鳩山総務相より日本郵政の中央郵便局(東京・名古屋・大阪)の建替えについて、特に丸の内の建替えに反対があった。近代建築の歴史的価値を認めるのは良く、保存手法も一部保存や外壁保存に疑問を投げかけ、もっと本格的な保存を目指す発言と受け止めているが、あまりに急である。<o:p></o:p>
容積率の問題を先ず採り上げる。丸の内の再開発は容積率1,500%超が多い。かつてバブル期に東京マンハッタン計画で1,000%を2,000%にという計画が「インフラが対応しきれない」ということで認められなかった経緯がある。1,000%超の容積率確保には、特定街区、総合設計、一団地認定、地区計画等の手法がある。更に、大手町・丸の内、有楽町では、特例容積率適用区域制度が新設され、東京都千代田区の「大手町・丸の内・有楽町地区特例容積率適用区域」となり、地区内での容積のやり取りが可能となった。その後、保存再生する東京駅の未活用容積の売却(ニューヨークのランドマーク保存法にならう)もあり空中権を地役権として売買し更なる容積の活用に至った。<o:p></o:p>
大型開発・再開発の高い容積率が各地で見られる。大阪でも1,700%超は珍しくありません。北ヤードや大阪中央郵便局、朝日新聞ツインタワーなどが今後の計画としてある。都市の高度化に高い容積率は有効だが歯止めが利かない危険性がある。次々許認可すれば今の最高容積率は1,000%となっている容積指定はどうなるのか。逆に、京都では景観保全のため、ダウンゾーニング 高さ規制 容積見直しがなされている。この容積問題が都心開発の今後の課題としてある。<o:p></o:p>
次に、今回の日本郵政の問題は、公共資産としての観点である。開発用地はもともと半公共で、損切り資産としては」かんぽの宿」がある。この運営の赤字は、郵政からの関係者の関与が多いのが要因とも言われる。この丸の内の開発も関係者利権といわれないためにも公平且つ公正に進める必要がある。 そのためには、資産からの利益享受、民間参入と建物保存を三位一体にこれこそ一般ディベロッパーに開発提案での入札とすべきであった。資産は定期借地とし収益力が高いなら地代も相応のものがあるはずだ。民間ディベロッパーによる開発で建設費も安くあがり運営も効率化されるはずである。保存条件についての保存委員会等による検討は、現在の混乱した状況で無く、大きく開いた組織で開発要件:RFP (requirement (request) for proposal)の検討と明示をすべきだ。<o:p></o:p>
なお、今の時期、テナントも不確定であり先延ばしして、この「未曾有の不況」に対応してはどうか。何を急いでいるのか良く分からない。また、将来的には地代収入を証券化し「かんぽの宿」の損切りにあてるという手もある。 <o:p></o:p>