小学館文庫 萩尾 望都初期傑作短編集 1995年12月10日 初版第1刷
文庫とあって短編とは言え7編収録されています。
11月のギムナジウム 初出 別冊少女コミック1971年11月号
秋の旅 初出 別冊少女コミック1971年10月号
塔のある家 初出 少女コミック1971年12号
もうひとつの恋 初出 少女コミック1971年39月号
かわいそうなママ 初出 別冊少女コミック1971年5月号
白き森白き少年の笛 初出 少女コミック1971年45号
セーラヒルの聖夜 初出 少女コミック1971年冬の増刊号
巻末にエッセイ 羽仁 未央 (懐かしい名前だ 70年代元祖天然ちゃんかな)
今回は表題作の 「11月のギムナジウム」 について。
フラワーコミックスの 「11月のギムナジウム」 は以前持っていたが、引越し等で無くなっていた。BOで文庫を見つけ、105円だったこともあって買いました。(苦笑) 20年ぶりくらいに読んだと思うが、こんな話だったっけかな~というのが再読の感想でした。というのも自分にとってはとても印象が深かった作品だから。
おモー様ファンにはよく知られているように、名作 「トーマの心臓」 の原型となる作品だが、お話は少し違う・・・いやいや改めて読んで見ると全然違うじゃないか。
後ほど、発表は 「11月~ 」 の方が先だが、 トーマ の方が先に考えられていたということが判明。 詳しくはコメント欄を見よ。
ドイツの全寮制ギムナジウム (高等中学) が舞台となっているのは同じ。そこに転校生がやってくるのも同じ。その子がトーマという生徒にそっくりなのも同じ。トーマが死んでしまう (すでに死んでいる - トーマの心臓) も設定は同じだが、登場人物の名前などは苗字の部分が多少違っている。
11月のギムナジウム トーマの心臓
エーリク・ニーリッツ エーリク・フリューリンク
トーマ・ヴェルナー トーマ・シューベル
オスカー・ライザー 同じ
ユリスモール・フリーデル ユリスモール・バイハン
ギムナジウムの名前も 「11月~」 はヒュールリンギムナジウム、「トーマ~」 はシュロッターベッツギムナジウムと違っている。ちなみに 「トーマ~」 でけっこう重要な役のアンテも 「11月~」 では名前だけ出ています。ドイツでポピュラーな名前なんでしょうか。
でもこんな違いを探してみてもたいしたことは無い。一番の違いは、両方とも転校生のエーリクを主人公 (語り部) としているようでいて、「11月~」 はエーリクと本当はその双子の兄弟だったトーマの物語、「トーマ~」 はユーリ、ユリスモールの物語である点です。ユーリは 「11月~」 では脇役に過ぎなかったのに。
「トーマ~」 については、過去の記事でいろいろ言っているので、出来たら下に載せたリンクから飛んで読んで頂きたい。その記事にコメントを寄せてくれた方々も作品に思い入れがあるようで、とてもよい参考になるコメントばかりです。
この 「11月のギムナジウム」 だが、双子の物語という点で同時収録の 「セーラヒルの聖夜」 と似ている。別れていた双子が知らずに後年偶然出会って、というのも似ているが、「セーラヒル~」 はハッピーエンドの予感がするのにこちらは思いの残る哀しい終わり方です。
あらすじ
問題児エーリク・ニーリッツはあちこちの学校で問題を起こして追い出され、全寮制のギムナジウムに途中入学する。ところが会う生徒、先生に皆びっくりされ、どうやらトーマという生徒に自分がそっくりらしいと分かる。
ここでも入学早々いろんな騒ぎを起こして早速問題児ぶりを発揮し、ぎこちない毎日だ。
中でも例の自分にそっくりな 砂糖菓子・フロイライン (お嬢さん) と呼ばれて学校のアイドルのトーマはエーリクの顔を見るなり笑い出したり、なにやら見つめてきたり、エーリクとしては気に食わない態度ばかり。
エーリクはある日偶然泣いているところをトーマに見られてしまったが、トーマはいつもの態度とは異なり、自分の兄のことなど話し始め、最後にぎゅっと抱きしめてきた。何がなにやら分からないエーリク。
雨のそぼ降る休みの日、ママンのところにエーリクが突然訪ねてくる。中にも入らず 「キスして」 と言われるままに抱きしめてあげ、すぐに帰るという 息子 を見送るママン。
もうこのくらいにしておきましょうか、ネタバレは前にしてしまったしね。
この文庫が出たのが1995年ということで表紙を描き直したらしく、写真の通り中と絵柄がまったく違うものになっています。当時連載中 (?) の 「残酷な神が支配する」 のような絵柄ですね。
過去の萩尾 望都作品の記事 ↓
ゴールデンライラックで朝ドラを
イラスト詩集 少年よ
山へ行くシリーズ ここではないどこか
トーマの心臓
トーマの心臓 その②
訪問者
あぶない丘の家
恐るべき子どもたち
イグアナの娘
イラストアルバム 萩尾 望都の世界
銀の三角 何で知名度低いの?
