大作で、資料が多く参考になる。結論はないが、宗教と習俗・禁忌を分析している。知見は:
・修検教団:聖護院・金峯山寺・醍醐寺の緩やかなつながり
・相撲も男女相撲があり明治5年に禁止
・大相撲は伝統を再構築している
・女人結界:里と立ち入れない山の境界(著者見解)、最澄、空海が設定との伝承が明治初めまで信じられていた、
・山林修行(僧侶 虚空蔵求聞持法(真言密教で、虚空蔵菩薩を本尊として修する、記憶力を増大するための修法。求聞持法。))・山林寺院(巨石信仰、水源祭祀)・山岳寺院(比叡山、高野山など)
・役行者は山岳行者、役君小角(えのきみおずぬ)は葛城山、呪法
・明治政府:神仏判然令(1868年明治元年)→廃仏毀釈と女人結界の解禁→実際はそのまま結界が残る
・歴史的に忌避から排除、禁忌から禁制に変化した、筆者見解:宗教ではなく習俗
・清め→穢れ↔不浄→浄、ハレとケ、イデオロギーとコスモロジーでの筆者の分析は分かり難い
・大峰山と登山口の洞川(登拝の根拠地、宿泊施設が集積、登山講(八嶋役講)の講員(行者さん)が訪れる)の相互依存関係
・龍泉寺の女人禁制の解禁は「稲村ヶ岳女人道場修行」となり信者が増加、修験道最極の秘儀「深仙灌頂(じんぜんかんじょう)」にも参加、女性が増える
相撲は造られた女人禁制をどう見直すか、大峰山は女性との共存に対応するのかが今後の課題だろう
資料が豊富、見解は面白いが結論がない