有りますので、そのうちに・・・。(又いつになるのか)
裏表紙に 「章太郎のファンタジーワールド ジュン」 の綺麗な宣伝が。