白泉社 JETS COMICS 1988年1月31日初版 写真のものは1989年1月20日の6刷のもの
羅陵王・アレフ・タピオ・緑柱庭園(エメラルド・ガーデン) の4作収録
ちゃととさんにお借りしています。ちゃととさんのブログ → シネマるマンガぁ?byちゃとと
このうち羅陵王 (初出 LaLa 1985年12月号)と緑柱庭園 (初出 吉祥花人 単行本 1987年8月)が未見でした。特に 「羅陵王」 が前から見たかったので、借りられて嬉しかったです。ちゃととさんありがとうございます。
実は・・・お借りしてひと読みした後、地元のブック○フで同じものを見つけ、迷ったのにその日は買わなかったのです。後でやっぱり手元に置いときたいと3日後くらいに行ったら案の定見当たりませんでした。
逃がしたマンガは大きい (byアガサさん)夜さんのブログ → 漫トラ日記 のマンガいろはカルタ そのものでございました・・・古書とは一期一会だって分かっていたのに・・・
羅陵王って昔の中国の王様で、あまりの美男子ぶりにこれじゃ戦の時に押しが利かないと怖いお面をかぶって戦ったという王様だよな~、舞楽にあったし、山岸 凉子氏は 「日出処の天子」 の厩戸の王子様にその衣装をつけて魅力的なイラストを描かれているし。(チェリッシュギャラリー 白泉社 自選複製原画集)
源氏物語の中でも若菜下巻の朱雀院五十の賀の試楽で髭黒大将の三男(玉鬘腹の第一子)が童舞で舞う場面が有りますな、と早速 はてな で検索しました。
羅陵王 とは、以下はてなダイアリーより引用 ↓
中国・北斉後期の武将;「高長恭」〔カウチャウキョウ〕のこと。東魏・興和年間(539~543)ごろ生まれ。現代人好みの、中性的な、凄いイケメンだった。ために部下が従わず、その対策として「恐面」〔こわもて〕で奇抜な面を着け、それで戦場へ赴き、無理から部下をきっぱり指揮して連戦連勝、大いに話題になり、重用され→尚書令↑太尉と出世していく。だが強引すぎる無慈悲な命令と、その美貌および名声に対して反感をもち、第五代皇帝・後主など恨みを抱える者があって、鴆酒〔チンシュ〕という毒酒を飲まされて死んでしまう。573年に亡くなっている。よって30~34歳という若さで亡くなった訳だ。この悲運話は当然、人口に膾炙して、京劇の題材として偲ばれていく。この際、遺品の鬼面が当然もちいられたのだ。そして日本の舞楽にも伝わり、「蘭陵王」・「欄陵王」・「羅陵王」・「陵王」(+入陣曲)などの題で演ぜられている
なるほど~、美形オレ様の元祖みたいな王様ね。でも30~34歳で毒殺されたって可哀想。
さて、佐藤氏の方の 「羅陵王」 のお話はと言うと、作者独特のSF宇宙物です。独特と言うのはSFだし宇宙空間の未来のお話なんだけど、どこか地球の古代か中世初期を思い出すような設定と衣装などが雰囲気を醸し出している作品群だからです。
念願かなって読めた期待にたがわず、佐藤氏のSFの中でも面白いほうだと思います。前も書きましたけど、やっぱり私個人的には、原作付きのものよりこの方のオリジナルなSFのセンスが好き。もちろん原作付きも氏の感覚と似ていて、佐藤氏もだから作品化しているし、読ませて面白いもの多数なのだけど。
感覚としか言いようのないところで好きなんです。こう思っているファンは多数と踏んでいるけど ?
