猫とマンガとゴルフの日々

好きな物を題名に↑ 最近はゴルフとグルメお出かけ主体に。以前は1960年~70代マンガを紹介していました。ネタバレ有り。

昭和のフラワーオブライフ? 西谷 祥子 「レモンとサクランボ」

2007年05月10日 11時31分29秒 | マンガ家名 な行
 いつものように写真が暗くてごめんなさい。マーガレットコミックス1968年 (昭和43年) 3月31日初版、これは1975年6月30日17版 夜さんからお借りしたもの。

 夜さんから西谷氏昭和40年代頃の作品のコミックスを28冊お借りしてまして、現在読書中。なかなか減りません。皆それぞれに当時の思い出いっぱいで面白く一気に読んでしまいますが、その中で今読んでも名作なのはこの 「レモンとサクランボ」 ですね。連載当時も好きな作家さんだったので大好きな作品だったと思うのですが、今読んでも普遍性があって古くないのです。

 この作品は週刊マーガレットの昭和41年(1966)21号~41号 21回にわたり連載された西谷 祥子先生の代表作。それまで多く外国を舞台にしていた作者が、日本の高校を舞台に描いた学園マンガです。
 正義感が強く、おせっかいでそのくせさっぱりした性格のレモンのような高校1年になったばかりの少女 礼子 と入学式の日に電車で一緒になった性格も容姿も違う可憐な さくら を中心に、同じ1年B組のクラス全員が主人公とも言える群像ドラマにもなっています。
 
 別冊太陽 こどもの昭和史 「少女マンガの世界 Ⅱ」 昭和38年-昭和64年 のインタビューの中で、西谷氏は、この作品について
 水野(英子)先生のロマコメより主人公の年齢を下げて 「マリィ・ルウ」 を描いたら評判が良かったので、それではと自らの学園生活を下敷きに、しっかり知人や、友人の誰かれをモデルにおいた 「レモンとサクランボ」 を描いて、これは、多分、大当たり、だった。
 と述べています。

 昭和40年代当時の西谷氏の作品には、当時の少女達が憧れてやまないアメリカやヨーロッパ (特にパリなど) を舞台にこれまた憧れのお金持ちの令嬢や子息が楽しく恋愛模様を繰り広げる、なんて作品も多くて、それはそれで当時はうっとり楽しんでいたけれど、40年後の今日、裕福になった日本の50代女が見てものめり込むほどのものでもなく、ただ懐かしく再読していたのでしたが、この 「レモンとサクランボ」 は細部に古いところはあるものの、学園生活における楽しさや恋の始まる高揚感、高校生達の感情において今と変わらぬ普遍性があるのです。

 今の若い読者に分かりやすく言うとなると、40年前の 「フラワー・オブ・ライフ」 というところですか。チャンスがあれば今の若い読者にも昭和の学園生活を追体験して欲しいものです。2004年5月14日、白泉社文庫で「西谷祥子傑作選3 レモンとサクランボ 」が刊行されています。

 あっ、外国が舞台のマンガにも、時々ぴりっと西谷氏の当時は珍しいフェミニスト発言があって、へーっとびっくりしますよ。
 それはほぼ10年後の昭和52年17号~19号の週マ連載、「女が弱いなんて」 により強く出ていて、精神的に自立しようとする少女の気持ちがとてもよくあらわされています。これは学園物でももうちょっと恋愛模様が複雑になってて絵柄も上手くなっていて読み応え有ります。

 しかし、西谷氏のファンHPなどで見る 別マ やその他の表紙絵、扉絵のなんと美麗なこと 省略したマンガの動きのある絵もいいけれど、この方のイラストレーターとしての才能は天賦のものがあると思うのですが。 ↓

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コメント (12)
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