↑ 虫プロ商事出版社 石森 章太郎選集 第2巻 昭和44年(1969)11月15日 初版 360円
収録作品は、
青い月の夜 初出誌 少女クラブ 昭和35年2月号
バレエくるみ割り人形に少し創作を加えたお話。水野 英子氏が1カット描いています。見ればすぐわかる。
みどりの目 初出誌 少女クラブ 昭和32年夏の増刊号
まま母にいじめられた少女が沼うばの命令で4人の人間をけものにしなければならなくなり・・・。フランケンシュタインやら、願いを叶える杖やら出てきて盛りだくさん。章の題名が最後に出てくるのは粋だけど、判りづらい ?
きのうはもうこない だがあすもまた (これはすべてひらがなです。) 初出誌 少女クラブ 昭和36年冬の増刊号
マンガ 「時空を越えて逢いに来る少女」 の系譜
↑ でも紹介しましたが、ここのには最初と最後に合計9P程の加筆があります。作者本人とファンの女の子が出てきて、しゃべっているのですが、何の意味があるのかちょっとわかりません。ページ数合わせか何かか ?
雪の日に 初出誌 少女クラブ 昭和35年 お正月増刊号
絵と文が半分づつのマンガの描き方、アイディアの出し方、を兄妹が雪の日に話すという作品。兄は石ノ森氏ですね。氏がマンガを描く事に理解のあったお姉さまの代わりに、可愛い妹が出演しています。中に3話の作例が出ています。
氷の花 初出誌 少女クラブ 昭和34年 夏の増刊号
これも兄と妹のマンガ談義。夏らしく幽霊について。まま母もののマンガと 「魔女オーロラ」 という劇中劇 (マンガ中マンガ) が入っています。「魔女オーロラ」 は、わざとディズニーアニメに似せた画風で、変わっているというか、実験的です。オーロラなんてオーロラ姫そっくり。王子様や脇役もそっくり。なにをやりたかったのか不明。 ニセ吸血鬼のお話です。
以上、石ノ森氏の初期の少女マンガを集めています。以前 「龍神沼」の項
石ノ森 章太郎 「竜神沼」
で書いた、少女クラブに実験的な作品を描いて失敗した、と言っていたのは、この頃のことを言っていたのでしょうか ?
今となっては資料的に大切な作品たちかも。
巻末に、草森 紳一氏の 「雑感」 と題した文章が載っている。4つに分かれていて、その中の 「石森的少女まんがについて」 と題した文章が面白かった。
少し引用すると、
彼の広いジャンルにわたるまんがの中で私がもっとも愛するのは、少女まんがの系統のものであるかも知れない。これは彼が 「男である」 ということと関係があるかも知れないと思ってみる。
― 略 ―
女性のまんが家の作品に、致命傷とも言うべき点があるとすれば、それは女性であるという有利な条件である。 ― 女であるため、ものにベッタリしてしまい、女が、少女が却って見えなくなるのである。 ― だが、男のまんが家で描く時、男という肉体をかれらが抜け出せないゆえに、描くだけで却ってそのまま 「OFF」 して (離れて) しまうのである。 ― 肉体の逆転劇が起こる。ちょうど歌舞伎俳優が女役を演じて女優以上に 『おんな』 を演じる事ができるのに似ている。
石ノ森先生を持ち上げるあまり、ちょっと女性マンガ家に失礼な言い方でもあるのは、当時のご時世なのか ? 同じ事は男性マンガ家にもあって、お互い理想の異性をマンガの中で描いているんだから、お互い様とも思うが・・・。
この号の折り込みチラシ、「選集通信」 では、章太郎のまんが対談第4回として、 五木 寛之氏 と対談している。しかし、前号からの続きで ② なので、全てはわからない。
五木氏の発言の一部をまとめると、
まんがは、現代詩みたいな形になっていって、他の芸術ジャンルのリーダーみたいな形になるんじゃないか。
この間、○○という写真家と一週間仕事をしたら、まんが的な傑作だった、とか、映画なんかも、ゴダールなんてのはまんがですよね、「勝ってにしやがれ」 なんてのはまんが的な生き方をまんが的に描いたものであって・・・とか、
小田 実・いいだ もも・平岡 正明、松田 政雄とか (いいだ氏以下どんな方達か、わかりませ~ん) 発想がそもそもまんが的とか、
以下、まま引用
文学が辿った道を、またも、まんがよおまえもかって感じがあるんです。先輩である文学が歩んだ退廃の道を、今のままでは、再び歩むんでは無いかと・・・。
つまり、あまりはっきり手際よく区別されすぎたものって信用できないところが有ります。
― 略 ―
ちょっと区分けして、どの階級に編入すべきか迷うようなものか、あるいはどこにも属していないようなものが面白いんじゃ無いですか。
そうそう、分類できないものの方が絶対面白い。今までにないもの、という事だものね
― 略 ―
交通整理を始めると危険だと思いますね。
う~ん、今のマンガ界を素人の私は語れないけど、まだ、大丈夫なんじゃないですか ? 今だ、新しいものがどんどん出ているし、混沌としていると思いますけど。皆様はどう思われるでしょうか ?