あらすじを簡単に。
帝国と呼ばれる国家郡の中でもユニークな都市国家ラーフ・シティ (蝕市)。そこに帝国協議会から租税としてアムリタ (不老長寿の薬) を取り立てに来た 大使 と名乗る男とその従者。
実はラーフ・シティの専売薬であるアムリタを盗み出し、帝国と有利に取引して独立国を立国する腹積もりの悪人だった。(もちろんエネルギッシュな美青年)しかし、アムリタには二面性が有り善の顔は不老長寿、悪は疫病として瞬く間に全帝国に広がる恐れのある恐ろしい物だった。
まんまとアムリタの盗み出しに成功したかに見えた 大使たち は、しかしラーフ・シティの少女の姿をした祭主 (女王みたいなものですな) に疫病を広める役をやらされただけだった。実はラーフ・シティはこの事態を利用して帝国を封鎖させ、帝国以外の国にはアムリタを供給して罹患者を救い、帝国についてもラーフ・シティの言い分を認めればただちに供給する用意がある、と脅して帝国からの独立をもくろんだのだ。
最後にもう一ひねりあるのですが、とにかくストーリーをかいつまんでもまんがにするには多くのページを必要と思われるのに、40ページにまとめているのはいつもの佐藤氏らしい。最後の方、種明かし的な所では説明書きが多くなってしまうのはしょうがないところです。
4作の最後に収録されている 「緑柱庭園」 は絵物語的な短編作品で、残酷なおとぎ話で、好き好きこういうの。
羅陵王・アレフ・タピオ・緑柱庭園(エメラルド・ガーデン) の4作収録
ちゃととさんにお借りしています。ちゃととさんのブログ → シネマるマンガぁ?byちゃとと
このうち羅陵王 (初出 LaLa 1985年12月号)と緑柱庭園 (初出 吉祥花人 単行本 1987年8月)が未見でした。特に 「羅陵王」 が前から見たかったので、借りられて嬉しかったです。ちゃととさんありがとうございます。
実は・・・お借りしてひと読みした後、地元のブック○フで同じものを見つけ、迷ったのにその日は買わなかったのです。後でやっぱり手元に置いときたいと3日後くらいに行ったら案の定見当たりませんでした。
逃がしたマンガは大きい (byアガサさん)夜さんのブログ → 漫トラ日記 のマンガいろはカルタ そのものでございました・・・古書とは一期一会だって分かっていたのに・・・
羅陵王って昔の中国の王様で、あまりの美男子ぶりにこれじゃ戦の時に押しが利かないと怖いお面をかぶって戦ったという王様だよな~、舞楽にあったし、山岸 凉子氏は 「日出処の天子」 の厩戸の王子様にその衣装をつけて魅力的なイラストを描かれているし。(チェリッシュギャラリー 白泉社 自選複製原画集)
源氏物語の中でも若菜下巻の朱雀院五十の賀の試楽で髭黒大将の三男(玉鬘腹の第一子)が童舞で舞う場面が有りますな、と早速 はてな で検索しました。
羅陵王 とは、以下はてなダイアリーより引用 ↓
中国・北斉後期の武将;「高長恭」〔カウチャウキョウ〕のこと。東魏・興和年間(539~543)ごろ生まれ。現代人好みの、中性的な、凄いイケメンだった。ために部下が従わず、その対策として「恐面」〔こわもて〕で奇抜な面を着け、それで戦場へ赴き、無理から部下をきっぱり指揮して連戦連勝、大いに話題になり、重用され→尚書令↑太尉と出世していく。だが強引すぎる無慈悲な命令と、その美貌および名声に対して反感をもち、第五代皇帝・後主など恨みを抱える者があって、鴆酒〔チンシュ〕という毒酒を飲まされて死んでしまう。573年に亡くなっている。よって30~34歳という若さで亡くなった訳だ。この悲運話は当然、人口に膾炙して、京劇の題材として偲ばれていく。この際、遺品の鬼面が当然もちいられたのだ。そして日本の舞楽にも伝わり、「蘭陵王」・「欄陵王」・「羅陵王」・「陵王」(+入陣曲)などの題で演ぜられている
なるほど~、美形オレ様の元祖みたいな王様ね。でも30~34歳で毒殺されたって可哀想。
さて、佐藤氏の方の 「羅陵王」 のお話はと言うと、作者独特のSF宇宙物です。独特と言うのはSFだし宇宙空間の未来のお話なんだけど、どこか地球の古代か中世初期を思い出すような設定と衣装などが雰囲気を醸し出している作品群だからです。
念願かなって読めた期待にたがわず、佐藤氏のSFの中でも面白いほうだと思います。前も書きましたけど、やっぱり私個人的には、原作付きのものよりこの方のオリジナルなSFのセンスが好き。もちろん原作付きも氏の感覚と似ていて、佐藤氏もだから作品化しているし、読ませて面白いもの多数なのだけど。
感覚としか言いようのないところで好きなんです。こう思っているファンは多数と踏んでいるけど ?
あらすじを簡単に。
帝国と呼ばれる国家郡の中でもユニークな都市国家ラーフ・シティ (蝕市)。そこに帝国協議会から租税としてアムリタ (不老長寿の薬) を取り立てに来た 大使 と名乗る男とその従者。
実はラーフ・シティの専売薬であるアムリタを盗み出し、帝国と有利に取引して独立国を立国する腹積もりの悪人だった。(もちろんエネルギッシュな美青年)しかし、アムリタには二面性が有り善の顔は不老長寿、悪は疫病として瞬く間に全帝国に広がる恐れのある恐ろしい物だった。
まんまとアムリタの盗み出しに成功したかに見えた 大使たち は、しかしラーフ・シティの少女の姿をした祭主 (女王みたいなものですな) に疫病を広める役をやらされただけだった。実はラーフ・シティはこの事態を利用して帝国を封鎖させ、帝国以外の国にはアムリタを供給して罹患者を救い、帝国についてもラーフ・シティの言い分を認めればただちに供給する用意がある、と脅して帝国からの独立をもくろんだのだ。
最後にもう一ひねりあるのですが、とにかくストーリーをかいつまんでもまんがにするには多くのページを必要と思われるのに、40ページにまとめているのはいつもの佐藤氏らしい。最後の方、種明かし的な所では説明書きが多くなってしまうのはしょうがないところです。
4作の最後に収録されている 「緑柱庭園」 は絵物語的な短編作品で、残酷なおとぎ話で、好き好きこういうの。