きりとばらとほしと ~ ポーの一族 ~ 銀河荘なの! 吸血鬼の系譜
吸血鬼マンガの系譜 を見つけてしまった。
マンガ 時空を越えて逢いに来る少女 の系譜
バルバラ異界
文庫とあって短編とは言え7編収録されています。
11月のギムナジウム 初出 別冊少女コミック1971年11月号
秋の旅 初出 別冊少女コミック1971年10月号
塔のある家 初出 少女コミック1971年12号
もうひとつの恋 初出 少女コミック1971年39月号
かわいそうなママ 初出 別冊少女コミック1971年5月号
白き森白き少年の笛 初出 少女コミック1971年45号
セーラヒルの聖夜 初出 少女コミック1971年冬の増刊号
巻末にエッセイ 羽仁 未央 (懐かしい名前だ 70年代元祖天然ちゃんかな)
今回は表題作の 「11月のギムナジウム」 について。
フラワーコミックスの 「11月のギムナジウム」 は以前持っていたが、引越し等で無くなっていた。BOで文庫を見つけ、105円だったこともあって買いました。(苦笑) 20年ぶりくらいに読んだと思うが、こんな話だったっけかな~というのが再読の感想でした。というのも自分にとってはとても印象が深かった作品だから。
おモー様ファンにはよく知られているように、名作 「トーマの心臓」 の原型となる作品だが、お話は少し違う・・・いやいや改めて読んで見ると全然違うじゃないか。
後ほど、発表は 「11月~ 」 の方が先だが、 トーマ の方が先に考えられていたということが判明。 詳しくはコメント欄を見よ。
ドイツの全寮制ギムナジウム (高等中学) が舞台となっているのは同じ。そこに転校生がやってくるのも同じ。その子がトーマという生徒にそっくりなのも同じ。トーマが死んでしまう (すでに死んでいる - トーマの心臓) も設定は同じだが、登場人物の名前などは苗字の部分が多少違っている。
11月のギムナジウム トーマの心臓
エーリク・ニーリッツ エーリク・フリューリンク
トーマ・ヴェルナー トーマ・シューベル
オスカー・ライザー 同じ
ユリスモール・フリーデル ユリスモール・バイハン
ギムナジウムの名前も 「11月~」 はヒュールリンギムナジウム、「トーマ~」 はシュロッターベッツギムナジウムと違っている。ちなみに 「トーマ~」 でけっこう重要な役のアンテも 「11月~」 では名前だけ出ています。ドイツでポピュラーな名前なんでしょうか。
でもこんな違いを探してみてもたいしたことは無い。一番の違いは、両方とも転校生のエーリクを主人公 (語り部) としているようでいて、「11月~」 はエーリクと本当はその双子の兄弟だったトーマの物語、「トーマ~」 はユーリ、ユリスモールの物語である点です。ユーリは 「11月~」 では脇役に過ぎなかったのに。
「トーマ~」 については、過去の記事でいろいろ言っているので、出来たら下に載せたリンクから飛んで読んで頂きたい。その記事にコメントを寄せてくれた方々も作品に思い入れがあるようで、とてもよい参考になるコメントばかりです。
この 「11月のギムナジウム」 だが、双子の物語という点で同時収録の 「セーラヒルの聖夜」 と似ている。別れていた双子が知らずに後年偶然出会って、というのも似ているが、「セーラヒル~」 はハッピーエンドの予感がするのにこちらは思いの残る哀しい終わり方です。
あらすじ
問題児エーリク・ニーリッツはあちこちの学校で問題を起こして追い出され、全寮制のギムナジウムに途中入学する。ところが会う生徒、先生に皆びっくりされ、どうやらトーマという生徒に自分がそっくりらしいと分かる。
ここでも入学早々いろんな騒ぎを起こして早速問題児ぶりを発揮し、ぎこちない毎日だ。
中でも例の自分にそっくりな 砂糖菓子・フロイライン (お嬢さん) と呼ばれて学校のアイドルのトーマはエーリクの顔を見るなり笑い出したり、なにやら見つめてきたり、エーリクとしては気に食わない態度ばかり。
エーリクはある日偶然泣いているところをトーマに見られてしまったが、トーマはいつもの態度とは異なり、自分の兄のことなど話し始め、最後にぎゅっと抱きしめてきた。何がなにやら分からないエーリク。
雨のそぼ降る休みの日、ママンのところにエーリクが突然訪ねてくる。中にも入らず 「キスして」 と言われるままに抱きしめてあげ、すぐに帰るという 息子 を見送るママン。
もうこのくらいにしておきましょうか、ネタバレは前にしてしまったしね。
この文庫が出たのが1995年ということで表紙を描き直したらしく、写真の通り中と絵柄がまったく違うものになっています。当時連載中 (?) の 「残酷な神が支配する」 のような絵柄ですね。
過去の萩尾 望都作品の記事 ↓
ゴールデンライラックで朝ドラを
イラスト詩集 少年よ
山へ行くシリーズ ここではないどこか
トーマの心臓
トーマの心臓 その②
訪問者
あぶない丘の家
恐るべき子どもたち
イグアナの娘
イラストアルバム 萩尾 望都の世界
銀の三角 何で知名度低いの?