PS 今市子さんの「B級グルメ倶楽部」2巻早速昨日ゲット、すぐに読みました。もっと続いて欲しいよー。
読むことすら、こそこそしてなければいけなかった
今は、堂々たるもんでしょ?
ドラマの原作のほとんどは漫画だし
大学で学問として通用するくらいだから
でも、文化として認知されてなかった頃の方が
ドロドロしたエネルギーがあったような気がするな~
今は、何でもアリって感じで
数はあるけど、その分個々の味が薄くなったような気もするわ
と言うより、有り過ぎて目が届かないのかな?
>草森 紳一氏の 「雑感」
むかつきますね~
これが当時の少女漫画(家)に対する
一般的な(男性の)評価なんでしょうけど。。。
マイナー分化の中で
さらに、少女漫画は下に見られてたもんね
大体、評論家も編集者も男で少女漫画なんか、
ろくに読んだことないんだよ!
論じる資格なし!
もっとも、当時の少女漫画のヒロイン自体が
男性の目から見た理想の女性像を反映してる感じで
物足りなく思ってた事は確かなんだけど~。。。
そう思うと24年組以降は革命的に変わったね
地元の買取のお店で文庫版の「半神」をゲットしました。ああ~懐かしい・・・しみじみ読みました。
内田善美の「草迷宮・草空間」を本棚から引っ張り出してきました。ただいまブログに書いてるところです。少しお待ちくださいね。内田さんのはコミックスはだいたい持ってます。殆どりぼんマスコットコミックスかぶ~けコミックスからのです。立派な装丁で出たのはこの「草迷宮・・・」と「星の時計の・・・」だけだと思います。「星の・・・」は全巻持っています。ただ実家にあるので保存状態が悪いでしょうね。イラスト集に至っては持っていません。田舎の書店には置いてないし、当時はネット販売なんてなかったから注文かそれも出来ない事もありました。再販しないのは内田さんの意思だそうですね。イラスト集やその他の周辺のはきっとお宝物になっていそうです。「星の時計の・・・」はどうやって入手されたのですか?すごいな~☆わたしもブックオフとか行ってみます!
そうそう、この作品集、すごく古いですよ。わたし子供の頃に見たことあります。友達の家で。内容は覚えてないのですが、昔の漫画家さんはみんな最初は少女漫画描いてたのではないでしょうか。赤塚不二夫も松本零士も手塚治虫も描いてましたよね?
