「宮崎正弘の国際情勢解題」
令和弐年(2020)2月18日(火曜日)
通巻6371号
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ついに表面化した不動産暴落、業界三位の「中国恒大」が「投げ売り」開始
同社の米ドル建て債券は20億ドル起債、金利12%だった
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中国のデベロッパー第三位は「中国恒大集団」(英語名はエバー・グランデ)。マンション販売利益で2017年には5000億元、18年は上半期だけで2900億元を超えていた。それゆえ鼻息荒く、2019年には異分野のEVバッテリー製造に進出するとして工場建設の青写真を拡げていた。
コロナウィルス災禍により、物件販売が停滞、じつは中国110の都市で、不動産取引が停まっている。1月は6%程度の販売減だったが、2月に入ってから取引が行われていない様相である。そのうえ、マンション購入者のローン支払いが円滑に行われておらず、各社、深刻な経営危機に直面していた。
2月17日、恒大集団は、向こう45日間に、811の物件を25%の割引販売を行うと発表した。年明けから現在も続けているキャンペーンは532物件で22%割引。
これを今後はさらに値引きするとした。手元資金が枯渇して目先の社債償還ができなくなったからだ。
恒大集団は、香港市場でドル建て社債を起債しており、その金利は12%である。
中国の公式発表によるGDP成長は2019年が6%だった。GDP成長率の2倍の金利をつけないと投資家が納得しないという意味であり、「優良企業」と往時は高く評価された中国の不動産開発業者の国際的な信用度は、ジャンク債なみの評価だった。
チャイナプレミアムは世界市場で共通で、2%以上の金利を上乗せしなければ、中国企業には貸さなかった。
恒大集団の窮状から推定できること。すなわち中国の不動産大暴落が本格化しているという実態である。
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