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「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
平成30年(2018)1月12日(金曜日)
通巻第5576号
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「仮想通貨はろくな終わり方はしない」とウォーレン・バフェットが予言
中国と韓国、ビットコイン取引所ばかりか、取引そのものを禁止へ
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突如、市場が円高傾向に傾いたのは一つの噂からだった(1月11日)。
中国が保有する米国債を市場で売却するという風聞が、ドルを弱め、円を強め、そして米国と日本の株式を下げた。中国政府はただちに、これはフェイクニュースと否定したが、円高傾向は揺るぎがなかった。
同日、米国の「バークシャー・ハザウェイ」(全米最大の投資会社)のCEOウォーレン・バフェット氏は同社年次総会で新しい役員を発表したが、NBCテレビのインタビューに応じ、「ビットコインなど架空通貨はろくな終わり方をしないだろう」と述べた。
中国はビットコインの取引所を閉鎖したが、ネット上での取引は行われており、中国の取引減少が、日本で売買が激増するという結果をもたらした。
中国はビットコインそのものの取引も禁止する姿勢を示しており、また韓国でも仮想通貨取引所閉鎖をまもなく実行しそうだ。
さて中国はなぜビットコイン取引所を閉鎖したのか?
アメリカの著名な経済学者も、モルガンスタンレーも「ビットコインは詐欺」と認定した。この仮想通貨、コンピュータの中から産まれ、金鉱を掘り当てるかのような数学ゲーム感覚で世界に拡散した。実際にビットコインのスキームは「ネズミ講」である。英語でいう「ポンジ・スキーム」だ。
発足から僅か三年で価値は125万倍に膨らみ昨秋9月15日時点での時価総額は5兆6000億円。このうち90%を中国人が買った。
同年9月8日、中国は三つの仮想通貨の取引所を突然閉鎖した。正確に言うとICO(イニシャル・コイン・オフェリング)を禁止したのである。
ICOとは企業や団体が仮想通貨を発行して資金を集めることだが、これで当局が把握できない資金調達が可能である。独裁体制下では金融政策も通貨供給量も中国共産党がコントロールしているためビットコインが「第二の通貨」となると中央銀行は不要になる怖れありと懸念したのだ。
IT先進国のエストニアはスマホで選挙を行う。これをロシアはハッカー攻撃をかけて妨害した。テロリストは仮想通貨を駆使して資金洗浄の手口を覚えた。北朝鮮はハッカー攻撃した被害者から身代金を「ビットコイン」で要求した。つまり詐欺の横行を含め犯罪の温床に化ける懼れも高い。
それでも先進国は仮想通貨決済がますます伸びてゆくとし前向きである。
その認識は「仮想通貨」というより「デジタル通貨」と呼称し、たとえば英国中央銀行は金融政策の効力を堅持しながらも市場への導入にいかに取り組むか、積極的な検討にはいった。
ロシアは「イーサリアム」の技術を駆使した新しいシステムを構築し、プーチン政権は「デジタル通貨」発行に前向きだ。
スエーデンは「eクローナ」の発行を18年に国民投票で決める。
エストニアは「エストコイン」の発行計画がある。しかし仮想通貨は国籍がなく、したがってリスクがあまりにも大きい。それでも利便性を活用するデジタル通貨を各国の中央銀行が前向きに検討し始めたわけで、中国とは真逆の方向にある。
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