中々タイムリーにカキコ出来なくてご免なさいね(^o^)。
手塚氏の「アトム」のその後について、以前にテレビで「手塚特集」を
やったビデオ録画があるのでそれを見てからコメントする予定でいます。
石森章太郎作品に水野英子氏が1カット描いてるのは当然ですね。
水野氏が「トキワ荘」に初めて来たのは石森氏、赤塚氏と合作するのが
目的だったんだもの(^o^)。
実験的な作品を描いてる頃の石森作品には中々お目にかかれなくて
トミーさんの蔵書を拝見する度に(うう~♪いいな~♪)と指をくわえてます(笑)。
歌舞伎俳優の女役、宝塚の男役、共に日本の文化の一つだと思います。
確かに男が演じる女、女が演じる男に、同性では出せない魅力がある事
は素直に認めて良い事だと思っています。
五木氏の発言
「文学が辿った道を、またも、まんがよおまえもかって感じがあるんです。
先輩である文学が歩んだ退廃の道を、今のままでは、再び歩むんでは無いかと・・・」
~これは嫌ですね~!。
>ドラマの原作のほとんどは漫画だし(夜さん)
~それだけマンガに良いもの、魅力的なお話が多いって事の顕われなんだと思います。
けれども、マンガ原作のドラマもアニメも原作マンガを超えられないでいます。
アニメで原作マンガを超えたのは「蟲師」しか私は知りません(笑)。
マンガ原作者にホントはプロデュース力があれば良いんですけどね。虫プロみたいに。
これからはプロデュース力が鍵になってくるのでしょうね。
>24年組以降は革命的に変わったね(夜さん)
~そう♪、24年組以降は凄いデス♪(^o^)。「マンガ」が「芸術」になりました。
小松左京らSF作家が漫画家に成れなかった「なれのはて」だってのが私の
大好きなエピソードなんです(笑)。
(竹宮惠子)さんが教授をしてる京都精華大学では初め芸術学部だった
マンガ学科が2006年「マンガ学部」に名称変更されました。やっぱり、
「マンガ」は芸術学部でなくて「マンガ学部」の方がしっくりしますよね。
>昔の漫画家さんはみんな最初は少女漫画描いてた(トマトジュースさん)
~ハイ、そうです♪。当時、女性の少女漫画描き手が居なかったからなんです。
水野英子氏が出て来るようになって、24年組以降が続いて男性漫画家は
少女漫画から撤退したんです。「餅は餅屋」ですから(笑)。
皆さんスゴイですね~(ホーッ)←溜息どす。
私は昭和40年代の少女マンガ全盛期からの読者なので
初期の段階でそういう風に男性諸氏が話してたコトが
「んっ?」って感じです(笑)
小説もマンガもアニメもまったく別モノと
捉えていますので、
同じ土壌で話されていたのが不思議な感覚です。
小説は文字で読者の想像を誘発しますが、「夕焼け空」っと書いても読者それぞれが受ける夕焼けの色が違います。
「カラスが飛んで」っと書くと、もの悲しくなりますし…
「母が子を呼ぶ声が」っと書くと情緒的になります。
自分が想像しているコトに読者を近づける為に
文字を重ねて書き連ねて行きますよね。
リンゴを知らない人にリンゴの説明をするみたいです。
マンガは情景シーンは一面で描きます。
作者の意図する場面はクローズアップで訴えるので
小説よりは作者の思いが読者に伝わりやすいと思います
リンゴを知らない人も絵をみりゃ~解るって話しです。
アニメに関しては、もう個人の想像を発揮出来る余地は
ほんの少ししかありません。
マンガで平面っだったリンゴも立体感がでますし…
あと、想像出来るトコはニオイだけですもんネ。
小説がマンガになると90%想像の世界だったモノが
形になるので読者は違和感を感じます。
同じ様にマンガがアニメになると50%は
想像の世界だったモノが形として動くので
やっぱり、読者は自分の想像とのズレに
違和感を感じてしまうのだと思います。
同じコトが男性を描く女性、女性を描く男性にも言える
のでは…?っと考えています。
でも…その違和感が面白いのであって
それを、論議するのも野暮だし
こうして説明している私も野暮だと思うのです(笑)
人間の想像力の方が描写力より優れているのかナ~?
人間が想像を辞めない限り
小説もマンガもアニメも益々発展し続けると思います。
新たな描写も生まれるかもしれませんネ
いや~長々と書いてしまった…
スミマセン
リンゴを知らない人も絵をみりゃ~解るって話しですネ(^o^)。
マンガがアニメになると50%は想像の世界だったモノが形として動くので
読者は自分の想像とのズレに違和感を感じてしまうって事も起きる。
この想像力の部分が50%位残っているって事が「マンガ」の持つ
長所だと思います。「のだめカンタービレ」のマンガを読むと、クラシックを
聴いたような感覚になるんですよ♪(^o^)。驚きでした!。
だから、SF作家の小松左京氏、筒井康隆氏らはマンガ家になりたかった
んだと・・思うわけです(笑)。文章だけでは読み手に伝えられない作者の
表現したいものが、絵とセリフのふきだし、コマ割り、余白までも使う事で
見事に表現出来る素晴らしい表現形式が「マンガ」なんです。
それにアニメと比べ安上がりなのが私の一番のお気に入り要因です(笑)。
そうなんよー。あの頃はこそこそしてました。高校生でマンガなんか描いてたら、親父にはたかれましたからね。いまなら、親の方から 「あんたは才能あるからマンガ家になって、がっぽり稼いでね」 とか言われそうですよ。夜食運ばれたりして・・・。(笑)
最近のマンガには、似た感じの絵柄やストーリーが多くて、全部はもちろん見られませんけど、多すぎですよね。だからこそ、ブログでお知り合いになった方々のご意見は参考になります。
>草森 紳一氏の 「雑感」 むかつきますね
ほんとはもうちょっとむかつく表現あったのですが、カットしました。(笑)
氏には、手塚 治虫氏に対する論評なんてのもありました。功罪を連ねたもので、それに対して手塚氏は反論を書いて 「話の特集」 編集部に自分で届けたとか・・・。草森氏はマンガの事、好きだから書かずにいられないのだ、と好意的に解釈しましょう。(笑)
>そう思うと24年組以降は革命的に変わったね
本当ですよねー。女流マンガ家及び少女マンガは、水野 英子氏や矢代 まさこ氏あたりからドンドン変わって行って、24年組で華開いたって感じですか ? その後も続々と続く方々がいて。今は少年・青年含めてマンガ界は百花繚乱、豪華絢爛、これからどこへ行くのでしょう ?
