都市と楽しみ

都市計画と経済学を京都で考えています。楽しみは食べ歩き、テニス、庭園、絵画作成・鑑賞、オーディオと自転車

昨年読んだ本

2025-01-02 02:58:37 | 趣味

今年は383冊、30年前からのエクセル集計が9千冊を越えました、その前の年代では雑誌(15冊/月は読んでいた( 週間朝日・文春、自動車雑誌2冊+α、オーディオ、ダカーポ、電通・博報堂など))が主体だった

それでも年にミステリなど50冊(多かった出張の時に愛読)は読んでいただろう

今年は良い本が多かった

 

読むべき経済書 

ノーベル賞のAJRトリオ、MITからは2人、MITには「貧乏人の経済学」のアジット・V・バナジーも19年の同賞、ジョンソンはシカゴ大(今度、縁ができそうだ)

技術革新と不平等の1000年史 ダロン・アセモグル、サイモン・ジョンソン 

テクノロジーが必ずしも賃金を増やさない、政策・制度による搾取、今後のAIによる監視の危険性、富裕と労働者内部の格差など幅広い観点で俯瞰している

中国不動産バブル 柯隆   地方政府の土地使用権(住宅70年は一時払いの空中権)、中国での不動産のバブルのみならず、国家としてのリスクを論じる

 

面白い学術とルポ

バッタで倒すぜアフリカで 前野ウルド浩太郎 

バッタの集団別居仮説に関する学術書にしてお笑い、受賞の名誉に至る、Lekとの出会い、ババ所長、ティジャニとの出会い、モンペリエのCIRADやイリノイのダグラスの支援、そしてお礼と与えることの大切さ、知のバトンリレー、夢探しと代償の婚活を焦る

アジア発酵紀行   小倉ヒラク 

アジアの発酵のルーツを探る旅、北東インドのマニプルに魚醤、ネパールのパタンの発酵食品のまとまったダルバートなど、面白い内容と砕けた文章

カレー移民の謎   室橋裕和 

インネパの源流、ネパールからの移民、家族化、1次世代と2次世代、教育と料理改革、コックから経営者へ制度の変更、移民の出身地バングル調査、読み応えがある

異国の味 稲田俊輔 

日式料理アレンジと原理主義、大陸・ガチ・デカ盛り・町・高級の中華、レジェンド・高級・ネパール・ガチ(南)のインド料理、味覚の関西化と東京エスニックの弁松弁当

 

独自の分析だが面白い

アメリカは自己啓発本でできている 尾崎俊介 

アメリカ文学の教授による真面目な分析、「引き寄せ法則」、「ポジティブ」、「セールスマン」、「手紙」、「自己啓発」とベビーブーマーのダイエット、ジョギング・ワークアウト、ヨガ、コーチング(部下への「選択」と「責任」)、トホホ本に驚く

農協のフィクサー 千本木啓文 

小児麻痺の足を名刺とした中川泰宏(黒幕 山段芳春と共通点)と野中宏務(と弟一二三)の争い、長期利権確保が共通、一極長期支配はトヨタ・日本電産でもガバナンスと後継問題

 

久々に凄いと思った傑作ミステリ、長いが読むべき

両日十五日 凶兆 天命   馬伯庸  

傑作、パール・バックの「大地」を思いだす中国の詩歌と民族、因縁と友情と地位、因縁とトラウマと背負う責任、政治のジレンマ、裏のファム・ファタル、大作だが読み応えがある

 

手練れのミステリはいつも面白い

死はすぐそばに   アンソニー・ホロヴィッツ 

半作中作、3人称文体、Closeな名前のゲート・コミュニティの殺人、レッド・へリング満載だがやはり先を読めるものだった、ホーソーンの謎解明も進展、楽しめる、訳も良い

イギリスならではゆったりミステリ

白薔薇殺人事件   クリスティン・ペリン 

イギリスでの大叔母の相続に呼ばれ、その日に殺人が起こる、仲良し3人娘のうち1人が妊娠、そのいきさつと殺人を解く2つの時間の交錯、そして犯人の確定と相続のどんでん返し

中国ミステリも流行りか

上海灯蛾 上田早夕里 

第二次世界大戦前後の上海、ファム・ファタルのユキヱが持っていた阿片芥子、成り上がろうとする二郎は青幇の手先となり楊直と兄弟に、助けた若者が関東軍O機関、殺人と黒幕が交差する

検察官の遺言 紫金陳 

中国での官僚と成り上がり企業家と警察による幼児強姦と巻き込まれ亡くなった教員の復讐を図る監察医、警官、検察官、弁護士の仕組むコンゲーム

 

社会の分断・格差やいじめをテーマとした社会派

法廷占拠 爆弾2 呉 勝浩

スズキタゴサクの法廷にて爆弾人質事件、2人の主犯と匿流犯罪、身代金と復讐の2つの真相がからむ、解き明かす類家と逃げるタゴサクの三つ巴

少女が最後に見た蛍 天祢涼 

巡査部長の仲田蛍がいじめや虐待事件を深い洞察から解決する連作、そして自身がかかわったいじめ事件の真相を暴く最終の作が圧巻

未明の砦 太田愛 

4人の非正規社員が組合設立、企業と政治家との癒着、公安の妨害などを経て、正規社員も巻き込み達成に至る、「自己責任」と「迷惑」は確かに伝統

 

ミステリの秀作、ほのぼの

奇岩館の殺人 高野結史 

探偵のために仕組むリアリティ殺人を行う企業、その1作に巻き込まれたフリーターの佐藤、探偵とシナリオライターの2面のどんでん返しとコンゲームのような結末が秀逸

怪談刑事 青柳碧人 

笑える、只倉刑事と怪談師炎月の組合せ、つながりが解明された犯罪にびっくり、落語的

魔女の後悔 大沢在昌 

魔女への地獄島での恨みと韓国がらみの隠し金が裏にあり、実の子かもしれない誘拐された少女を助ける、そして養子縁組へ、面白く楽しめる

和める明治の文学界

POP FICTION     堂場瞬一 

大正から昭和初期の時代、編集者松川は市民公論、文芸四季、そして100万部突破の雑誌ACEの副編集長に、主幹を殴り編集長をなじり、癖ある作家を手玉に生きる、世界不況の足音とラジオの普及初期

 

くらまし屋やぼろ鳶など色々読んだ今村翔吾、風呂敷広げすぎの展開が多いが

じんかん 今村翔吾 

松永久秀の一代記、みなしご兄弟から本山寺、三好元長に堺で見初められ、三好家に尽くすがお家騒動、最後に信長と出会う、宗教や力より人間(じんかん)に重きを置く

 

京都宗教ピカレクスロマンという新分野

虚の伽藍 月村了衛 京都仏教ピカレススロマン、バブルの時期から語り、親友・女、フィクサー・ヤクザも使い、最後に伽藍で自分を振る帰る

コメント
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