きりとばらとほしと ~ ポーの一族 ~ 銀河荘なの! 吸血鬼の系譜
吸血鬼マンガの系譜 を見つけてしまった。
マンガ 時空を越えて逢いに来る少女 の系譜
バルバラ異界
最近、ブロクネタにと手持ちの昔のマンガを読んで見ると、名作ほど気づくところが多くて印象が変わったりするのよ~。もちろん、当時もいいと思ってて好きで残しておいたものばかりなんだけど、年齢が違うと又違って見えていいわよん。名作は2度も3度も美味しいのじゃ。
そうだったんですね~。こちらにコメくれる方々はマンガに詳しい方ばかりで、いろいろ教えてもらえるので嬉しいです。
記事も直しておかなくちゃと思って、これから訂正しておきますね。
この本の裏の解説にも 「トーマの原型となる云々~ 」 と載っていて、私もこっちが先だと思ってました。
しかし、当時そろそろ売れっ子になっていた萩尾氏が 「トーマ~」 はもともと好きで描いていた発表しない予定のお話・・・って。今なら同人誌で発表とかですかね。内容は違う意味で (自殺を扱っていたりして) 過激ですが。
竹宮惠子氏と同様、萩尾氏も全寮制の男子学校という設定に当時は引かれていたんでしょうね。そう考えればもっといろんなアイデアが出来ていたかも。
これ読んだあとで参考の為と トーマ を引っ張り出して読んでたら、内容がごっちゃになってどれがどっちだったか分からなくなって、記事の内容を間違えちゃってて、少し書き直しました・・ (恥)
今読むとこんな短かったっけと思うくらい私も印象があった作品なんです。
>「あのときが~」とモノローグ
そうなの! 読者は草地でトーマがエーリクを抱きしめたときはまだ事情が分からなくて後で、あのときだけが二人の邂逅の場面だったのか、と気づくのよ。萩尾氏はほんとにストーリーテラーだわ~。
トーマの方が先って内容にビックリ!
リアルで読んでいた世代なので
てっきり発表順で良いのかと思っておりました~
丁度、中学に入った頃に読んだので
本当は意味なんぞ全然解ってなかったです(笑)
ナンだか解らんのだが中性的な高校生の男子が
寮生活を送っていて
男子の寮を覗いているようなワクワクドキドキ感が
ありました(笑)
大人になってからトーマの心臓を読み返し・・・
へ~こんな内容だったのかっ!っと驚いたくらい~
ぶっくさんがコメで書いているように
もしかしてギムナジウムを大人になった今読むと
また違った感覚が蘇るのかもね
そんな二度美味しい世代に生まれる事が出来て
幸せだ~~~
そう、「トーマ」が先なんですよね。
ま、作家が描きたくても出版社側と合わなければ、発表の機会に恵まれないわけで、、、、
そんな作品が世界にはたくさんあるんでしょうね~。
発表順では「ギムナジウム」のほうが先だし、これが「トーマ」の原型と言われてもいるのですが、萩尾さんの発想としては「トーマ」が先だそうです。
「トーマ」は発表するつもりがなく個人的に趣味で描いていた作品で、「ギムナジウム」は、すでに好きなシーンだけを描き溜めていた「トーマ」のキャラを使って作った違う話なわけです。
キャラの性格は似てますよね。優等生のユーリ、元気なエーリク、アイドルのトーマ、大人びたオスカー。
「トーマ」からあれこれ考えて派生した話、という感じじゃないでしょか。
「トーマ」でもトーマとエーリクは遠戚ですが、「双子」だとしたら…みたいに。萩尾さん「双子」好きですよね…『もしも自分がもうひとりいたら』ということをよく考えられたのだとか。繰り返し考えたその発想のひとつの結論が「半神」なのでは、と思います。…愛したいのか…憎みたいのか…みたいな~。
「トーマ」でも、エーリクが、すでにいない、逢ったこともないトーマのことを、はじめは「そんなガキャ知らん!」という態度だけどユリスモールに惹かれていくと「僕と君はやはり似ていたんだよ」なんて考えたりしてる。 あ。いかん。こゆこと考えてるといろいろいろいろ考えちゃいます。
たぶんお話も覚えてるとおもいます、最後のシーンだったのかな~
トーマがエーリクに抱きついたときの回想で「あのときが~」とモノローグがはいったような
すごく印象的でした・・・
今の私が読むともっと腐目線で読んじゃうかもな~
また読み直してみたくなりました
私が萩尾さんを読んだ最初の作品が「秋の旅」でした
ってことは71年10月から別コミを買いはじめたってことなんだな~・・10歳でした