>再販しないのは内田さんの意思だそうですね。
何ででしょうかね。ファンの方が入手困難になるばかりなのに。筆を折るのはしょうが無いですけど、素晴らしい絵なのに買えないのはもったいないです。
私がマンガを見始めた1960年代は、少女雑誌でも男性マンガ家の方が多いくらいでしたよ。懐かしいお名前を探して又UPしますね~。
少女マンガという芸術がどのような転換を経て今に至るかトミーさんのブログを読んでいると、当時を知らない私にもかい間見えてとても嬉しいです。
これからも宜しくお願いします。
>トマトジュース様
私もつい最近内田善美さんの作品をお借りして読みました~
「草迷宮~」のねこちゃん可愛かったです。
あんな市松人形なら傍にいても怖くないですよね。
強く強く人間になりたいと願うならいつかきつと叶うだろう・・・そんな童話が昔あった気がするけど、ねこちゃんもきつと凄く願ったんだろうな~と勝手に想像して楽しんでました。
「星の時計~」はウチのブログでも取り扱いましたが私にはちょいと難しかった(苦笑)
内田作品としては他には「空の色に似ている」のテイストが良かったかな~
きっとあの精神世界は吉野朔美さんが好きな人ならハマるんじゃないだろうか?
>トミーさま
私もようやく「B級~」2巻と「文鳥さま」8巻を7&Yで注文しました。
届くのが楽しみです^^
コメントありがとうございました!
つД`)・゜・。・゜゜・*:.。..。.:*・゜
ひさびさに来させていただき、
トミーさんの漫画話読めて楽しいです~♪
なるほど~と思ったり、
そうなんだ!と驚かされたりと
すごく考えさせられる内容ですね☆
昔のも今のも漫画は大好きです♪
ひぇ~。あらが見つかりますから、あまり調べないで下さいまし~。
>石森氏、赤塚氏と合作
Uマイアのことですね。私は合作の作品見てないのですが、「COM」 の読みきり連載で 「トキワ荘物語」 というのが有り、(TVだか映画だかでやりましたよね) 中で水野氏が確か、描いてました。「トキワ荘物語」 面白いんですよ。各マンガ家さんたちが思い出をつづっています。後日UPしましょう。
>実験的な作品を描いてる頃の石森作品
今は探しても無いですよね。あの、3万(?)くらいでこの間出た全集には、この頃の作品もあるのでしょうか。買うつもりはありませんけど。
>同性では出せない魅力がある事
分かります~。本物をそのまま出したら 嫌!っ というの、有りますものね。リアルだけど、そういうもの見たいとは思わないのよ、というのが有ります。反対にリアルで凄いわ~というのもあるし、作品によりけり、表現によりけりですよね。
>小松左京らSF作家が漫画家に成れなかった「なれのはて」だってのが
面白い~。マンガ家志望だったんですね。かのSFマガジンが発刊する時、手塚 治虫氏に発起人になってもらったとか伝記で読みましたけど、そういうつながりなんですね。マンガ好きはSF好きな方多いですし。反対かな ?
お返事遅くなってすみません。今、仕事の月締めなもので・・・。お一人つづ、チョコチョコお返事させてください。いっぱい読み応えのあるコメント頂けて、嬉しいです。